第251回 平成29年12月17日
兼題: 冬景色 湯冷め


  利孟  
 べうべうと瞽女の弾く三味冬景色  
 冬囲ひして濡れ縁の吹き曝し  
 銭湯の君を待つ間の湯ざめかな  
 掛取りや心張り棒で塞く雨戸  
 一、二片皮の削がるる柚子の風呂  

  比呂  
☆風花や児の桃色の薬瓶  
・蹇の我に付き来る冬の蜂  
 冬帝に着せたき今日の生絹雲  
 寒禽の高音に目覚む嬰の四肢  
 湯ざめして引き際大事と思ひけり  

  聖子  
☆山寺の鐘の谺や冬景色  
・山の名を指差して教へ冬景色  
 冬晴れや県会質疑白熱す  
 仕事の話しつつ通勤も冬の朝  
 湯ざめするその一言で我が部屋へ  

  ミヨ  
△初霧氷にはかに化粧ふ雑木山  
・また一羽飛びの輪に入り冬の空  
・切る間合いなき長電話湯ざめせり  
・乾びたる庭の藁ぼて冬の景  
 羽を伸す長元坊の川の夕  

  木瓜  
△漱石忌青磁の皿に練羊羮  
・冬景色空に溶け入る白い鳥  
・湯ざめせり四角四面といふこの世  
 たちまちに現へ戻る湯ざめかな  
 達成の歓の果てなる湯ざめかな  

  巴人  
△湯ざめして奥の宿までもらひ湯に  
 冬の色光る峯々暮泥む  
 階や市花咲く冬景色  
 里帰り湯ざめの詫ふ嫁の声  
 蕭蕭と三十二かく冬景色  

  昭雄  
△冬景色山に枝打つ鉈の音  
 北の空仰げば雪の奥白根山  
 裸児の尻追い諭す湯ざめかな  
 冬景色大河も夜毎の漁火も  
 垣も結い冬の構へとなににけり  

  信子  
・マスクするナースへマスクして会釈  
・岬へと続く菜畑冬景色  
・冬の雲夕日纏ひて昏残り  
・電車音遠く離るる湯ざめかな  
 凍空の夕べ弦楽六重奏  

  美恵子  
・街角にポケモンハンター冬景色  
・湯ざめの子蜂蜜入りの湯をもらひ  
 一隅に集ひては散り冬雀  
 色変はる湯の湧く宿や冬景色  
 青空に枝くつきりと冬景色  

  青樹
・城崎の湯めぐり湯ざめして帰る
・くさめして俺の噂と独り言
 啼きながら羽打ちて舞ふ二羽の鶴
 パール富士写真家狙ふ冬景色
 海猫騒ぐ北朝鮮の難破船

  敬子
・コーヒーに始まる朝冬雀
 手と足を三度伸ばして柚子湯かな
 再会を約す四阿石蕗の花
 実南天旧家の残る蔵の街
 来客の会話はずみて湯ざめせり

  良人
 那須岳に寄り添ひ離る冬の雲
 青空に突き抜けんとす冬木立
 遠山の間近にせまる冬景色
 湯ざめして早々入るにはか床
 冬の朝遠山越しに臨む富士