第338回
令和7年5月24日19時 Zoom
兼題 若葉 夏に入る ソーダ水 カーネーション 杜鵑
ソーダ水人魚は泡と戯れて
山若葉床百年の磨き艶
一聲に川音の消え杜鵑
二の腕にきらめく産毛夏来る
樟若葉明るめ伊勢の大社
上げ汐に止まりゆらぎ花筏
カーネーション負けて貰はれ花一匁
友子
○煽られた風を釣り上げ華鬘草
△お小遣ひから一輪のカーネーション
△薫風や天窓見つめ椅子の父
△飛び石の先に東司やほととぎす
・蒲公英の絮鼻面に牧の牛
・噴煙を見下ろすデッキソーダ水
・日に透けて黄金色なす柿若葉
○走り梅雨佐渡に残りし流人帳
△天と地をつなぎ若葉の樟大樹
・葉桜や旧家の残す紙位牌
・兜太先生言ひたい放題裸の子
・吾が杖は妣の杖カーネーション
お見合ひの向かひ合ふままソーダ水
手の届くほど近くよりほととぎす
信子
△少女一人笑ひ転げてソーダ水
△暗算の指空はじき夏来る
・ビル街の昼のにぎはひ栃若葉
・髪切って少し大胆ソーダ水
・若葉して山重ね合ひ光り合ひ
・好きな色赤と答へてカーネーション
革靴の古りし紐替へ昭和の日
△是よりは女人結界山開き
△赤い月夜市に並びキッチンカー
・石蔵の長持を開け母のセル
・登山靴の紐締め直しいろは坂
・鬼怒川下る舟上ぐ飛沫不如帰
不如帰木道つなぐ行者小屋
美恵子
△逆さまの景色映してソーダ水
・隙間なき若葉の先の青き空
・朝一番LINEに絵文字のカーネーション
・杜鵑鳴けば歩を止め登山靴
ラケットを放り給水夏に入る
カーネーションの鉢にとりどりリボン掛け
新樹光紊るる心解されて
ミヨ
△新茶の香焙炉大戸の奥にかな
・小屋跡の崖へずる道山開き
・石仏の岩場に飛沫裏見滝
・老鶯や木道先の行者小屋
・小屋先に古桶ひとつ山桜
焙炉場の板戸全開茶の香り