第341回 令和7年8月16日 ZOOM
兼題 秋風 とんぼ 枝豆 不知火
不知火や泥に目玉のむつごろう
手花火の残り火移し焚く門火
裏千家十五代家元鵬雲斎汎叟宗室逝く
特攻を生きて百歳秋の風
手洗つてからよ枝豆食べるのは
蜻蛉釣り糸を繋いでくれた父
爆竹の煙分け精霊流しかな
一瞬の静寂また湧く蝉時雨
信子
☆落ちる日を惜しみ夕蝉声時雨かな
△木漏れ日の静けさに群れ夏海老根
・秋立つや花の道具に竹の串
・十分を駈けて駅へと雷の中
・誰れか訪ふ如秋風の叩く窓
・鍬置けば鍬に留まる夕とんぼ
枝豆の束の身入らぬ実をはずし
☆父母の乗りて胴長茄子の牛
△秋風や残るは読書感想文
・草の花箱ブランコでおままごと
・行合の空に尾を立て赤蜻蛉
・鳴り渡る下校のチャイム鰯雲
枝豆のぷくぷく浮かび茹であがる
手繰るたび撓ふ竹垣蔦茂る
ミヨ
△夕灯り棘に掻かれてもぐ酸橘
・庭隅に群れ檜扇の花は実に
・手に負へぬ草に埋もれて抗へり
・古団扇一本掛かる長押かな
・夏菊の折り重なりて影深し
・夏初め籠内張の千字文
△不知火や知覧特攻平和館
・長座卓囲み自慢の月見豆
・細波の光るごと群れ夏茜
・枝豆を摘みぼちぼち愚痴が出て
・昼寝覚めうねり寄せ来る蝉の声
秋風や足取り軽くウォーキング
酷暑かなまた急患の電話鳴る
比呂
△祀るもの知られぬ陵墓蝉時雨
・破れ舟にかかる流木秋の風
・絵団扇のゆるりと撓ふ和紙の肌理
たまさかにたまたま独り糸とんぼ
不知火や生絹のごとき船の影
枝豆をつぶし濃みどりずんだ餅
声上げて汗に重たき柔道着