南国大尽(2001冬・モルジブ)その7(携帯版)
モルジブで自給できる食糧は、海産物と一部の島で栽培されているスイカだけだそうで、他は水を含めて全面的に輸入に依存している。
リゾートでのメシも全てがスリランカなどからの輸入で、輸送事情の悪かった時代には、運び込んだ食料のうちの半分しか使い物にならない事もあったそうな。
また、イスラム教国である事情もあり、モルジブ人シェフは肉料理をロクに作った事が無い人が多いそうである。
そんなこんなの事情により、どのガイドブックを見ても
「モルジブでのメシには、まったく期待してはいけない」
と結論づけられている。
はたして我々には、いかなる食生活が待ち受けているのだろうか。
地球の歩き方に記載されていた「ヒルトンのメシだけは、なかなかイケてる」といった記事だけが唯一の望みである。
さっそく大皿を手に、食い物を取りに行く。
ヌヌヌ・・・・
立食パーティーやらニポンのホテルなどのバイキングに比べ、これだけ豊富に食い物が並んでいるバイキングを見た事が無い。
ありきたりの西洋料理から、現地風食い物から、和食だってスリランカ航空の機内食などは土下座しそうな本格的刺し身。
デザート類だけだって当分生きていけそうな種類と量なのだ。
でも、見かけに騙されてはいけない。
味が問題なのだ。
どりどり・・
ン・ンマいではないか!!!
特に4種類もあるカレーが大満足!!!。
インド風は激辛というイメージを覆す、コクのある絶品なのだ。
これをオカワリしないというのは犯罪的行為である。
こうなってくるとバイキングのデメリットである「食い過ぎ」という落とし穴に、帰国するまで毎食とも陥ってしまう事になっていくのであった。
夕べは時差で寝不足だし、今日の午後はバルコニーでヒルネ&読書という計画が、我が家の賢明な選択なのだ。
明日からのお遊びに備え、ダイビングショップでシュノーケリングセットを借り、ドーニで水上ヴィラに戻る。
小さな鮫が右往左往する波打ち際を歩いてコテージの中に入ると・・・・
おおっ!!!こりは!!!
「新婚旅行の御夫婦へ、支配人からプレゼント」
などとメッセージが残されていて、フルーツバスケット・Tシャツ2枚・予約制水上レストランのお食事券などがテーブルに置かれているではないか!!!
やったぁ!!
予期せぬプレゼントに狂喜した訳ではない。
ガイドブックにそれらしい事が書いて有り、伏線はあったのだ。
モルジブのリゾートと言う所は決して一人で来るべき場所では無いらしい。
新婚ばかりという訳ではないけれど、各人種とも老若ことごとく夫婦連れであり、あとは家族連れといった状況。
アフリカ強行ツアーに一人で申し込んじゃったオッチャン(推定)にも出る幕はない。
現に、到着したばかりの時に書かされた宿帳(というのは余りにも日本旅館みたいな表現だけど、ようするにそういう類のヤツ)には、氏名の他に結婚年月日という欄があったのだ。
我々夫婦が入籍したのは半年以上前の6月だったけれど、もしやと思って、結婚日を11月と書き込んでおいたのだ。
この作戦が有効だったのか、あるいは正直に書いても平気だったのかもしれないけれど、とにかく新婚様だけの御利益にありつけたのだ。
これを喜ばない様では、ニセお大尽の名がすたる。
若干しなびたフルーツとは言え、貰い物には謙虚に感激するべきなのだ。
「ねぇ、ガマン出来ない!!早くぅ!!」
朱蘭さまがせがむ。
明るいうちから何やら始めようと言う訳ではない。
海が大好きな朱蘭さま、目の前の海を明日までオアズケにしておく事が出来なかったのだ。
ソッコーで水着に着替え、バルコニーで足ヒレを付けようとすると
「ダメ!!こんな所で付けちゃ。階段を降りれないでしょ」
「そ・そうなの?」
ワタクシはシュノーケリングは初めてなのであった。
もちろん足ヒレも。
水中メガネと足ヒレを持ち、バルコニーから階段を降りる。
さざなみが洗う最下段に座って
足ヒレを装着、そこの水深はヒザ上30cmくらい。
よぉしっ、いくぞぉ!!
「ダメ!!足ヒレつけたら、歩く時は後ろ向きなの。つんのめっちゃうでしょ?。んもぉ世話が焼けるぅ!!」
「は・はぁ・・」
「水中メガネの中にツバを垂らしてガラスに塗り付けて。何でって?くもり止め!!!」
イロイロとムツカシイのであった。
いよいよ泳ぎ始める。
水が澄んでいる事もあるけれど、なんともフシギな感覚!!
こんなに海中をバッチリと眺めながら泳げるなんて!!
水中メガネだって初めてなのだ。
サンゴの粉が体積した砂に覆われた海底は真っ白な砂漠の様で、ポツリポツリと点在する岩の周りには、あまり見慣れないカラフルな魚が群れをなす。
透明なサンマが受け口になったようなフシギな魚、真っ白なのにワザワザ黒い斑点を一つだけ付けた失敗作のようなアジ、とにかく見ているだけで面白いのである。
すれ違った魚に視線を向けようとしてちょっこっとアゴを引いた途端、ゴボゴボっと海水がシュノーケルの先から浸入してくる。
ウゲゲゲゲゲ!!!!
余裕で背の立つ深さなので、思わず立ち上がって口からシュノーケルを外す。
こりはツラい。
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