オリオン日記(2002夏・西表島)その11(携帯版)
●8/16(金)
今日も親子3人で行動開始。
昨日に引き続いて滝シリーズで、今日はいよいよピナイサーラの滝なのだ。
ピナイサーラの滝は落差55m。
日光・華厳の滝や和歌山・那智の滝を思わせる、スタンダードな「イッキにドカーン」タイプのカッコイイ滝。
沖縄県で一番大きい滝でもあり、なんと鳩間島からさえも見えるそうだ。
この滝は海岸沿いの道路からも眺める事は出来る。
しかし、それだけではちょっと寂しい。
もちろん鳩間島から見るよりは遥かにマシだけれど、せっかくだから、ぜひとも目の前で眺めたくなるのが心情である。
ただし近くで見ようとすれば、なかなか気合が必要らしい。
その手段は、以下のとおり。
1:
観光船で20分ほどヒナイ川を遡り、そこから徒歩20分で滝壷へ。
これは、ツアーとして参加する事になる。
2:
カヌーを借りてヒナイ川を遡り、そこから徒歩20分で滝壷へ。
ツアーでは行けない、滝の上に登る道にもチャレンジ出来る。
3:
海岸沿いの道路からマングローブの森のフチを歩き、滝壷もしくは
滝の上に。滝壷までの場合、往復5時間コース。
ただし歩けるのは干潮時のみで、潮が満ちてきちゃったら泳ぐ事になる。
オコチャマ連れだし、可能性があるのは1番しかない。
それが一番ラクな方法なのだけれども、それでも滝までの道は険しいとのウワサだ。
そこであらかじめ、西表島に上陸した翌日にレンタカーを借りる時、船浦の『やまねこレンタカー』のニィチャンに聞いてみたのだけれど・・・・・・
「えっ?コドモをオンブしてピナイサーラですかぁ?う~ん。行けない事もありませんけど、お勧め出来ませんねぇ。実はワタシも、コドモを背負って行った事があるんです。ええ。でも、もう二度とゴメンですねぇ」
などとのたまった。
ヘンっだ。
レンタカーにぃちゃんは親切で言ったのだろうけれど、実は、このセリフで行く事に決定したのだ。
絶対にムリだと言うならともかく、レンタカー屋が行けた道を、このワタクシが尻尾を巻いて逃げる訳にはいくものか!!
カンバルぞぉ!!
ピナイサーラに向かう観光船は不定期で、この時期は一日2便との事。
決してイイカゲンに、そしてケチって運行している訳ではい。
ピナイ川の下流域は細長い入江のような状態が続き、海面との高低差が極めて小さい。
その為に川の水深は海の干満に左右されてしまうのだ。
これは仲間川、浦内川でも同じである。
仲間川などに比べると小さな川であるヒナイ川は水深も浅く、船が川の奥まで入る事が出来るのは満潮時の前後に限られてしまう。
従って、どんなに頑張っても一日2便なのだ。
夜とか早朝とか中途半端な時刻に出航しても仕方が無いので、時期によっては、一日1便になる。
なぜ、西表島の主だった川がこのような形状なのかは判らないけれど、もちろんマングローブの影響でそうなった訳ではなく、その様な地形だからこそ、マングローブの森となったのだ。
もし西表島の川に河口直前まで高低差があったとしたら、マングローブの森は存在していない事になる。
当日、ツアーの申し込みなどを代行している『やまねこレンタカー』の事務所に向かうと、窓口のオババから再びオドシをかけられる。
「その子を連れて行くのぉ?ベビーカーじゃ無理よぉ。」
「もちろん、オンブして連れてくツモリですけど。」
「ホントに大丈夫なのぉ?タイヘンよぉ。」
「昨日もオンブで、カンピレーの滝まで行ったけど、ヘーキでしたよ」
「カンピレー?ダメダメ。アッチの滝なんか道は良いし、坂は急じゃないし、コッチに比べたら全然楽なんだから。そんなのと比較しちゃダメよ。」
ふ~む。ますますファイトが沸いてきた。
ツアー参加者は、やまねこレンタカー前に集結。
そのまま目の前の船浦港から出航かと思ったら、マイクロバスと各自が借りたレンタカーなどに分乗し、内陸の細い道を隊列を組んで走り出す。
やがてダートとなって程なく、草生した広場にクルマを止めて、ガイドに引き連れられて登山道のような道を一列に歩き出す。
懐かしのロッキー刑事がドリフの探検隊衣装を着させられたような雰囲気のガイドだ。
船の気配は全く無く、徒歩で滝を目指すツアーに迷い込んだのではとアセるものの、他の参加者は老人子供ばっかりで、まさか5時間は歩けまい。
涸れ川に沿って歩く事しばし、ふいに小さな川に突き当たる。
ヒナイ川の支流で、そこに船が留められていた。
浦内川観光船よりもチンケな船で、桟橋も何も無く、川沿いの土手の木に縛られている。
そして、土手に船の舳先をムリヤリ押し付けての乗船となる。
船はヒナイ川の支流を下る。
極めて小さな川で水深も浅いため、船は歩くよりもゆっくりだ。
両岸のマングローブは手の届きそうな所まで迫り、トントンミやシオマネキみたいなカニや、巨大シャコなんかが手づかみで採れそうである。
ヒナイ川に出て、それを遡上する。
イッキに川幅が広く感じるものの、水深は相変わらずかなり浅いらしい。
船は座礁を避けて右に左に蛇行しながらも、頭上に迫ってくる木の枝も避けたりして忙しい。
いよいよ川幅が細くなり、色とりどりのカヌーがウジャウジャと係留されているあたりで停船。
どうやらここいらで降ろさせるらしいのだけれど、ここにも桟橋は無く、乗船時と同じ様に船の舳先から土手に飛び降りる。
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