第311回 令和5年2月25日 Zoom
兼題 水仙 雪山 余寒 春菊

那須五峰の雪景色

 瀧凍てゝ水にねむりの刻もどる 重次遺墨


  利孟  
 蕗味噌や日に小半の飯を炊き  
 手をとられ歩む花嫁水仙花  
 雪山や白迷彩の狙撃兵  
 雪山の雪に埋もれて遭難碑  
 陽炎や山を隔てて伊賀甲賀  
 金縷梅の光にほどけ風に揺れ  
 鉢の土乾くにまかせ余寒なほ  

  ミヨ  
☆火袋の窓の日月水仙花  
○夕暮れの雨戸くる音余寒なお  
・春菊や鍬音重く打つ畝間  
・雪山の奥に雪山白川郷  
・ころころとふくる芽キャベツ摘む手籠  
・子雀の声の広がり土ひかる  
 色毎に花の遅速のヒヤシンス  

  比呂  
○乞食の朗朗と誦す寒の経  
・ルージュ残る細き吸ひ殻春の闇  
・乃木の胸埋める勲章冬桜  
・崖を打つ波の飛沫や野水仙  
・前山の雪はや消えて夕茜  
・佳き酒に菊菜サラダのほろ苦し  
 亡き人の残す薬袋余寒なほ  

  美恵子  
・福豆を拾ふマニュキュアの指を立て  
・春一番入学書類整へて  
・雪山やザイルの解れ確かめて  
・ピッケルで刻むステップ雪の山  
・宿の朝春菊香る粥啜る  
 橇の子のころげて橇に逃げられて  
 雛の日や母と揃ひの紅を買ひ  

  信子  
・水仙の袴折り目を正しては  
・風止みて雪の五峰の光り合ふ  
・冬の山村の灯の睦み合ふ  
・自動ドア残る寒さの風と入る  
 春菊を一束夕餉の菜に加ふ  

  芳子  
○一ノ矢の破りし静寂初稽古  
○おさな子の立てよ歩めよ梅ふふむ  
 立春や「鵜の首」といふ古城堀