ブロイラ−教育で、離婚は女の恥じまたは罪と教わったからでしょう。加特力教会でも、死ぬまで離婚するなという無理な掟を作っています。イエスさまは、「神が合わせた男女は、人がこれを引き離すことはできない」と言っただけで、その解釈はさまざまです。別に、加特力で儀式をやったから、「神が合わせた」ことにはならないと私は思います。政府登録結婚は「紙が合わせた」ものだから、ペ−パ−がまた簡単に離してしまいます。今、15:31。さきほど、愉美子が帰ってきました。私に個人用の国民保険の証書をくれました。7人には喪失のハンコが押してあります。涼しくなったような、寂しくなったような...。 小学校から六法全書を読んだとは、全く変わった子供だったのだね。私は大学生になっても法律など読む気もなかった。だから、出世の早道の東大法科にも進まなかったのです。ませていたというより、君は特別の人間に生まれついていたのです。先生たちは扱いようもなかったから、いじめに入ったのでしょう。人助けが本能みたいだから、自然に子分八弟分ができる。自然な成り行きです。
 敵が自然発生する。喧嘩する。転校や放校。7回とはこれまた日本記録に近いな。中3でやめてしまったのだね。少年院のことが書いてないのはどういうわけ? 生後8ヵ月の双子を6ヵ月預かるというのも、常識を絶しています。中学に行っているあいだ、ミルクはどうしたの? だれかよその小母さんに頼んだのか、それとも空腹で赤ちゃんたちは泣き続けたのかしらン?
 3年間、本家で修行をすると、800万の自立資金をくれるということも、私には初めての話です。普通なら、この金でスナックでもやるのでしょうかな。それとも、自転車屋をやってもいいのかな。「自分の組」のボスの命令は絶対命令だから、800万の使い道に文句は言われないものなのかなあ! 若い衆にみなバラ撒いたというのも思い切ったことです。蔵原千恵子さんもしっかりした人のようですが、元の夫の蔵原姓をキ−プしていたのですね。愉美子も、離婚したが、姓は十菱を保つと言っています。子供が困惑しないように。千恵子さんの関係で、経営を学んだのはよかった。パプの発足もよかった。スポンサ−への返金は終わったの? それから3回もスッカラカンになった。もう、スポンサ−への返金が済んでからのことですね。それが19歳!
 私の19歳というと、旧制の高校時代、やっとタバコをのみ出したころで、内向性のため、座学ばかりしていました。世間知らずの坊や。酒など45歳まで飲まなかった。 途中ですが、また国語の勉強−−
 前提←前定、だから今日は99点。
 千の30歳の美女が去った。台風は今、私の家をめざしています。31歳の元・恋女房も法律的に去った。11号は今夜、大分県に上陸です。停電するでしょうから、傘張りは出来なくなるでしょう。今日も、離婚騒ぎで傘張りどころではありません。停電まで、手紙を書くことにします。

 台風は夜半に着ということで、26度Cの冷ややかさ。
 最終頁。盃を返して3年頑張って、また店を潰した「女」とは誰のことですか? 変転がめまぐるしくて、全貌がつかみ切れません。秀子さんではないのでしょう?
 登仙君あての次の手紙に期待します。これで、千レタ−の件は終わり。

 子供は可愛いといっても、自分の種子の子だけが可愛いというものではない。血縁の子と魂の子たち(たとえば千)も同じく可愛い。それが、愉美子には分からない。私は前から、松嶌徹君に「わが家を破壊する」と予告していた。その時期は一切、神に任せていたら、愉美子は「紙」で全てを処理した。飛んだカミ違いか、同じカミかもしれない。このままでよろしい。そのまま受けます。ゼロからの出発です。他人になった私への一切の干渉(飲酒や金使い、その他)をやめてくれと言ったら、愉美子は「離婚の原因は酒なんですよ」と抜かした。酒は現象にしか過ぎない。もっと奥に何かがあったはずだと、私は信じる。しかし、女は表面現象ばかりを言う。子は夫婦のかすがいなどになるものではない。何かの感傷主義がそんなことわざを作ったのであろう。子を持ったことのない千には、今のところ通じないことではあろうが。
 一応、書くことは切れてしまったようだ。終わりにします。

                                                   十さん
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