立花毘沙門堂  (北上市立花)
 
JR北上駅から北上川を挟んだ「北上展勝地公園」の北外れにある。公園内には民俗資料館があり、ここで毘沙門堂の管理人に電話してもらい、時間を決めてお会いして収蔵庫を開けていただいた。代々で毘沙門堂の管理をされていて、1時間近く丁寧なお話をうかがった。お堂に入って毘沙門天に2拍の拍手を打つ。「ここではこれが慣わしなのです。」と言われた。
天安元年(857)に準官寺に列された極楽寺(現在発掘調査中)の北谷の坊として毘沙門堂は建立された。極楽寺には、かつては二丈八尺(7.87m)の兜抜毘沙門天が祀られていたとも云う。これは成島の毘沙門天像より大きい。現存の立花毘沙門天は、、古様で、天邪鬼の頭髪はカーリーヘアーで丁寧に仕上げられている。カツラ材の一木造りで、像高102cm、平安中期(900〜1000)の作である。全体的に赤っぽく、当初は彩色されていたらしい。胆沢城の真北10kmに当り、「北方守護」とするにふさわしい。やや不安定な姿勢だが自分の足でしっかり立っている。
毘沙門堂の案内立札には、毘沙門天と両脇の持国天と増長天の写真が掲げられている。収蔵庫の中でもこの並びで置かれている。両サイドの持国天と増長天は平泉の藤原基衛(12世紀)の寄進と伝えられる。丸みを帯びた肩・胸・背中と見開いた玉眼、たなびく裾衣が印象的だ。
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