DEAR ONNO!
                                         於天神920813/2239
 あと45分、時間ができたので、手紙します。
 千さんは、君に感謝しています。私の面会のときに、私の印象を語らなかったのは、私がサウナに3時間寝ただけだったので、大阪の友達が私を虐待したと勘違いしたのです。単なる誤解です。
 その後、面会に行きましたか? 判決公判が8月26日というので、金の都合さえつけば行きたいと思っています。もし、入場券が必要なら、代わりに申し込んでおいてくれませんか。
 当日、飛び込みでも出席できるのか、どうかも、分かったら知らせてください。
 判決を受ける時の彼の表情や反応を見たいのです。
 ヤスは千が反省をしないと腹を立てましたが、そんなに焦るものではない。彼には彼の生い立ちがある。ただ、ワルイヤツダ!では人間は変わるものではありません。非難は何も生み出しません。辛抱と時間が必要です。
 君も人にからまないで、ジッと他人を観察することが必要です。奥の奥まで分かってからでなくては、人に手の出しようがありません。
                    
 これ何ですか? 馬にピエロが乗っているのかな。君にはどう見える?
 私は今、チャイコフスキ−のPIANO協奏曲の第一番を聴くところです。これは君の店にありますか。女性が絶対大好きな曲です。私ももちろん。私はマ−ラ−の「巨人」などには、すこし辟易します。仏の鬼やんに、この二つの曲のどちらを取るか、訊いてこらんなさい。先入観なしに、ぶっつけに。
 甘くて優しく美しいのがいいです。女性への好みと同じです。気が強くて、ヒステリ−というのはたまらん。だから、1996年に、愉美子と離婚して、大和に住むのです。千さんと50人の「組員」と。
 私のは「愛美組」で、暴力は使いません。昔のいくつもの道場で、私は暴力を教育手段にしたが、結果が悪いのでやめました。「愛美組」がfree sexで、結婚を奨励しないことは、登仙あてのレタ−にくわしく書いたから、見せてもらってください。
 畑が広い農家を借りようと思っています。「組員」が増えたら、プレファブで、空地に増築をします。時子さんが予感していたコミュ−ンです。私、70歳の古希事業です。
 もちろん、その頃は、もう翻訳などしません。食業抜きの本業のみです。愉美子家族には40万/月を送金するのみ。週に一回だけ船で帰り、畑を世話してから、また大和の「愛美組」に帰ります。
 それまで4年間。着々と準備します。サイババにも会い、アリゾナのコミュ−ンも見学し、いろいろ情報を集め、体験留学するつもりです。
 君は郷里に帰らないのですか。帰っても、そのころは大和まで出てきてください。
 あと12分しかありません。11時半から、オイルショックの復習をやるのです。NHKの教育で。今日は、オ−ストラリア人が来るというので、食業を途中でやめたら、向こうの都合で、来訪が15日か16日に伸びました。東京の瞑想の先生(日本人)を連れてくるそうです。
 BS−2が見られれば、眠狂四郎魔性剣を見たかったのですが、うちは当分だめみたいです。死んだ柴錬と京都で間違えられたことがあります。そのころは、彼みたいなひげを生やしていたし、あるサンドウィッチマンがどこまでも私に追いすがって。「先生、お隠しになってもだめですよ」と確信していました。いくら違うと言っても、言えば言うほど私を柴田先生と思い込んでいました。そんなに似ているかなあ。
 錬三郎は1917〜78の人で、私より九つ年上です。亡くなったのは案外早く、61歳でしたから、今の私のほうが没年の彼よりも五つ年上になりましたが。
 「イエスの裔」という名作があるから、文庫本で買って読んでください。古本になったら、私に回してください。私は読んだとしても、忘れていますから。
 あと2分です。終わりにして校正します。
                    寿と幸と福とを祈り上げます!

                                                   十さん
                                             Always Seven

追白
 翌8月14日の2:48A.M.になっています。ブロンソンの「必殺マグナム」を見ていました。印刷して封をして終わりです。

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