「来週に入る予定ですから、週末には・・・」
「必ず来週食べに来ます!」



次の週末、新宿にやってきたのは肉弾頭とブルースの2人だけであった・・・・・・
くそッ!
なんだ、あいつら、山羊刺し喰いたくねーのかよ?
まあ、いいぜ。俺達だけで山羊刺し喰って、自慢してやるぜ。
吠え面かくなよ。

「ご免!」
「ごめんなさい、手違いで、今週も山羊刺し入ってないんですよ〜」
ぎゃ〜〜〜〜!
先週、ヤギヤギと騒いでいた俺達の顔を憶えていてくれた店のおねーさんは、開店と同時に現われた俺達を迎え撃った。
勿論、一撃必殺だ。
なんて・・・こったい・・・
「来たからには、とりあえずシークーサーとゴーヤーチャンプルだな」
気を取り直して、しかし力なくブルースはそう言った。

確かにゴーヤーチャンプルはうまい。何度食ってもウマイのだが、今は・・・この苦さが特に、俺達の噛み締めている苦い挫折を物語ってくれている。
ありがとう、ゴーヤー。でも俺達は負けない。まだ、夢を諦めるには若すぎる!

そして、ポチギ。

見てのとーり、腸詰さんです。ちょっと、チョリソっぽいピリ辛。ハーフドライあたりの固い歯応え。
ちょいと、酒と供に摘むにはちょーどイイ。
チャンプルとチョリソの情熱を充電した2人の心は固まっていた。
来週こそ喰うぞ!山羊刺しを!!!

実はその後、面白いことが続き、この“炎の2日間”は密度の濃いものとなったのだが、その内容は 徒然肉6月3日分にアップしてあるので参照されたい。
また、この(次の)日のクライマックスとなったインドカレー屋。ここがまたウマイ。本場インド料理屋はスパイスの風味を最重要視してるところが多いが、ここはコク重視。カレーはコクがあってなんぼと思ってる俺には、とにかくサイコーの店。
いずれ紹介したい。


さて、光陰は矢の如く流れ、1週間は瞬く間であった。
その週はナニをしてたんだかよく憶えていない。
というか、俺はその間生きていたんだろうか?生きていたと言えるんだろうか?
山羊刺しを喰らうまでは、俺達は、死んでいるようなものだ。
・・・・・・そうだろう、ブルース?

なにはともあれ、運命の6月10日は来た。
先週、実は来ていたが微妙に待ち合わせ場所を間違えていたふなっ、そして、基本的には付き合いのイイ毒舌男、すの字が加わり4人でうちな〜家へと向うが・・・
そのとき既に、俺(肉弾頭)は知ってしまっていたのだ。
先週、念のためうちな〜家の電話番号を控えておいた俺は、集合の直前に電話を入れていたから、知っていたんだ!集合時に!全てを!!
「なあ、みんな・・・実はな、」
「ふなっ!お前、ホントツイてるなぁ。俺達ァ二回も山羊刺しに蹴られてるってのに、お前は最初っから喰えるんだからさあ」
「いや、それは楽しみだなぁ」
・・・・・・言えない・・・言えるわけがない!
「おーい、どーした、にく〜。お前が一番はしゃぐかと思ったのに、テンション低いじゃねーか?」
「それは・・・」
言いあぐねているうちについにうちな〜家に到着。引き戸を開けるなり、
「ごめんなさい、今週も入らなかったんです!」
ああ、無情。
お姉さんはさらに言い訳を続ける。 「ごめんなさい、コレが沖縄時間なんです」
お、沖縄時間だって〜?
さすが南国、おおらかだぜ。
否ッ!おおらかすぎる!

せっかく来たんだし、ふなっはこの店初見だからな・・・
ま、さらっと喰ってくか・・・
「来週の月曜には今度こそ絶対入りますから」
注文を取りながら、そんなことを言うおねえさん。
勘弁してくれ!そんなこと言われたら、来週も来たくなってしまうじゃないか!
それとも、そーいう作戦なのか!?
いい加減、心も荒んで来るのであった。
そんでもって、初見のふなっがいるので、とりあえずまたゴーヤーチャンプル

それから、豆腐の味噌炒め。

ちょっと甘め。コクがあって、やっぱりウマイ。一緒に入っていたウリ系統の野菜がポイント!


これは“中味”炒め。
要するに、モツ炒め。




まぁ、これはこれでいいか・・・うまいモンな。
現実との妥協が場を支配し始めた頃、青いユニフォームが登場した。
日通のペリカン便だッッ!!こんな時間に!
「おいおい、クール便だよッ!山羊刺しだったりして」
「バッカ、それは月曜日だろ。どーせタカサゴ(沖縄産の魚)かなんかだろ」
もう、期待して裏切られるのはイヤなの・・・すっかりナイーヴになった俺達は、希望的妄想に心膨らませることすら出来なくなっていた。
が、
「山羊刺し来ました〜」
だ、と〜〜〜〜〜〜
「勿論、注文します」
「解凍に時間かかりますけど」
「そんなモン、何時間だろうと待ちます!!!
そして・・・・・・

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