ぱぱ道その3(携帯版)
●そのとき夫は!!妻は!!
【妻】
出産予定日2週間前の検診で私は妊娠期間中初のピンチに陥りました。
赤子がデカすぎる! これ以上母体の体重増加は厳禁!!
禁酒もせず、食べたいものを食べたいだけ食べていた生活が祟ったのか、出生時3960gもあったワタクシの遺伝なのか、胎児の推定体重は3800gを超えていて誤差はあるとはいえちとデカすぎる。
とりあえず初めて体重増加しないように心がけ、買い物にも歩いていってビールやら米やら買ってみたり。
そんな努力もムナシク、胎盤の機能低下が心配されるのもあって、予定日前日に強制入院。ひと晩かけて人工的に子宮口を開かせる処置。(生理痛×5~1くらいの痛さ)
【夫】
せっかく、お腹を押さえて苦しむ妻を助手席に乗せ、オロオロとクルマで病院を目指す夫という光景を想定していたのに。
そんでもってスピード違反かなんかで白バイに止められ、
「妻がぁ!!コドモがぁ!!」
などと涙ながらに訴え、
「判りました。オトーサン、落ち着いて!!本官が先導しますから」
「有難う御座います、オマワリさん!!我が家の恩人です。これからは家族ぐるみで付き合いましょう!」
「いや、こりも本官のシゴトであります。アタマワルイけど、それなりに頑張ります!」
なんてのもアリのハズだったのに。
なんか拍子抜けの入院だったのだ。
【妻】
予定日当日朝、超音波での診察の時点で、へその緒が首にからまってるから帝王切開になるかも、と言われ
今から飲食禁止、水も駄目、と言われる。
ただ、へその緒がからまってるっていうのはよくあることで心配はいらない、というお話。
子宮口をさらに開かせる処置をしつつ、9:30陣痛促進剤を点滴。
10:40破水、内診がとても痛い。
【夫】
なんか実感が湧かないまま、朝から病院に。
同室のフリーター夫も、ソワソワしながらやってくる。
朱蘭さまは、朝からの促進剤で若干ツラそう。
昨日はあんなに元気だったのに、ヘンなヤクで苦しめやがって!
などと夫がうめいても始まらない。
点滴が進むに従って、ますます苦しそうになる朱蘭さま。
コッチは何も出来ず、ただただオロオロするダメ夫を演じるしかない。
いや、演じなくてもホントにダメ夫なのであった。
医者がやって来て、入れ替わりに部屋から追い出される。
コッソリ覗くと、医者が朱蘭さまに馬乗りになり、ゴソゴソとマタグラをイジくっていやがる。
もちろん医療行為なのだけれど、朱蘭さまのツラそうな顔にイキドオリを覚えざるをえない。
一般的に産院というものは、ちょっとした評判の良し悪しで、客(妊婦)の流れがドドっと変わってしまうそうだ。
その為に入院時のメシをゴージャスにしたり、ニコニコ親切な医者を演じたりしているのだろうけれど、もうここまで来たら今更ヨソの病院には行けまいと言うわけか。
もっと優しくしてやっとくれよう。
【妻】
正午前頃、陣痛逃しに「ふうーっ、ふうーっ」とやってると、同じ病室でやはり昨日から処置をされていた人が入っている分娩室から産声。
えー、もう生まれたの~? ウ、ウラヤマシイ…
できる限り自然に産みたいと思ってたけど、点滴開始後2時間ちょっとで生まれちゃうなら計画分娩もいいなー、なんて思ったりして。
しかしそれはお隣さん、私はといえば波のようにやってくる陣痛とは裏腹に、赤ちゃんはちっとも下りてこない。
子宮口の開きも、陣痛もいい感じできてるんだけどねー、と言われつつ、帝王切開になる可能性があるとの説明。
へその緒がからまって赤ちゃんが下りてくるにこれない状況とのこと。
確かに、モニターでみる胎児の心拍数が時々異常に下がるのだけど、それは赤ちゃんが苦しい時なんだそうな。
午後1時。
2時半から手術することに決定。
【夫】
いよいよ分娩室に移される。
立会い出産の許可も得ており、オトーチャンも一緒に入室。
おおっ!!例のオマタ広げベットだぁ!!ナマナマしいよう。
でもそりどころじゃないよう。
陣痛というものは定期的にやってくる。
なんでもない時間帯と、苦しみもがく時間帯が交互にやってくるのだ。
朱蘭さまの言いつけで、それぞれの時間をノートに書かされる。
何に使うのかは判らないけれど、シゴトを与えられたほうが気がまぎれて良い。
おっとぉ!!隣の分娩室から泣き声が!!
フリーター君とこは生まれたぞぉ!!ひとまずおめでとう。
でも・・・
2室ある分娩室のうち、どうやらこちらがメインの部屋らしい。
ほどなく看護婦が、フリーター妻の胎盤らしき物体をトレイに乗せて持ってきやがって、なにやら隅っこの流し台でコソコソ処理していやがる。
見るまいとしたって、ついつい見ちまったよう!オエ~!!
いやいや、そりどころでは無かった。
我が家の現状を考えると、人様が生み出したモツなどに反応しているバヤイでは無かったのだ。
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