わかる人に！
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ドイツ語に Einmalichkeit（アインマーリッヒカイト）といふことばがあります。Einmal は一回といふ意味なので一回性と訳されています。一回性は宇宙の眞理であります。人生もまた一回性です。何事も一回しか起こりません。アーといふ言葉も二回目にくり返すと違った音になります。同一人物も何日（年）かあとは別の筆跡となります。
毎日同じ工場に通って働いている女工は機械みたいなのも一回性の自覚がありません。反復性を繰り返して満足してゐます。芸術家は濃厚な一回性に生きてゐます。サラリーマンは反復性の人です。月給のために反復を余儀なくされてゐます。それが眞の満足でないことは、かれらの言動で判ります。一回性に生きようとすれば反復性に飽きて、それを放り出すでせう。転職を重ねる人もゐます。しかしサラリーマンといふ本質においては変りません。教育者、学者、職人などに一回性の濃い人はみられますが、それらの人にも一回性が乏しい人も多いのです。凡庸なのです。宗教家にも一回性のないない人があります。テープレコーダーのやうに教授し、説教する人がゐます。反復性と一回性は相対的なもので、身分や職業に関係がないのかもしれません。主婦ですら一回性の濃い人もゐるからです。独創や創造性も一回性を反映してゐます。とにかく一回性に生きる人は幸せなはづです。
ＬＹＮ
