右向け右・その2(携帯版)
(レポート:したっけ兄さん)
湿った倒木が多く隊員の前進を苦しめる。
教官が迷いだす。
同じところをうろうろ。
「ちょっとここで待機」、教官ルートを探し始める。
だ、大丈夫かよー。
一同不安になる。
5分程で戻ってきた。
どうやらルートを発見したらしい。
日は沈み始め、薄暗くなってきた。
いよいよ樹海のナイトランとなる。
突如、バイクを止めて集合と教官の指示が飛ぶ。
「ロープを使ってここを下る。今から要領を説明する。」
下を覗くとかなりの急斜面、距離は20m位、下ると言うより降下かな。
カラビナでロープをバイクの後部(キャリア等)に固定、3名でロープを確保し、残りはバイクの補助。
まず教官が手本を見せる。
ロープを確保してる隊員に「ゆるめ」「ゆっくり」「ストップ」とロープの張り具合の指示を出す。
降下方法は斜面に対し斜めに移動、山側からバイクを支えブレーキは使わずロープの張りで調節して降ろして行く。
日没の為闇の中の作業となり、懐中電灯を照らしながら行った。
さあ、おいらの番だ。
ゆるめ、ゆるめと指示を出しながら慎重に降りて行く。
腐葉土の為足元がすべりやすい。
中腹に差し掛かった時いくらゆるめてもバイクが動かない。
何かが引っかかっているようだ。
下を照らすとリアのブレーキペダルが段差の所で引っかかっていた。
一旦引っぱり上げ3人掛かりで持ち上げて何とかクリアし、無事降下に成功。
全員無事に降下し、更に闇の中を前進。
闇の中から突如現われる木の枝や根っこに当たり転倒者続出。
教官のようにスムーズに進めない。
その先は急な登り坂のヒルクライムセクション。
既に教官はその上にいる。
ルートを懐中電灯で照らし、一台づつアタック。
斜面が急で三つのトラップ(段差)が在るため各隊員苦戦。
ノーミスでクリアしたのは教官とトライアルバイクのS隊員、他はサポートによってクリア、B隊員はみんなで押しても登れないので、ロープを使って上げましょうかの問いに、教官いわく
「この程度でロープを使う必要はねーよ」。
しかたがないので代理のライダーをたてて何とかクリア。
そして更に闇の中を前進していく。
登りあれば下り在り。
続いての難所はダウンヒル。
前方の隊員の姿が闇の中へと消えて行く。
どうやらダウンヒルセクションのようだ。
次はB隊員の番。
「大丈夫か?」と声を掛けようとしたら、とっとと降り出す、サブリーダーのT隊員が
「おいおい行っちゃったよー。大丈夫かよー。」
B隊員のバイク音が闇の中へ消える。
あれっ、音が聞こえ無くなったぞ。
そんなに下まで下るの?初めて下を覗き込む。
結構急だ、30°位はありそう。
下までは暗くて見えないが、B隊員の姿も見えない。
みんな懐中電灯を持って下まで降り、B隊員を探す。
木と木の間からうめき声が.........。
懐中電灯を声の方に向けると、B隊員が仰向けに倒れてバイクが足に乗っていた。
木に激突したようだ。
直ぐバイクを起こし様子をみると、苦痛で顔が歪んでいる。
痛そうだ。
まっ、まさか骨折?
先に進んでいた教官達が戻ってきた。
「どうした、大丈夫か?」
B隊員「足が、足が痛いです。」
靴を慎重に脱がし怪我の状態を調べる教官。
教官「大丈夫、骨は折れてないようだ。立てるか?」
B隊員「だ、だめです。立てません。両腿が吊って痛いです。」
教官「わかった、無理するな。その状態で休んでいろ。湿布持っているのいるか?腫れてるところに貼っとけ。」
B隊員本人が持っていたので、それで応急処置をする。
教官「ちょっとみんな集まれ。彼(B隊員)をどうするのか貴様らで判断し、決まったら報告しろ。」
この状況でも厳しい。
我々(RB)の決断力を試しているようだ。
みんなの考えは一致していた。
彼をこれ以上走らせるのは無理と。
本人を了承させ、教官に報告。
教官「わかった、これよりB隊員の搬送作戦を行う」
ここは富士の樹海の中。
どうやって?
教官は怪我人が出た事を本部に報告。
本部からの指示を仰ぐ。
とりあえず作戦が決まるまで夕食をとる事に。
支給された非常食をほうばる。
教官は食事をとらず、無線で連絡を取り続けている。
教官「今から作戦を説明する。B隊員をトラック(軍用)でベースキャンプ地まで搬送する。トラックが入って来れるここから最短の場所で待機、そこまでは我々でB隊員を搬送する。まずは、トラックの入って来れるルートを探す作業から入る。自分他3名の隊員でこの任務を行い、残りの隊員はB隊員の付き添い、及びここで待機。直ちに3名を選び報告しろ」
選び出した3名の精鋭、キレ者のサブリーダーT隊員、最年長のS隊員(52歳)、レース経験豊富な元気者のK隊員。
教官「この辺りは熊が頻繁に出没するので注意するように」
この状況に追い撃ちをかける一言を残し、ルートの確保へ向かう教官他3名。
我々待機組は寒さと熊の恐怖に怯えながら、彼等の帰りをひたすら待つ事になる。
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