水底の虜囚

 

最終章・炎の傷痕・6

 



「隠したって無駄ですよ。もう何もかも見させてもらいました」
 ジュリアスの知らない低いトーンの声でオスカーはそう言った。  

「…なぜ、そなたが?……」  
 ジュリアスは尚もシーツを引っ張りながら、そう言った。  

「わたくしが、招待したんですよ」  
リュミエールがにっこりと笑ってそう言う。  

「私はそんなことは聞いていないぞ、契約違反だ! ……とにかく、オスカー今日のところはこれで引き取ってもらおう」  

「………いやです。俺はここにいます」
 暗い瞳でそう答える。ジュリアスは驚きをもってオスカーを見つめ、苦しげに眉を寄せる。  

「お願いだ、頼む。こんな、こんな私を見ないでくれ。そなただけには、そなただけには、知られたくなかったのだ。……頼むから帰ってくれ」  

「いやです」
 ジュリアスの哀願をオスカーは即座に退けた。
 躰を覆うシーツを剥ぎ取ると、呆然とするジュリアスの躰を逃げられないように押さえ付けた。

「狡い人だ……こんなに美しい姿を隠していただなんて、あなたの片腕たる俺にも秘密にして…」
 逃げようとする耳元にそっと囁きかける。  

「俺は聖地に来てからずっとあなたに仕えてきた。この辺で御褒美を下さっても、いいじゃないですか」

 オスカーは下に組み敷いた白い躰を荒々しく弄り始める。  
「…うっ、オスカー! やめろっ!」
 制止の声を無視して、ジュリアスの中心を掴む。  

「リュミエールにはよくて、俺では駄目なんですか?」
 浅い息を吐くジュリアスに口唇を寄せながら問いかける。そうしてゆっくりと上下に指を動かしていく。  

「オス……やめ…、おね…が……だっ……」
 ジュリアスは弱々しくオスカーの体を引き離そうと抵抗を試みる。
 だがいっそうの強い力で自由を奪われると、腰にオスカーの熱い高ぶりを感じる。そしてそれは剥き出しのジュリアスに押さえ付けられた。  

「やめっ…やめてくれっ!」
 碧い瞳を潤ませながら、ジュリアスは懇願した。オスカーは構わず躰を進めた。  

「ぐっ……! っうっあああぁあ……」
 部屋中にジュリアスの絶叫がこだました。


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