一冬を越した秋(9月8日)、兜跋毘沙門天像の実物を確認すために、再び藤里を訪れた。 雪景色に変わって長閑な田園風景の中に毘沙門堂はあったが、やはり人気はない。神社への登り口にある管理者のお宅で毘沙門天の拝観をお願いした。 女性の方が山を登り収蔵庫を開いてくださった。当家の娘さんで「子供の頃は毘沙門天を祀った毘沙門堂の前でドッジボールなどして遊んだ。当時は祖父、父が管理していて、現在の収蔵庫に移ってからは兄が管理しています・・」とのこと。 幾体かの仏像とともに毘沙門天の実物があった。トチの木の一木造りで、丸ノミの跡がくっきりと浮かぶまさにナタ彫りの暖かみを感じさせる。一度来た道なのに、近くまで来て道に迷った。来たかいのある仏像群だった。 |
|
収蔵庫に入ると、正面には鎌倉期の木造毘沙門天立像が目に付く。右に吉祥天、左に善賦師童子を従えている。 右壁に沿って入口側から、平安後期の木造十一面観音立像、目的の兜跋毘沙門天(重文)、平安後期の木造僧形坐像(神像に近い)が並ぶ。兜跋毘沙門天外は、国の重要文化財で、他の二体は岩手県指定文化財である。痛みの激しい像もあるが、収蔵庫内の仏像群はそれぞれに歴史を感じさせ、見応えがある。 |
戻る | 成島 | 立花 | 藤里 |