南国大尽(2001冬・モルジブ)その2(携帯版)
1月の半ばのある日、大型スーツケースをガラゴロと転がしながら電車を乗り継いで成田を目指す。
スーツケースの中には、水着やらシュノーケリングセットやら・・・・・・
観念してハワイを目指す訳ではない。
なんと行き先はモルジブなのであった。
インドの南西に点々と浮かぶサンゴ礁の島であるモルジブ、温暖化現象が激しくなると海面下に沈んでしまうと報道されている島国である。
モルジブはダイバーのメッカでもある。
ダイビングが大好きな朱蘭さまも、前々から行きたい国の一つであったそうな。
もっとも妊娠中にタンクを背負って潜る訳には行かず、妊娠発覚と共に新婚旅行の候補地からは予選落ちしていたのだ。
しかし、他の候補地がことごとくボツになって行くに従って、ハワイごときの繰上げ当選を阻止すべく、敗者復活で勝ち上がった次第なのであった。
当然ダイビングは出来ないけれど、なにしろ世界に名だたるリゾート地。
ノンビリ滞在型なので疲れる事も無く、日本語スタッフやら24時間体制の医療設備やら、朱蘭さまに何かあっても安心出来るではないか。
とにかく徹底的にリゾートするのだ!!!
程なく成田に到着。
J旅行社のカウンターでチケットを受け取り、防寒着を一時預かり所に託せばリゾートへの第一歩。
クソ狭い機内滞在を「忍耐」の一文字で乗越えれば、そこには南国の海だぁ!空だぁ!!!
と言いたい所だけれど、実は・・・・
なんと今回は、ビジネスクラスに乗っちゃうと言う、超身分不相応な
お大尽的行動なのだ。
一般的に妊婦は、同じ姿勢を長時間続けるのが極めて辛いとの事。
殆ど固定された姿勢が悪影響してアチコチが痛くなったり気持ち悪くなったりして、普段は全くヘイキなシトでもゲロゲロに酔っちゃう事も有るそうな。
朱蘭さまは既に妊娠6ヶ月に突入している。
その様な状態になってしまったら、本人もワタクシも苦痛極まりないではないか。
「ビジネスクラスじゃなければ行ってはイカン!!」
という医者からの強い勧告もあり、さりとて海外を諦らめてマジで裏磐梯ではツマラナイので、大枚をはたく決意を固めたのであった。
日本からモルジブへの直行便は無い。
シンガポール航空でシンガポール乗換えか、マレー航空でクアラルンプール乗換えか、スリランカ航空でコロンボ乗換えか、以上3社から選択する事になる。
一番優等とされているシンガポール航空はメチャメチャ高額であり、マレー航空は便数が少なくて日程が合わず、消去法的に選択したのがスリランカ航空なのであった。
正直に言って、あまり良いイメージでは無い航空会社ではあるけれど、それでなくてもビジネスクラスを奮発している都合上、安さには勝てなかったのだ。
いよいよ機内に乗込む。
外観も室内もなかなか小奇麗に清掃されていて、感じの良い明るさではないか!!
ビジネスクラスの室内に入る。
出迎えてくれたのは、鮮やかな民族衣装に身を包んだ、スレンダー&美形のスッチー。
仏教国らしく両手を合わせて拝んだ格好をして、にこやかな笑顔で出迎えてくれている。
でも、素肌が覗くウエストあたりをさりげなく見ると、無理矢理絞り込んだスカートから肉がはみ出したりしているのであった。
温泉場のアンマ椅子を連想させる、ゆったりとしたシート。
リクライニングは、背もたれの角度が2箇所・足載せの角度・足載せの長さと、全部で4箇所も操作出来るゴクラク仕様ではないか。
専用読書灯がニョッキリと背もたれから生えて来ている。
そして目の前(自分の前の席の後部)には14インチくらいの特大ディスプレー。
こりは凄いぞぉ!!!
程なく、キリッとしたエンジのスーツを着込んだパーサーが現れる。
『ご結婚おめでとう。楽しんでまっか?。まあ、シャンパンでも飲みなはれ!!』
どこから聞きつけたのか、わざわざお祝いを言いに来たのだ。
そんな祝福の握手までされてシャンパンのオカワリまで貰う。
離陸前から良い気分だよう!!!
ビジネスクラスの室内は、約半数くらいの客で埋まっている。
明らかに新婚旅行風は、我々の他には茶髪職人風カップルが一組。
後は日本人老夫婦が数組と、スリランカ人だかインド人だか区別がつかない高級ビジネスマン風がチラホラ。
そして、得体の知れない白人紳士が力いっぱいくつろいでいる。
さり気なくトイレに行くフリをしてエコノミークラスを覗きに行くと、8割方埋まった席は日本人カップルで満載である。
そちらの席もけっしてコキタナい事は無く、小さいながらも全席にディスプレイがついている。
や・やるな、スリランカ航空!!!。
しかし、しょせん席のクソ狭さは万国共通なのだ。
ケケケ!!庶民どもよ、10時間のフライトを苦しみたまえ!!!
でも・・・・
実は快適だったスリランカ航空機。
滑走路を目指して、そろそろと成田空港の誘導路を進む。
ディスプレイにはお約束の、機内の注意や非常時の対応などのビデオが放映されている。
通路でタバコを吸ったり携帯電話を使うなど、禁止事項に触れて注意を受ける客は全て白人であり、自主的にパソコンを仕舞うなど礼儀正しいのは日本人、避難の際に活躍するのはスリランカ人の役者が演じている。
国内線などでは真剣に見る事も無いそんな映像まで、大画面ディスプレイをついつい見たりしているうちに、いよいよ滑走路に。
さぁ!!モルジブに!!リゾートに!!新婚旅行に出発だぁ!!!
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