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湯あがりウエディング(前編)
事始め
世間一般的には、結婚したら披露宴を行うのがフツーである。
しかし、一昔前の様な「スモーク炊いて新郎新婦がゴンドラで・・・」などというのは問題外としても、そこそこの形態の披露宴でさえ相当こっぱずかしい物である。
ハッキリ言って、新郎新婦は見世物以外の何者でもない!!
特に新郎にとっては、人生最大の耐え難い一時なのだ。
そんなのやってられないよう!!
でも、花嫁姿を夢見ている女性だって数多く居るのだ。
披露宴を強引に却下した結果、
「いいの。あなたと一緒になれるだけでシヤワセ!!何も要らない!!」
などという新婦に限って、のちのちに
「あたしゃ花嫁衣裳も着せてもらえなかった!!くどくどくどくど・・」
と豹変し、ダンナはアタマがあがらなくなってしまう例も多々あるそうだ。
幸い、我が妻・朱蘭様は
「披露宴なんてコッパズカシくてイヤ!!」
派なのだ。
「文金高島田などを無理矢理着させられようものなら、1分以内にゲロを吐いちゃう」
とまで言い切っている。
それなら話は簡単なのだけれど・・・・
こういった場を設けなかったバヤイ、挨拶回りがタイヘンだとの指摘もある。
う〜む。
協議の結果、方針が決まる。
・ 当人達も参列者も金銭的負担を最小限にする為に、会費制で行う。
・ 親族やカイシャのオエライさん達は呼ばない。
・ ゲームやアトラクションなどは行わず、只のお披露目宴会とする。
・ 全て当人達で手配・企画する。
いわゆる、披露宴二次会レベルに近い性格ですな。
会場選び
安くあげる為にはキャンプ場でとの考えもあったけれど、それではバイク系以外の皆様が参加しにくいであろう。
雰囲気的にも、内山牧場での突発結婚発表の時と何ら変わらなくなってしまうし。
まあ、居酒屋貸し切りが妥当ですかな・・・
参加人数をザックリと予想してみると、百人程度には届きそうである。
何軒かの居酒屋の宴会資料を見てみたのだけれど、座敷にこだわるとせいぜい80人迄というのが殆どではないか!!
でも、やっぱり座敷の雰囲気が良いと思うのだ。
宴たけなわになる頃、自由に席を移動出来るのが座敷の魅力ではないか!!!。
困った時のネット検索!!さっそく『宴会』『座敷』『100人』『都内』などなどの諸条件を入力すると・・・
『該当するデータは1件です』
どりどり?・・・おおっ!!!こ・こりは!!!!
『東京健康ランド』
な・何と!!!
想像の限界を超えた結果に、思わず夫婦でのけぞる。
「これも面白いかも!!さっそく下見に行こう!!!」
あいかわらず、BAKAな夫婦なのであった。
我々ライダーにとっては、『クズの殿堂』とまで言われる健康ランド。
果してこの様な場所で披露宴モドキが出来るのだろうか?
などと考えながらも到着。
アロハやムームーをピッチリと着込んだオジオバ達を掻き分けながらフロントに。
さっそく宴会部屋を見せてもらう。
う〜む、いわゆる「風呂上がりのクズり広間」とは別に、アロハムームー軍団から隔離された一角に立派な宴会部屋が!!!
大広間二つを繋げると150人は入れるとのこと。
酒を飲んで、風呂に入って、再び一般宴会場で飲んで、また風呂に入って、そのままゴロ寝!!
これが同じ場所で出来るのだ!!
これこそクズの真髄!これぞ宴のフルコース!!
それぞれの部屋の名前が『阿蘇』『白根』と言うのも好ましい。
なにしろ、我々二人が始めて出会ったのが九州からの帰りのフェリー。
そして再会したのが群馬でのキャンプ。偶然とは言え、何とも我々にふさわしいネーミングではないか!!!
殆どコジツケ的ながらもムリヤリ感激し・・・・・
こうして、アッサリと会場が決定されたのであった。
衣装
結局、朱蘭様はウエディングドレスを着る事に。
「あたし、ウエディングドレスを着るのが、子供の頃からの夢だったの!」
などという、可愛げのある理由では無い事は前記の通り。
新婦がちったぁマトモなナリでもお披露目しなければ、ホンットに只の宴会になってしまうので、一種のケジメをつけようと言う事なのであった。
従って、高級ウエディングドレスなんかにゃ用は無かったのだけれど・・・・
タウンページを見ながら、貸衣装屋に次々とデンワ。
う〜む・・・・どこも試着予約で一杯だぁ!
当日にイキナリじゃダメらしい。
「16時頃なら試着できますよぉ」
おおっ!やっと一軒目をゲット!!
しかし16時じゃ時間が有りすぎる。
一応予約し、更に別の店にデンワ。
「どうぞおいでください。すぐに着れますよぉ」
ラッキー!!!
さっそく乃木坂のA店まで、TWに2ケツで向う。
なにやら場違いな感じのタンデムで六本木界隈を通過し、A店に到着。
うっ!何か嫌な予感!!
やたらと店の雰囲気が高級すぎるのだ。
どっかのお嬢様方に混じって、オロオロとメットを手に奥に引きずり込まれる。
「あのぉ・・・・・一番安いのを・・・」
「はいっ!承知いたしました。こちらなら大変リーズナブルで17万・・・」
最後まで聞かずに、店を逃亡!!!!
恐る恐る、先程予約した店にもデンワで値段を聞いてみる。
「・・・・・。あのぉ、やめときますぅ・・・・」
やっぱり、案の定の値段だったのだ。
次は渋谷のB店。前の店の反省から、今度は値段も確認済みなので、少なくとも恥はかかずに済みそうだ。
地図を見ながら店の場所を確認すると・・・・・
おおっ!いかにも「今時の渋谷」といった場所ではないか!!!!
まあ、行くしか無いでせう。
予想どおり、あたりは正にTWだらけ!!
にいちゃんねえちゃんが2ケツでウジャウジャうごめく中、こちらもTW2ケツには変わり無いのだけれど思いっきり浮いている!!!
「へん。こっちの方が正統派の流れだ!!!」
などと威張ってみたって多勢に無勢。
コソコソと端っこを走る。
そしてB店へ。
確かに安いけど、着れるドレスが殆ど無い!!!
店の品数が少ない訳では無い。
朱蘭様がデカすぎるのだ!!!
「あのぉ・・・・○○号は無いんですかぁ?」
(妻の名誉の為に伏せる。ただし二桁ってのはバレバレ!!)
あーでもないこーでもないの末、展示用に使われていたバカデカサイズのドレスが運ばれてくる。
しかも超ブリブリタイプだぁぁ!!!
「や・やだぁ!!こんなのコッパズカシイよう!!」
「黙れ!!着れるだけ有り難いと思え!!!」
「だってぇ・・・・」
「嫌なら女装専門店に行くぞぉ!!!」
「・・・・・」
(注意:ホントはこんなに威張った言い方は出来ません)
まあ、とにかくとにかく衣装が決定!!
ああ面倒くさい!!
などと言いながら・・・
密かに、妻のウエディングドレス姿に思わず感激しているBAKA夫なのであった。
スタッフ集合!
我々は、一応は主役である新郎新婦なのだ。
事前の準備を全て自分達だけで行うツモリとは言え、来て頂ける皆様へのご挨拶回りには極力時間を使いたい。
その為には、当日は誰かの手を借りなければなるまい。
我々二人に縁のある皆様にお願いする事に。
まずは司会者。
朱蘭様の友人の披露宴で、新郎自らが司会進行を行った例があるとの事だけど、なにしろプレッシャーに弱いBAKA夫、そんな器用なマネも出来るわけが無く・・・・
やはりこの人!"ぽっぽや"に決定!!
なにしろ二人の出会いの恩人様なのだ。
「司会?いいよぉ!!任せてくれ!!はりきっちゃうぜぇ!ぶっ殺すぜぇ!!」
二つ返事でOKである。
(注意:「ぶっ殺す」は、ただの口癖です)
次に会計担当。
集まった会費から、飲み物食い物の追加発注などを遣り繰りして頂かなければならず、シッカリした人が必要なのだ。
こりは"くぬぎ夫妻"に頼もうではないか!
○ウラ話
くぬぎPapaに依頼した理由:Papaは、シッカリ者のMamaにお願いする為の当て馬だったのだ。
だってPapaったら、ヨッパライなんですもの・・・
○ウラ話の後日談
当日Papaには、酔っ払うどころかロクに飲み食いもせずに頑張って頂きました。
感謝&ごめんなさい!!
そして受付。
善良さを強調する為には、サワヤカな顔が必要である(たとえ偽りの笑顔であっても)。
そりならば"はたぼー"が最適であろう。
もともと下僕体質な彼、アッサリと引き受けてくれる事に。
ただし所詮は腹黒い男、お目付け役として画伯にも依頼。
着付け&メイク係。
普段はロクに化粧もしない新婦。
簡単な通勤仕様の化粧では、主役の座が泣くではないか!!
そこで新婦の学生時代からの友人である"まるくす"にお願い。
彼女と朱蘭は仲良しで、学生時代は『レ○』とのウワサも流れたほど。
でも今は亭主・子供に囲まれたシヤワセな妻で、『○ズ』のウワサはガセネタだったらしい。
その他諸々のお手伝いを依頼し、慌しくも準備は進みつつあった。
ハプニング
朱蘭の友人であるMちゃん(♀)から、フシギな注文が入る。
「当日、歌いたいんだけど・・・・司会者と連絡をとらせて!!」
な・なんじゃそらぁ??
司会者ぽっぽやの連絡先を教えるのは簡単なのだけれど・・・
新郎新婦のお披露目&ご挨拶が主体と考える我々夫婦は、ショータイム系の企画は必要最小限に留めたいと考えていたのだ。
しかも、当日の進行は未だに決まっていない状態。
当然ながら、当日の台本(?)が頼りのぽっぽやに、歌の相談をした所で彼も困惑するだけであろう。
まあ、歌位なら自由に決めてもらおうと彼らに任せる事にしましょうか。
しかし、実はナゾのタクラミがあったとは・・・・・・
タクラミは、意外な形でホコロビを見せる事となった。
一本のデンワ。
「あのぉ、東京健康ランドですぅ。酒の持込料の件ですが・・」
「な・なんの話でせうか?」
「女性の方からのご要望が有った件ですよぉ!!今回は特別に持ち込み料は頂きません」
「は・はぁ・・・・」
女性っていったい誰?
朱蘭に聞いたけど判らないとの事。
も・もしや・・・
翌日、朱蘭様がMちゃんに確認すると
「ゲッ!ばれたか!!」
何を企んでいるのじゃあ!!!
バレはじめてしまったMちゃんらのタクラミ。
追い討ちを掛けるように、数日後に再びデンワ。
「あのぉ、東京健康ランドですぅ。持ち込まれる樽酒の件ですが・・」
「た・たるざけぇ???」
「女性の方からのご要望が有った件ですよぉ!!鏡割りをなされるんでしょ?木槌とか紅白の垂れ幕とかご用意いたしますよぉ!!!」
「は・はぁ・・・・」
んもぉ完璧にバレバレである。
アッサリとバレてしまったとは言え・・・・
この樽酒の鏡割り、当日のお色直し後の展開をピシッと引き締める、重要な役割を果たしてくれる事となったのだ。
とっても有りがたい事です。
感謝感激なのです。
しかし・・・・・
この樽酒が、新郎を始めとする多くの泥酔者を発生させる結果となった事も付け加えねばなるまい。
こういった様々な紆余曲折の結果、いよいよ『ひま&朱蘭 お披露目の宴』当日を迎える事となる。