2000/12/21更新
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住まいづくりのことば


わかっているようで、わからない。
そんなことばの示す意味を簡単に解説します。
少しづつ増やしていく予定です。また、こんな言葉がわからない、というものがありましたらこちらまでお寄せ下さい。


Keywords,

設計者 設計 監理 工程 瑕疵

基本設計 実施設計 確認申請 建築基準法

居室 建築面積 延床面積 採光 天井高

品確法 設計図書 構造 地盤 

地盤沈下 坪単価
スタイル エコロジー ツーバイフォー 

輻射暖房 


設計者は何をする人か?

せっけいしゃ
■どんな小さな住宅でも、敷地条件、法規、家族の要求、予算、構造、設備など、いろんな条件があります。そういった様々な条件を解きほぐし、まとめて図面化して建物の形にしていく、設計(デザイン)が主な仕事です。同時に、工事費(見積)の検討および調整、役所への確認申請、それから施工中の工事監理などの業務を行います。

設計者の仕事内容

設計
デザイン


せっけい
でざいん
■設計、デザインというと奇抜な形をつくったりとか、特別な家を作るとことだと勘違いしている人も少なくないようです。でも、そうではありません。建主と設計者との間で話をしながら、建主の希望を形にしていく作業です。逆にただ単に要求をまとめるだけでもナイのです。設計は家づくりの第1ステップで、最も基本的な、また大切な部分です。これをいい加減にするとあとであとではどうしようもありませんので、ご注意を。

 デザイン
=奇抜な形
ではありません
□要求をまとめるだけでもナイ、というのは例えば、小さな床面積しか作れないところで、建主さんが部屋の数だけ欲しいと言った時にどうするかということです。その要求通り部屋を沢山作って、それがすべて畳一枚分の広さだとします。建主のあなたはそれで満足でしょうか?そうでない時に、さて、どうするか。それが話し合いの始まりです。ここからが設計の大事な作業=話し合い、コミニュケーションなのです。

コミニュケーションが大切
監理
(工事監理)


かんり
こうじかんり
■施工中の建物が、設計図書の通り、建主の希望通りに工事が実施されているかを確認する作業のことです。また要求に応じて、設計図書のわからない部分あるいは問題のある部分等について質疑を受け適宜対応し、工事がスムーズに行くようにする役目もあります。設計者が設計・監理とを通して建主と契約することが多いようです。
字の違う工事管理とは、工事現場の専門技術者が工事が適切に、円滑に行われるように計画・段取りをし、指揮、制御することで、監理とは意味が違います。

設計図書の通りに工事が施工されているかの確認。

そういう意味でも図面は大切です。
工程

こうてい
■建築工事の着手から完成までの工事内容を、その日数や作業の量を作業種別ごとにまとめたものです。また、これを表にしたものを工程表と呼びます。これを見ればどうやって作業が進んでいくかわかります。

建築工事の予定

施工のプロセス
こちらで紹介しています。
瑕疵

かし
■引渡し後または工事中で手直しが残っている建物で発見される不具合や欠陥部分のことを瑕疵と呼びます。注文者(つまり建主さん)側から提示されていた仕様書や図面との食い違い、工事上のミスのことも瑕疵に含まれます。

この欠陥を施工者側が保証する義務のある期間のことを瑕疵担保期間といいます。今までその保証期間は通常の請負契約で、木造が5年、非木造が10年とされていました。(実際は特約によって木造1年、非木造2年とされることが多かった)ですが、平成12年4月1日より施工された「品確法」により、すべての住宅の基本構造部分の瑕疵担保期間については、引渡から最低10年間となりました。

完成引渡時の点検、検査は重要になります。また図面がキチンとしていないと意味がない(検査のしようがない!)ので注意しましょう。

品確法
はこちらを参照
基本設計

きほんせっけい
■建物設計の全体の中でもっとも初期の部分。建主さんの希望と必要な条件を基本的な設計内容にまとめる段階のことです。具体的には、住宅であれば1/100程度の基本設計図や模型、それに必要に応じて説明を文書で加えることもあります。

設計プロセス
については
こちらを見て下さい。
実施設計

じっしせっけい
■基本設計で決まった考え方、方針に基づいてより詳細な図面を作成していく段階のことです。またこの段階で作られた図面のことを実施設計図と呼び、この図面が見積の時および施工時に必要になります。

同じく設計プロセスについては
こちら
確認申請

かくにんしんせい
■建物を新築または増築する際には、規定の法律に適合しているか、建築主事(担当役所の確認業務についての資格者)による確認を受ける必要があるのです。着工前に必ず確認を受けなければなりません。
申請は多くの場合、設計事務所が代理で行います。申請書類、建築確認概要書、建築工事届けなどの書類、所定の申請用図面を作成、提出します。申請の際は規定の手数料を役所に納入しますが、これは建物の床面積に応じて定められています。通常、申請手数料は設計料とは別で、建主さんの負担となります。

建築基準法

けんちくきじゅんほう
■建築のための基本的な法律です。建築物の建つ敷地、構造、設備、安全等について定められた最低限の技術水準が定められており、建築の計画内容はこれに適合する必要があります。
内容は、用語の定義や建築手続きのことの他、階段の寸法や防火・耐火の制限、避難などの個別の建物に関する単体規定と呼ばれるもの、高さや日影、用途などに関する集団規定と呼ばれるものの大きくふたつからなっています。

大勢が住んだり、出入りするような建物、それから公共性の高い建物に対しては、特に避難や防災上の点で厳しい内容になっており、住宅などは比較的制限が少ないとも言えます。それでもクリアすべき問題は沢山ありますが。

住宅に関係する法規について
こちらで紹介しています。
居室

きょしつ
■人が一定時間続けて使用する部屋ということです。法規上の意味があり、通常使う居間や居住する部屋とは違った意味になります。
住宅では、居間、台所、寝室、子供室などが居室で、トイレや廊下、浴室などは居室にあたりません。
居室には法規により一定量以上の採光や換気、排煙などが要求されます。

採光については
こちら
建築面積

けんちくめんせき
■建築物の外壁またはこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のこと。これを元に建蔽率が算定されます。地盤面より上1m以下の地階部分と奥行き1m以下の庇などは建築面積から除かれます。

建蔽率は
こちらを参照

これを坪単位で表したものが建坪
延床面積

のべゆかめんせき
■床面積とは建築物の室内部分の面積のことです。通常は,階別に数えて,壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいいます。建築物の各階の床面積の合計が延床面積となり、地階なども含みますが,一定割合の自動車車庫,駐輪場、および地下室は容積制限計算の場合に床面積の合計から除かれます。

容積率は
こちらを参照

採光

さいこう
■採光とは屋外の明るさを利用して室内の明るさを確保することです。建築基準法では、居室の場合、床面積の1/5〜1/10の範囲で採光に有効な開口部を設けることを義務づけられます。住宅の場合は1/7以上です。直接日差しが入るかどうかはこの場合関係ありません。

天窓は壁にある窓の3倍の採光能力があるとされます。(面積1/3でよいということ)

ただし、天窓が大きすぎると夏アツイですよ
天井高

てんじょうだか
■床の仕上げから天井仕上げまでの高さのことです。天井が斜めや、段差のある場合はその平均を天井高とします。住宅の居室の場合は、建築基準法で最低の天井高を2.1mと規定しています。ただし、天井高は一概に高い方が良いというわけではありませんので、誤解のないようにして下さい。

品確法

ひんかくほう
■平成12年4月1日から新しく施工された法律で、正確には「住宅の品質確保の促進等に関する法律」という名前です。
内容は、
・住宅性能表示制度の創設
・住宅に関わる紛争処理体制の整備
・瑕疵担保責任の強化、
の3つに大きくわかれます。

瑕疵については
こちらを参照


住宅性能
表示制度

じゅうたくせいのうひょうじせいど
■住宅の各種性能について、客観的な指標・共通ルールが「日本住宅性能表示基準」として定められました。(評価する性能は右を参照)また同時に、その評価方法も定められました。評価というのは、設計段階と現場における施行の段階とのふたつに別れています。またその評価は、正式には指定の評価期間を利用することになります。
評価する性能は、

構造の安定、
火災時の安全、
劣化の軽減、
維持管理の配慮、
温熱環境、
空気環境、
光・視環境、
高齢者等の配慮、
音環境、です。

■この制度は、利用するしない、契約に入れるかどうかなどは全くの自由です。世間の噂に惑わされないように、設計者等とよく話し合って判断しましょう。キチンとした設計と施工、工事監理がなされればしっかりとした住宅は建つのですから。

紛争処理体制
の整備

ふんそうしょり
■住宅性能表示による住宅性能評価書が交付されている場合は、指定紛争処理によって円滑にその紛争を処理することが可能になりました。裁判などの面倒な手続きだと時間もお金もかかりすぎるということで作られた制度です。指定紛争処理機関への調停、仲裁などの申請手数料は一律、1万円。

これも利用するかどうかは全くの自由。

瑕疵担保責任
の強化

かしたんぽきかん
■今まで瑕疵担保期間が契約で自由に変更することが可能であったのが、この法律によって引渡から最低10年間と定められました。また最大20年間まで延長して契約できます。この期間内、住宅所得者は、住宅供給者(施工者、または売り主)に瑕疵に対する無償修繕やこれに代わる損害賠償請求ができるのです。

10年間の瑕疵担保責任の対象となる基本構造部分は、構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分と定められています。
瑕疵については
こちらを!


設計図書

せっけいとしょ
■設計図書とは、設計の内容を示す設計図と仕様書などの総称です。建主さんの希望や打ち合わせをしたことがこの中に示されています。
設計図書として、必要な図面には、下記のような図面があります。

図面の読み方
については
こちらに詳しい説明があります!
仕様書
しようしょ
■工事における材料や製品の品質や性能、施工方式、製造についての指示を数値と文章で書いたものです。住宅では、あまり厳しく指定しすぎると金額が高くなってしまうことも。工事する業者によっては、手に入れやすいものとそうでないものががあるからです。同じ品質と性能が確保できればその辺は少し柔軟に対応しても良いでしょう。

設計図
せっけいず
■設計図、いわゆる図面には大きく分けて3種類あります。建築図(意匠図)、構造図、そして設備図です。

図面の読み方
こっちにもあります!
建築図  ■仕上表、配置図、平面図、屋根伏図、断面図、立面図、展開図、天井伏図、建具表、それから詳細図などが含まれます。
中心となるのは平面図です。間取りや各部分の幅や奥行きがわかります。また、出入り口や窓の大きさ、開き方などがわかります。断面図では、建物全体と各部屋どうし、また地盤面との高さ関係がわかります。展開図や天井伏図で部屋の中の雰囲気、壁や窓の見え方がわかります。立面図は建物の外観をあらわしているものです。

構造図  ■建物の基礎や柱・梁など骨組みの寸法と取付方などがわかります。建物の出来上がりでは見えなくなる部分が多いのですが、それだけに重要です。

設備図  ■電気設備と給排水設備、それから空調関係の設備図面があります。器具の種類や配線、配管の経路と取付位置などが示されます。

構造

こうぞう
■建物の骨組みのことです。
まず、建物自体の重さを支えられるか、そして人や家具など部屋の中におくものの重さに耐えられるか、ということを検討し、柱や梁、床、あるいは壁などの部材の大きさが決められます。そしてもう一つ、水平方向の力、つまり風を受けたときや地震が起こった時にどのように抵抗するかということを検討します。
それらの重さや力が加わった時、その力を地盤に伝えるための部分が基礎と呼ばれます。とても大切なところです。これは地盤がとれくらいの重さに耐えられるか(地耐力)との関わりで設計されます。住宅は比較的軽いので、あまりないですが、地盤があまりに軟らかいときは杭を打つことも検討しなければなりません。

こちらで
建築の構造のこと
簡単に説明してます

木造
鉄骨造
RC造
地盤

じばん
■建物を支える地面のことです。深いところでは岩盤、その上部、地表面に近い部分は土や砂などで構成されています。
建物を建てる前には、ボーリング調査などでその土地の地質構成、地下水位、各層の強度や変形特性、物理的特性などを調べる必要があります。そのデータを利用して基礎の設計をします。

周辺のボーリングデータは、役所などで閲覧することも可能ですので、事前に大まかなあたりは付けられます。
地盤沈下

じばんちんか
■建物をつくった後に、地盤が沈んでしまうことです。全体が同じように下がる場合と、一部が傾斜して沈む不同沈下とがあります。地盤の軟らかい場所で起こりやすいので、基礎の設計には注意を要します。

坪単価

つぼたんか
■建築工事費を延床面積(坪)で割ったもので、よく建築工事費の安い高いの目安にします。

ですが、ただ単純にその数値だけで判断しないで下さい。雑誌などでは、照明器具やトイレなどの設備が除かれていることもあります。(かならず必要だというのに!)床面積に入らない、バルコニーなどの部分もあるし、家具もあります。その辺は注意してい下さいね。住宅メーカーなどのオプション、これもそうですね。何を含んで何を含んでいないのか、よく見て下さい。しっかり見積に目を通さないとあとでトラブルになりますよ。

1坪は約3.3平方メートル。感覚的には畳2枚分と思って下さい。

ただし畳は、だいたいの大きさは決まってますが、建物によって多少違うので注意。
スタイル

すたいる
■様式というのでしょうか、住宅ではおもに外観の印象だけのことをいうことがあるようです。ヨーロピアン〜、イタリアン〜、そういう意味では和風、というのもひとつのスタイルなんですね。そもそもなんで"風"がつくのか不思議です。

さて、ここで何が言いたいかというと、そういう表面的な部分にはあまり惑わされない方が良いということです。住宅は洋服とは違って、長く存在するものです。ちょっと古くなったって大切に出来るもの、残るものをつくった方がきっといいだろうと思うのです。

エコロジー

えころじー
■直訳すると、生態学。建築関係で使われる場合は、環境生態学的なエコロジカル・プランニングの意味で使われる。自然環境に対し、あまり負担をかけない、自然に近い材料を使う、エネルギー使用量を抑えた計画の仕方、などのことである。エネルギーの問題、廃棄物の問題を含め、これからは必ず考慮しなくてはいけない問題でしょう。しかし、世の中で耳にする時は、どうも「売るための方便」に聞こえてしまうのが残念。いかにも、という外観をしていなくてもそういう考え方は出来るはずですよね。そんなのできると良いんですけど。

cf.パッシブ・ソーラー
太陽熱の集熱器などの機器や設備を使わずに、建築設計上の工夫で、太陽熱を利用するシステム。温室のように窓から取り込んだ太陽熱を蓄え、それを放出し、空気を流す工夫がされています。⇔アクティブ・ソーラー
ツーバイフォー

つーばいふぉー
■木造の構造形式のひとつ。北米やカナダで使われている工法。外観などのスタイルとは関係ありません。
2×4インチの材を主体にしてつくられるのでそう呼ばれます。枠組壁工法とも呼ばれることもある通り、角材と合板でつくったパネルを立ち上げていきます。

こちらでも
ツーバイフォーのこと説明してます

輻射暖房

ふくしゃだんぼう
■暖房というとエアコンを考えてしまうことも多いですよね。でも、熱の伝わり方は空気を介するものだけではないんです。それが輻射で、遠赤外線などもそういう熱の伝わり方のひとつです。床暖房、パネルヒーティングなどの暖房方式がそれです。床暖房は床から直接足が暖まりますが、それと同時に床全体から暖かさが体の各部分にも伝わるのです。埃なども吹き上げることがないく、体に優しい暖房です。温度は多少低く設定されるようです。

熱は、伝導・対流・輻射の3つのかたちで伝わります。

伝導は直接触れることで、対流は水や空気などを媒介として、輻射は離れているふたつの物体間で伝わる熱の伝わり方です。


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