「週末の放浪者」TOPバイク旅>氷点下!赤城山

氷点下!赤城山(1999秋)

TW キャンプ仕様

秋晴れの朝、待ち合わせの高坂SAを目指して葛西から首都高に。
予想される渋滞に備えて30分も早く出たというのに・・・
いきなり渋滞!!!

中央環状線の葛西〜葛飾ハープ橋間の内回りは首都高にしては路肩が広く、構わず路肩を突き進む。
外環に入るとここも渋滞!!
取り締まりが恐く、さすがに路肩はやめておく。
おぉっとぉ!!関越道もだぁ!!!
ち・ち・遅刻だぁぁぁ!!!



ま・まあ、この渋滞だ。
他にも遅れているヤツもいるだろう・・・

などと都合のいい考えの元、恐る恐る高坂SAに突入すると・・・・



トランザマギ・RMX(借物疑惑)・RMX(新車)・ランツァ(銀)・レイド(食欲大)・DF(中央線色)・・・
おおっ、結構集まってる!!
シェルパ(ヘンな色)・・・
だ・だれじゃ?こりは!!

ゲゲゲゲ!!ジェベル250までぇ!!
遅刻の常習・シトを待たせる事など屁とも思わないこの男まで!!
という事は・・・
遅刻はTWだけだったぁ!!



どうせブチ抜かれるから真っ先にスタートし、赤城PAを目指す。
スリヌケスリヌケ進み、やっと流れ始めたた途端に・・
「したっけぇぇぇ」と、一台目が抜いて行く。
そして2台目が迫って来る。
ライトが眩しくて誰だかは判らないけど、なぜか抜こうとせずに等間隔で90km巡航。
前が詰まって接近した際に確認すると・・・

エッ!!RMX(新)だぁ!!
なぜ抜かない??
イヤガラセ??

だとしたら煽ったり一旦抜いて減速したりするはず・・・
ま・ま・まさか!!
どうやら、マジメに馴らしをやっているらしい。
まあ、会津遠征の時、青いランツァのあの人も、行きの高速だけは「馴らしだから」とか言ってたっけ。
結局続かなかったその人同様、RMX(新)もどこまでガマンできるやら・・



予報ほど寒くなく、雲一つ無い青空!!
榛名山の全景がクッキリと見える。
赤城山はテッペン付近にちょっぴり雲が。
今晩はあそこにテントを張ると思うと何気に寒々とした気分になって来る。
そう、本隊からは途中離脱し、TW組のキャンプに参加せねばならないのだけど・・
それにしても、我ながらアタマ悪すぎる!!



一本目の林道「秋鹿・大影林道」へ。
ここでXR250と合流。
彼は、この林道の途中で皆を待っていた。
というより、どうやら、バイクを停めて何やらやってる最中に皆と遭遇したらしい。
慌ててオーバーパンツ?をズリ上げたのが動かぬ証拠!!!

「今回は走りより紅葉見物が主目的。各々のペースで景色も見ながら走りましょう。」

との趣旨どおり、皆ノンビリ走っている。
そんな中、RMX(借)が一人先行してバリバリ走って行く。
その後を走っていくと・・・・・

道の真ん中に落ちている、真新しいコンビニ袋!!
そこからコッヘルが顔を出している。
止まって調べると・・・



1.酒臭いコッヘル×2

2.後生大事に使い込まれている、コンビニ弁当付属の箸



こ・こりは持ち主がバレバレ!!!
そう言えば、さっき別のコンビニ袋も落ちてたっけ・・・
とりあえず拾って追いかけると・・・・大正解!!!!



あのスーパー直線が名物だった「万沢林道」、最後の時が近づいております。
全線ダートではあるものの、削られて異常に広くなった道幅。
コンクリで整備された崖には真新しいガードレールが。スーパー直線区間は真っ平らに整備されていて、石一つ落ちていない!!!
舗装は時間の問題でせう。

万沢ファンの皆様!!!速攻で走り収めに行くのだぁ!!!



ポカポカ陽気のスキー場の芝の上、ピクニック気分で昼御飯。
このままノンビリしていたい衝動を押さえ、皆と温泉宿で楽しく過ごしたい誘惑に打ち勝ち、一人赤城山を目指す。
日没までには着けそうも無い旨をTELすると・・

「今、赤城山の上だぁ!!寒いよぉ!!風がビュービュー吹き荒れてるよぉ!!」

早くも夕方の気配の空。
前方には、黒々と・そして寒々とした赤城山の姿が。



* **********************************

草津のスキー場で、「お楽しみはこれからだぁ!!」と叫ぶ人々と別れ、一人赤城山を目指す。
せめて日没前には到着しようと、気ばかり焦るが心弾まず。
ノロノロの国道に荒んでいく気分。
我ながらホンットに珍しく、「黄色ラインなんか問答無用・歩道だって道なのだ」走行を繰り返す。

工事片側交互通行個所で、先頭に止まっているダンプの前に回りこむと・・

「だみだよぉ!!勝手な事やっちゃ!こりからこのダンプを現場に入れるんだから」

とホザく誘導員。

「にゃにおぅ?勝手だとぉ?工事やって渋滞させてんのはオマエラの勝手だろう!」

「わ・わかったよぉ。先に行っていいよぉ」

平和では無い会話。
○龍さんだったら、更に「ブッ○○すぞぉ!」が付くだろう。



17時。
沼田での買い出しチャンスを逃し、気が付けば店などある気配の無い広々とした畑地帯を淡々と登り始めている。
暗黒の赤城山の肩には巨大な満月、覗き込む様に低い位置から、不気味な乳白色の月が紺色の空に映える。

「標高700m」から始まり、徐々に数値が増えていく看板。
一つ一つ通過するたびに寒さが増していく。
800m・900m・・・

もういい加減で止まってくれぇ!!!
1000m・1100m・・・

普段ならコゾー達が熱い走りを繰り広げるこの道、今は全く暗闇の単独走行。

1200m・1300m・1400m・・・・・

やがて大沼が見える。
湖畔には点々と灯りが。
よかった!!土産物屋で酒類が買えるぅ。

観光客が消え去った後の荒涼とした風景。
ビュービュー吹き付ける寒風の中に降り立ち、西部劇のシーンの様な気分で土産物屋に入る。

「えっ?これからキャンプするのぉ?もう0℃だよぉ!!」

明らかに、BAKAを見下す様な視線。



キャンプ場への行き方を確認する為に、TW組若頭にTEL。
心の中では

「余りにもヒサンだから、宿に変更したよぉ!!」

などといふセリフを期待しながら呼び出し音を聞き続ける。
で・出ない!!!
何度呼んでも出ないのだ!!
仕方ないので土産物屋で聞くと

「やっぱりキャンプするのぉ?こりからもっと冷えるよぉ!!まあ、ずっと起きてればダイジョウビ!!」

く・くちょぉ!!!!



とにかくとにかくキャンプ場に。
だ・だれもいない!!
若頭のトランポも、その他のバイクも見当たらない。
TELは呼び出し音が続くのみ。
さっきのTELでは、「おでん作って待ってるからねぇ」という話だったのにぃ!

場所が違うのかと湖畔をグルグル回ってみたけど、余計に体が冷えていくのみ。

19:00。
バイクに付けた温度計は既に−1℃。
渋温泉でホカホカと過ごす豊田組一行の姿と、旅館に場所を移してヌクヌクしているTW組員の姿が交互に見える。

「今から渋温泉に行けるだろうか・・
そりとも帰ろうか・・・・」

若頭にTELする間隔が、徐々に短くなる。
相変わらず呼び出し音しか聞く事が出来ないのだけれど。



いつのまにか月は高度を増し、「いかにも月」っていう黄金色のストロングな満月になっている。
強風に晒されて波立つ湖面には、その破片が数限りなく揺れる。

湖畔の水溜まりが、徐々に、音も無く凍り始めていく。



***********************************

月も凍える赤城の山。
キャンプ場に居るのは、サーカステントの中から笑い声と灯りを溢れ出させている見知らぬグループ、焚き火の前に張り付いて凍結したように動きの無い二人連れのおねえちゃん。
そして・・・・

到着したそのままの状態で呆然とたたずんでいる自分のみ。
吹き荒れる風に煽られた赤や黄色の落ち葉、カサカサと足元を走り抜けていく。

照明など一切無い暗闇の中、対岸にポツポツと並ぶ建物の灯り。
立派な夜景では無くても、寒い夜の灯りは何とも言えない暖かさを感じる。
しかしそれは虚飾の温もり、本当の温もりを手に入れる為に下山を決意する。
ヘルメットを被る前に、未練がましく若頭に最後のTEL。
「はぁい、もしもしぃ?」

つ・つ・つ・つながったぁ!!!

「さみいからウラの国民宿舎の風呂に入ってたんだよぉ!!えっ?テントが見当たらないって?ドテの下に張ってあるよぉ!よく見ろよぉ!!もう風呂入って来たんでしょ??」

「にゃ・にゃにおう!!!!」



兎に角とにかく、焚き火を囲んで「おでん」を作り始める。
総勢わずか4名。
座っていると寒く、皆立ったまま「おでん」をつつく。
火力の強いガソリン式のストーブは「おでん」用に。
この環境での555と家庭用ボンベでは火力が頼りなく、酒は「ぬる燗」が精一杯。
その「ぬる燗」でさえ・・・

一口呑んで机に置き、おでんをつついてもう一口・・・
すでに燗冷まし状態!!
まるで冷酒だぁぁ!!!

あきらかに余りそうな「おでん」をエサに、おねえちゃん二人組と合流。
それでも会話は弾まない。

「俺、冬用シュラフだから・・・」
「おれはシュラフ2枚重ねで勝負!!」

まるで、極寒夜間乗り切り対策報告連絡相談会議なのだ。

強風が舞う中、頼りの焚き火も役立たず!!
死ぬほど煙くて火の粉を浴びる覚悟が無いと、暖まれる位置まで接近出来ない有り様。
水タンクにも薄氷!!
表に出ているのさえ苦痛になり、次々とテントに逃げ込む夜10時。
日の出までの時間を指折り数えて寝袋に。
気温−3℃。



やっと寝付けたと思ったら、いきなり叩き起こされる轟音!!
な・なんじゃ?

赤城北面道路から4輪の走り屋達がバトる音!!
行ったり来たり延々と続く。
カンベンしてよぉ!!!

やがて静まり返った山中、再び寝付けるのはいつの事やら。
隣のテントから、耐えきれずにガサガサとカッパを着込む音が聞こえる午前2時。



待ちに待った朝!!
一気に明るくなる快晴の青空!!風も無い!!
ザクザクと霜柱を踏みしめながら、一人、また一人とテントから這い出してくる。
全員無事に朝を迎える事が出来た喜びに、一同異常に盛り上ってルービで乾杯!
日向に寝そべれば、うっすらと汗ばむ強い日差し、穏やかな湖畔のたたずまい。



やがて・・・
日帰りライダーがサワヤカに走り抜ける湖畔。
楽しげにバーベキューを始めるデイキャンパー達に囲まれて、焚き火臭いススだらけの顔を並べてバカ笑む我々は、いつまでも見苦しく生還難民状態を晒し続けるのであった。



(寒)・・・・いや!!(完)

関連情報へ
「バイク旅」に戻る
「週末の放浪者」 トップページへ