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分水嶺(1999夏・志賀&魚沼)
怨霊峠
あなたは自分の進むべき道を、自分の判断で決めていますか?
恐い上司や、頭の上がらない先輩の言いなりになってるって?
それは困りましたね。
でも、それに従うのも、自分の判断であると言えますが。
まさか、この世に存在する筈の無い何者かに、無意識のうちにいざなわれてしまってははいませんよね?
土曜日。
金沢在住の ぬのさん に紹介された秘境の温泉を目指し、朝早くに目覚める。起きはしたものの、なぜか体が動かない。
疲れていても遊びの時には元気一杯のハズの体、いったいどうしちまったんだい!!
ダラダラと朝の連ドラなどを見て、結局9時に出発、首都高へ。
その温泉があるのは富山県。
今日中にたどり着けるか疑問に感じながら中央道方向に進むものの、「高井戸−小仏
渋滞30Km」の表示が目に入った途端、発作的に5号線を右折・・・
関越道に入ってしまう。
行く宛を失ったまま走るうち、妙高小谷林道に行こうと思う。
以前、雪に阻まれた道へのリベンジだ!!
碓井峠を越え山並みが迫って来ると、ふいに一刻も速く林道を走りたい気分になり、急遽上田ICで降りてしまう。
一人の時は、キッチリとした計画をなぞるような事は殆ど無いのだけれど、それにしても今日は我ながらイイカゲンすぎる。
いや、テキトーに走っている様で、実は、自らの知らない目的地に向けて一直線に突き進んでいる訳ではあるまいが・・・・
スキーで有名な観光地へ至る林道を一本抜け、更に北上。とある温泉から峠に駆け上がる林道に。
そこそこ距離があり雄大な風景が望める、急坂な砂利の林道。
舗装路に突き当たり、僅かに走った所が峠。そこだけ木が一本も無い、不思議な光景の峠。
道はここで行き止まり!!のハズが・・
峠から延々と下っていく、つづら折りのダートが見下ろせる。
その先に小広い場所があり、さらに道が続いている・・・ように見える。
もしかしたら意外な場所までつながっていそうで、何となくその道を降りてみる。
いくつものヘアピンを曲がるたび、ちょっとした広場に見えた場所が巨大化していく。
辿り着いて見ると、なんとも広大な、不思議な空間!!巨大な造成地のような・・・・
しかし、標高1800mのこの場所にいったい?
観光ホテル?広すぎる。
団地?まさかこんな場所に。
草木も生えぬ山の中腹に、若干の起伏のある更地が何段にもつながっている。
「余裕でEDが出来るではないか!!大勢で来て遊んだら楽しそう!!」
などと思いながら、走り回ってみる。
最下段を見下ろすと、朽ち果てた小屋、もう長年動いていないであろう旧式のダンプカーが・・・・
そこへ降りる道は所々が崩れているものの、降りれない事はなさそう。
その道を進みながら、ふと考える。
いったいここは何なんだろう?
どう見ても自然の地形では無い事は明か。
造成中と考えるには、作業が継続している形跡は見当たらない。
何かの理由で作業が中断されたにしては・・・
目的は何なのだ!並ぶ地蔵の理由は何なのだ!供えられた花の意味は何なのだぁ!!
ふと我に返った途端に背筋が寒くなり、一転「帰ろう」と思う。
どういう訳だか何気なく降りてきた道が、思うように登れない!!
悪戦苦闘、ヨタヨタと峠まで戻り、一気にその場から逃げ去る。
あれはいったい何だったのだぁ!!
小串鉱山痕
山中に昭和46年まで存在した日本第三位の硫黄鉱山の残骸。
山上の過酷な環境に街が作られ、厳しい自然環境や大地滑りなどにも負けず、多くの人々が生活していた。
閉山と共にゴーストタウンと化す。
突撃!越後路
祝!!奥志賀林道・全面舗装化!!栄村側の道も全て!!
く・くっそう!そんな事だろうとは思ってたけど・・・
「あぁら!ガーさん!。DUCででも来てねぇ!!HDでもいいわよぉ!!」
なんて状態になってる!!
その中間あたりのカヤノ平キャンプ場。
ウシの鳴声で目覚める。
ラジオが「関東地方は雨。大雨のおそれも」などと言っているけど、ここは晴天!!
あたりの風景も手伝ってか、なんか北海道で聞く東京地方の天気予報みたい。
まるでよそ事なのだ!!
ほんの山一つ向こうの出来事なのに・・・
信濃川添いに国道を下る。まるで夏のような暑さ!!
新潟県。
「ツーリングマップル」になる前の細身の「ツーリングマップ」時代、全国唯一、マップから外されていた県。
そのために、未知の怪しそうなスポットがいっぱいありそう!!
まず、山古志村・広神村の境目、中山トンネルを目指す。
白山スーパー林道や筑波山など、二輪車のみ通行止めの道って有りますよね?
増してや奥只見・尾瀬とつながるR352なんか、国道のクセにですぜ!!
そんな中、このトンネルは「二輪車のみ通行可」。
おおっ!!逆襲だぁ!!
細いクネクネの道を進む。
まるで四国の国道。ムムムム・・・・
問題のトンネル。
あわれ新トンネルが完成し、ご隠居状態に。
たしかに細い!!
軽自動車ならギリギリ通れそうな、1Km足らずの素掘りのトンネル。
昭和24年、地元の人々が全くの手掘りで完成させ、その後国道に編入。
今は、トンネル内に昔の写真や思い出の寄せ書きが展示されているのみ。
新トンネル工事の際に道を崩され、南側が通り抜け不可。
次に、栃尾市・守門村の境目、福山〜熊取沢〜西中野俣とつなぐ県道476号線に。
この道のどこが怪しいって?
マップルを見よ!
「車両走行不可能な湿地帯」
これっていったい・・・
わざわざ地図に書いておいて走行不能だとぉ?走行してやろうじゃねぇかっ!!
という訳で福山側から侵入。
初めは快適なワインディング。
ほどなく、整備された砂利ダートに。
やがて・・・・
川沿いの、もう相当の期間は誰も通った形跡の無い、異常に草生した道に。
ワダチの水溜まりに前輪を入れると・・・ヌプヌプっと、タイヤ1/3まで沈む。
で・出たなぁ!!そういう事かい?
道自体が湿地帯って事かい?
細い道。
下手に足を付くと、足が果てしなく埋まって・・・
そのまま立ちゴケどころか、バイクもろとも川に転落しそう!!!
Uターンできるような道幅・路面状態ではない!!
こ・これは・・・・・・・・
敗走!越後路
ズボっと埋まった前輪、バイクを降りて抱え挙げて脱出。
しかし前進するしか無い。
そこは難なく突破、とにかくUターン出来る場所まで行かねば・・・
しばらく締まった道となり、戻るのが惜しくなって更に前進。
再びマディー地帯。それは繁った草に隠されていて、唐突に車輪が埋まってから気が付く。
ここで今度こそ断念!!本格的にハマってしまったら、一人では大変な事に・・
何しろ、長期間、だれも通っていない道なのだ!!助けは来るまい!!
舗装路まで無事に逃げ戻る。
しかし、たしかにヒドいマディー道だったけど、「湿地帯」というには表現が違うのでは?
あくまでも「道」だったし。
よせばいいのに、反対側からアタックしてみる事に。
西中野俣側からの入り口を探すが、それらしい道が見当たらない。
怪しい道に入ってみると・・・・
うおぉ!!完全に沼っぺり!!
沼と沼の間を進む個所まである!!
まさに湿地帯!まるで「知床五湖」を、バイクで巡っている気分。
ほどなく道が消える。
R17を南下。
山に向かっているのに南下って言うのも、太平洋側で育った自分には違和感がありますな!
海が北にあるってのも同様。
空はあいかわらずの晴天!う〜ん!日本の夏だねぇ!!。
国境の山々には厚い雲がかかり、関東の人々は今頃ヌレヌレなのだろうけど。
六日町を過ぎたあたりから、通り雨の様なものが時折降ってくる。
遂に来たな!関東からのオコボレか?
分水嶺を越えてきた、勇者の雨よ!!
峠を越えたらずっと雨だろうし、ちょっと早いけど帰る事に。
三国峠への坂を登る。
進むに連れて雲は厚みを増し、あたりは暗くなってくる。
三国トンネルの手前で停止、ここでカッパを着ておくのだ。
トンネルの向こうは、確実に雨なのだ。
偉大なる分水嶺よ!!
ここまでの晴天を有り難う!!!
国境の長い長ぁぁいトンネルを越え・・・
あ・ありぃ〜?な・なんですかぁ?
見上げた空の、あの青い空間は何ですかぁ??
その空で光っている、やたらマブしい丸いものは何ですかぁ????
澄み渡った夏空。
ヘンなカッパで立ち尽くす者が一人・・・・