オリオン日記(2002夏・西表島)その10(携帯版)
再び、にせバックパッカー父子となり、船で強制送還。
しかし何だか様子がおかしい。
行きの船と帰りの船で、乗客がメンバーチェンジしているのだ。
朱蘭さまのようにカヌーを申し込んだ連中やレノン一家が乗ってないのは当然として、見覚えの無い乗船客がワンサカと乗っている。
これはなぜ?
推測するに、「2時間後に、乗ってきた船で帰る」と言うのは原則であって、次々と来る船に、自分の都合で勝手に乗り換えてしまうことが暗黙の了解となっているようなのだ。
それならば慌てて2時間で戻ってくる必要は無かった事になるが、
「○○分間隔で運行。最終は○○時」
とキッチリ決まってる訳でもなさそうなので、あんまりノンビリとしすぎて、道無きジャングルに取り残されてしまうのも極めて困る。
大汗かいたし、一旦いるもて荘に戻って着替えとオコチャマにエサでも食わせる作戦とする。
ところが・・・
帰りのクルマですでに、またまた爆睡体制に入ってしまったオコチャマ。
いるもて荘に着いて部屋に転がしても起きやしない。
起こすのも可哀想だし、そのまま放置して様子をみるものの・・・・
いつになっても起きないのだ。
オトーチャンのメシはどうしてくれる!!
ついに2時を過ぎる。
もう容赦ならん。
叩き起こして強制メシを食わせたものの、前回のパターンだと、開いてる食堂など期待が出来ない。
こうなったら・・・・
結局、いざるように、またまたまたポケットハウスに。
数少ないメニューを、完全制覇してしまいそう。
「あら、オクサマは今日もダイビング?」
「いえいえ、今日はカヌーですぅ」
「あらららららら、タイヘンですねぇ」
目の前には鳩間島、そして砂の島「バラス」。
そんなアンバイで、またまたまたココでオリオン漬けに陥るのであった。
一方、カヌーに乗った朱蘭さま。
四万十川などでカヌー経験のある朱蘭さまは、カヌー自体も楽しみにしていたのだけれど、いわゆる本格的なカヤックというよりも初心者用のチンケなヤツだったらしい。
操作的には、そこいらの公園の手漕ぎボートに近い感覚だろうか。
まあ、経歴不詳の観光客を相手にしてる訳だから、初めての人でもそれなりに乗りこなせないと商売にならないのだろう。
それはそれとして、川下りは非常に面白かったそうだ。
途中でマングローブの森の中に踏み入ったり、観光船では入り込めない所にある滝に打たれてみたり、川での水泳タイムもあったり・・・・
オトォチャンだっていつまでもヘベレケにばかりなっている訳にはいかない。
頃合いを見計らって、朱蘭さまをクルマで回収に向かうのだ。
オコチャマを積み込んで浦内川の船乗り場まで来たものの、ちょっと時間が早すぎたようだ。
橋の上から川の上流を眺めれば、遥か遠くに、いくつかのグループに分かれて隊列を組んで水面上をスイスイとすべるように進んでいるカヌーの一団が見える。
それでは時間つぶしにドライブがてら走り始めてみれば・・・・
あっというまに終点の白浜に着いちまった。
せっかく再び白浜に来たのだから、帰りは集落の直前のトンネルを通らずに山越えの旧道を走ってみる事にする。
山越えと言ってもそんなに険しい箇所ではなく、ほんの2~3キロでトンネルの反対側に合流してしまう。
しかしこの旧道は、なんとホタルの生息地だとの事。
もちろん夜ではないのでホタルが居たとしても光っちゃいない。
ここで夜まで待ってる訳にもいかないので、それはチャンスがあった時の楽しみと言う事で。
再び浦内川の船乗り場に向かう途中・・・・
ふいにあたりが暗くなり始め、あっというまにスコールのような雨である。
こりは朱蘭さまがタイヘンだ。
カヌーには水着で乗ってるとは言え、ゲキ雨に打たれたって良いと言う事ではあるまい。
コーナーを一つ二つ曲がると、雨が止んだと言うよりも最初から降っていない状態だったりする。
そして更に進むと再びスコール。
タラタラ走っててもイッキに終点に着いちゃうような距離だと言うのに、そんな状態が繰り返されているのだ。
果たして浦内川のあたりは如何に。
正解は「カヌーを降りると同時に降られた」だった。
南国で、海があって、島があって、そこに山があって、そして風が吹けば、どっかで必ず雨が降るってのを、身をもって体験したのだ。
上原のスーパーで、アイスを買う。
トッピングは『ゴーヤー』『紅芋』『サトウキビ』。
シヤワセシヤワセ。
海を見ると、遥か沖合いを積乱雲が流れていくのが見える。
モコモコとトグロを巻くように白びかりしながら、まるで真っ黒なロングスカートでも履いた様な裾をひき、徐々に鳩間島ににじり寄っていく。
やがて鳩間島は暗黒の空間に隠されて姿が見えなくなる。
ああ、鳩間島が流されちゃったらどうしよう・・・
などとマジで考える訳も無く、もちろん、程なくクッキリと姿を現す鳩間島。
心なしか、雨に洗われて先ほどよりキレイになった気がする。
これも、そんな訳は無い。
ただ一つ言える事は、鳩間島では何人の観光客がズブ濡れになっただろうか。
そんな無意味な事を考えつつ・・・・
アイスのついでに、コッソリと、どなんも買っちゃったりするのだった。
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