湯あがりウエディングその3(携帯版)
●ドタバタ
当日の朝を迎える。
レンタルのウエディングドレスも届いているし、記念品の『名入りタオル』も準備完了、リーフレットも完成している。
このリーフレット、安くあげる(タダで制作する)為に会社でコッソリとコピーしてしまうツモリだったのだけれど、ちったあマトモに見せる為には表紙は色紙を使いたい。
色付き上質紙は値段も高く、会社には在庫も無い。
そこで発見したのが「クリーンルーム用の無塵紙」、うっすらとした水色で丁度良いではないか!
こりは使える!!
と言う事で、全てパクリで完成したシロモノなのであった。
もっとも、他の社員の帰宅をミエミエに待ってからの作業だったので、バレバレだったのかもしれない。
まあ、その位は御祝儀代わりに許しとくれよう!!
●指令
荷物満載のクルマを健康ランドの駐車場にブチ込み、速攻で昼飯。
宴が始まったら、次に何かを食えるのがいつになるかは判らないのだ!!
しっかり食っとかなければなるまい。
ついでにルービもちょこっと飲んでしまう。
こちらの方はどれだけ飲まされるか判らないというのに・・
午後1時、新婦・朱蘭は美容院に。
司会者等との打ち合わせは3時からである。
その間、新郎に与えられたおシゴトというのは・・・・
司会などのスタッフが、何やら1時からコッソリ集まるという極秘情報を入手したのだ。
「彼らが何を企んでいるのか調査せよ!!」
と言う朱蘭様の指令に従い、消息筋から聞き出した会合場所のデニーズに潜入!!
居た居た!!
確かに集結しているではないか!!
「ゲゲゲ!!!ひ・ひまアニィ、な・なじぇここに・・」
「だめだよう!!新郎がこんな所に来ちゃ!!イロイロ準備が有るだろう!!」
口々に、あからさまな邪魔物扱いを始める面々。
「なんだよう!!何か本人が居ちゃマズい事でも有るのかよう!!」
「べ・べつに・・」
そうは言う物の、ソワソワしながら互いに顔を見合わせて、苦悩の表情を浮かべる面々。
ついに意を決した、司会者ぽっぽや
「アニキィ、悪いけど・・・・ハッキリ言ってジャマだぜぇ!ぶっ殺すぜぇ!」
●会場入り
アッサリとデニーズを追い出され、仕方が無いので健康ランドに向う。
ここでボーっとしているのもヒマなので、一人で荷物類の搬入を開始。
フロントのオバちゃんが飛び出してくる。
「何ですかぁ?宅配便の配達ぅ?こっちから入って来ちゃダメでしょっ!!」
「ち・違いますぅ。今日の宴会の荷物を中に…」
「あらそう、荷物は宴会場に入れといて良いわよ。でも随分早く来ちゃったのね。」
「は・はあ」
「宴会は5時からだから、それまでお風呂にでも入ってなさい。支度があるから、荷物を置いたらいつまでも宴会場に居ちゃダメよぉ!!」
どこに行っても邪魔物扱いされる、「主催者」兼「主賓」なのであった。
●そして開宴へ
3時。
スタッフ達が集結し、一気に慌しくなる。打ち合わせが終る頃に前後して、参列者の姿もポツポツと見え始る。
ひとっ風呂浴びてタムロしているお馴染みの面々の姿に安心感を覚え、ついつい加わってダベるうちに参列者は更に増え、あちらこちらで同窓会的な懐かしの御挨拶なども聞こえてくる。
何か他人事の様な気分になり、何気にウダウダ過していると・・・・
「そろそろ支度しなきゃ!!」
そ・そうであった。
控え室では、既に朱蘭様のウエディングドレスの着付けが終り、まるくすから化粧を施されている所。
慌てて礼服に袖を通そうとすると、さすが新品!!
値札やらタグやらが七夕の様にぶら下がっている。
更に慌ててブチブチとそれらを千切りまくる横では、まるくすと朱蘭がオロオロしている。
「ベールの付け方が良く判らないよう!!あーでもないこーでもない!!」
速攻でTBBが呼び出される。
なにしろ彼女、2週間前にウエディングドレスを着たばかりなのであった。
司会のぽっぽやが覗きに来る。
「お~いっ、準備は良いか?そろそろ始めるぞぉ!ぶっ殺すぞぉ!!おぅおぅおぅっ!!」
くどい様だが、「ぶっ殺す」は口癖である。
いつもと違う「おぅおぅおぅっ」の部分は、朱蘭様の晴れ姿に見とれてしまった歓声なのであった。
●入場!!
新郎新婦入場に備えてピッチリ閉じられた宴会場のフスマの向こうからは、開宴を告げる司会者の声が響き渡る。
そしてそれに続く結婚行進曲!!
い・いくぞぉ!!!
控え室から廊下にでる。
おおっ!!健康ランドの宴会係の皆様が集まっていて、拍手で出迎えてくれているではないか!!
何と言う暖かい対応、有り難いよう!!
(物珍らしかっただけなのかしらん・・・・)
そんな従業員の皆様に見送られて、いよいよフスマを開けて入場。
「おおおおおおおっ!!!!」
大歓声に包まれる会場!!
ホ・ホントに大勢の皆様が来てくれたよう!!
感激だよう!!
雲の上を歩く気分でステージの上に。
おびただしい数のカメラの砲撃を受け、どんなツラをしていれば良いのかオロオロする。
新郎新婦の御挨拶、婚姻届の証人・いそび氏による内山牧場での入籍報告に引き続き、お約束の誓いのチュー!!!
再びカメラが集結する。
「ハイッ!こっち向いて!!」
「今度はこっち!!」
「こっちもぉ!!!」
そうそう何度もチューするのはコッパズカシイよう!!
え~いっ、そりならば・・・
チューをしたままオルゴール風に体をグリグリ回転させる、この後に及んでもBAKAな夫婦なのであった。
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BAKA夫婦へ
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