第262回 平成30年11月18日
兼題: 霜月 七五三

  利孟  
 霜月の龍柝に応へ高啼けり  
 板塀に朱書きの鳥居冬立つ日  
 点滴の落ちるを数へ小春かな  
 好き放題破らせ障子洗ひけり  
 幣の風揺らすびらびら七五三  

  ミヨ  
☆七五三詣風の扱の少女めく  
☆安達ケ原の山姥住みし洞の冷ゆ  
・お茶の花お薄いただく奥座敷  
 登高や雲一片のある比叡山  
 霜月や一幕復習ふ文楽座  

  比呂  
☆野良犬の上目使ひや霜の朝  
・二畳台目釜鳴り幽か秋黴雨  
・霜月や湯気を四方に酒万頭  
・郁子熟るや覗き穴ある閻魔堂  
 御祓ひの幣音高し七五三  

  昭雄  
☆霜柱なんぞ蹴散らし寺の矮鶏  
・石段を上るが試練七五三  
・熱く濃きコーヒー香をる霜の朝  
・若き父の深き一礼七五三  
 太陽に拗ねて真白や霜柱  

  木瓜  
☆七五三ネクタイ長めちと斜め  
・冬館五分遅れて古時計  
・霜月や漫ろ忙しく日の暮れて  
 柿落葉崩るる我が身包みこみ  
 沈み入る夕陽に映えて木守柿  

  美恵子  
・断髪の女神主七五三  
・火を囲み途切れぬ話し神無月  
・七五三お下がりの飴引きずりて  
・七五三長き黒髪結ひあげて  
 七五三鷹の刺繍の陣羽織  

  信子  
・鳩遊ぶ日和の杜の七五三  
・梵天を担ぐ掛け声柚子熟るる  
・霜月や野口雨情の居の小窓  
 冬に入る裏男体山に薙の無く  
 分刻む着時列車に冬来たる  

  巴塵  
・出雲より神有月の銘菓かな  
・飛びさうなてふてふリボン七五三  
・階を抱かれて登り七五三祝  
 お端折りやちっちゃな裃七五三  
 紅葉せず草に玉置く神無月  

  英郷  
・七五三抱かれて登る石の磴  
・霜月やインフルエンザは闌に  
・七五三赤き風船引き連れて  
 霜月の樹の間に迫る古賀志山  
 顰め面の子と笑む母と七五三  

  良人
・霜月や男体山に雲湧きて
・霜月や雨の優しく濡らす屋根
 霜月や並木路の空雲低し
 霜月や那須山覆f低き雲
 降る雨に銀杏並木路紅葉降る

  青木
・師走市露店手締めの音高く
・振り袖の幼女ひきずる千歳飴
 はいチーズ親も子供も七五三
 霜月や暦一枚成果無し
 霜月や家庭菜園芋を掘る

  雅枝
・初めての紅におすまし七五三
・霜月の三味線の稽古はいつまでも
 被布を着たまま座り込み七五三
 霜月や眠れぬ夜の赤ワイン
 七五三ゆるめの赤い蝶ネクタイ

  敬子
・和やかな老いを楽しみ秋の空
 今日よりはすこし大人に七五三
 甘柿のフライ笑顔の厨かな
 文添へて里より新米届きけり
 詩吟せる古老の美声冬銀河