第337回  令和7年4月19日19時 ZOOM
兼題 蛙 花衣 新茶 夏近し 土筆

 



  利孟
 湯加減をはかりゆるりと淹れ新茶
 新茶入荷の緑の幟出して茶舗
 小さき掌に握られ萎れつくしんぼ
 寝入らむと思はば井出の蛙かな
 夏隣農薬噴霧のポンプ押し
 百千といふには足らず囀れり
 息を吐き結ぶ帯締め花衣

  ともこ
◎木の椅子に背中合せに花疲れ
○目標の歩数を越えて遠蛙
○竹垣の緩む結び目四月逝く
○土塊を握り砕きて穀雨かな
・土筆摘む流れゆたかに用水路
・夏近し雲のしつぽを雲が追ひ
・新茶汲む萬古の急須艶を増し

  信子
◎島守の一人守る島夏隣
○向かひ合ふ県庁市役所栃の花
・花衣ぬぎて窓辺の夕日影
・いつくしむやうに湯注ぎ新茶汲む
・鞭入れて馬駆るゴール夏近し
・声つぶし合ひて蛙の歌合戦
 花衣着て行く靴の紐締めて

  美恵子
○せせらぎに和し鳴き交はす蛙かな
○エプロンのポッケに溢れつくしんぼ
・良き友と連なる酒宴花衣
・花衣摘み細工の髪飾り
・息深く吐きゆつくりと新茶飲む
・弁当の菜の青や黄夏近し
 床間に赤き一輪花衣

  比呂
○百年の藁屋解体古茶新茶
・夏めくや女滝男滝の睦みあふ
・利根川に沿ひひろがる水田遠蛙
・目をつむり喉へ白魚踊り食ふ
・夫忍び流すタンゴや花の雨
・スニーカー上げは二重の花衣
 鰯焼く煙の路地を帰りけり
 つくし野や野良猫夫婦子沢山