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第343回 令和7年10月25日 Zoom句会
兼題 霜夜 月 破れ芭蕉 鰯 林檎
月見酒銀の黒ずむ蒔絵椀
海抜七十二米伊豆高原駅の秋
手開きの鰯骨抜き皮を剥ぎ
トンネルを抜ければ葛の花の壁
林檎ガブリと学生服の袖で拭き
一村の籠もりし小屋よ破れ芭蕉
野営地の銃身冷ゆる霜夜かな
比呂
☆伐採木曳き行く馬や鳥渡る
△秋祭祝詞くぐもる山言葉
△ペガサスの光やはらかなる霜夜
△窯出しの壺の呟き鰯雲
・抗へる牛の鳴きあひ牧閉ざす
・ぼろ市の煤け鏡の声映す
・夫を恋ふ吾が身長かれ破れ芭蕉
△消灯の病窓照らし月渡る
△粗く裂けながら繊細破れ芭蕉
△足し湯してゆつたり浸かり霜夜かな
△秋の夜や積ん読本に手を伸ばし
・「里から」と一言林檎お裾分け
衣パリッと身のやはらかき鯵フライ
ひつじ田のコンバインの跡くつきりと
美恵子
△孫祖父母までも選手の運動会
△満月の隠れて現れて更けゆける
・子と競ふ林檎の皮の長さかな
・すれ違ふ車の無くて霜夜かな
黒き目の鰯一盛り五百円
十六夜や濡れ縁に出て一人酒
草紅葉人影もなき鬼無里かな
☆大いなる空の真青や鰯引く
△名月や重き音たて引く門扉
・破芭蕉風の行方を風の追ふ
・うそ寒の障子閉めをく昼さがり
鰯雲バス降りバスを乗り継いで
幼な子は手ひろげ父のもぐ林檎
やや寒の朝餉にパンを焼く匂ひ
ミヨ
☆一人降り一人乗るバス曼珠沙華
・日盛りに種はじけ飛ぶ鳳仙花
・早々と雨戸締め切る霜夜かな
・揺すり入れ詰め放題の薩摩芋
・冬耕を追ひて小鳥の餌漁る
色づきを矯めつ眇めつ林檎狩り
筆の癖直す硯の乾きかな