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セッション2 研究所を壊滅せよ!(前編)


ローソンいないが新キャラ登場


GM:なにーーー! 今回もローソンがこれないだとう!?

メイル:朝、連絡があって、急な仕事がはいったって。


メックウォリアーリプレイ第2回です。
今回から新キャラが加わり、戦力増強して派手な戦闘が楽しめると思っていたのですが、今回もローソンは不在です(笑)
GMは今回も泣く泣くシナリオを修正しました。


カエデ:ローソンはこれないけど、今回から新キャラ入るからいいじゃん。

GM:たしかにそうなんだけど……またシナリオ調整しなくちゃならないじゃないか。

カエデ:マスターも大変ねぇ。

GM:そう思うならローソン引っ張ってきてくれよ。

アストリア:仕事ならしょうがないじゃないか。

メイル:ちなみに新しいキャラなんて名前?

GM:プレイヤーEさん、自己紹介をどうぞ。

プレイヤーD:はいはーい。私はセーラ・サザンクロス(以後セーラ)っていいますう。インカムにつけた猫ミミと大きな瞳がチャームポイントのぴちぴち17歳ですう(笑)

GM:そののーみそとろけそうな話し方、なんとかしてくれんかね。

セーラ:キャラクターのイメージに合わせているので、勘弁してください。ちなみにフリーターやってますう。

GM:……

アストリア:メック乗っててフリーターとは。なんかヤなフリーターだな(笑)

セーラ:メックは自動車のかわりですう。荒廃した世界は女の子にはとっても危険なので、自衛のためですう。なにしろチカンな人が多くって(笑) 

カエデ:メックでチカン撃退……強盗だって逃げるわね(笑)

アストリア:その前によってこないよ。

カエデ:(セーラのキャラクターシートを覗き込んで)メックの操縦はあたし達より上手だわ。毎日通勤に使ってるからかしら。

セーラ:建築現場でアルバイトしてたとき、監督からみっちり仕込まれましたぁ(笑) なにしろクレーンがわりに使ってましたから。

GM:(頭を抱えている)……レイバーじゃないんだぞ。

メイル:頭抱えてないで、そろそろ始めよう(笑)

GM:気を取りなおして始めよう。さて、前回のサルベージから2週間がたった。とある酒場でウエイトレスのバイトをしていたセーラと意気投合したカエデは、セーラがメック乗りということを知り、フリーというこもあって仲間に誘ったわけだ。

カエデ:セーラってメック養成校の出よね。それなのにメック乗りの仕事をせず、アルバイトで生計を立ててたわけ?

セーラ:あたしを仲間にしてくれる人ってあまりいないんですう。メック乗りといっても一人でできることはしれてますし、ときたまネストが仕事を回してくれるんですけど、依頼人のひとがあたしを見ると大抵キャンセルするんですよ。なぜでしょう(笑)

GM:その猫ミミのせいじゃないのか(笑)

セーラ:けど、ジロンさんは可愛いって言ってくれてますう(笑)

GM:いつ言ったよ。

アストリア:あの親父なら言いそうだけどな。

メイル:以前GMも言ってたじゃないか。年頃の娘には大抵言ってるって(笑)

GM:むう。そういうことなら仕方がない。で、そのネストから連絡がくるぞ。

アストリア:艦橋にいるのは俺だけど、ネストからならカエデの部屋に直接回そう。耳が痛くなる前に(笑)

カエデ:なんかやだなあ(笑) けど、取らなきゃいつまでも鳴っているような気がするし……気を取りなおしてスイッチ入れる。あ、耳栓しとくね(笑)

GM:カエデが受信機のスイッチ入れると、一人の初老の男がモニタに映る。言わずとしれたジロンの親父だ。ジロンはカエデたちの姿を見ると……

アストリア:たち?

ジロン:むすめたちよおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー

メイル:でた(笑)

GM:大音響がスピーカーから流れるわけだ(笑)「我が娘達よ。元気にしておったか?」

カエデ:誰が娘だ(笑)

アストリア:セーラとワンセットで言ってる訳ね(笑) それにしても、セーラが仲間になったことよく知ってたな。

GM:そりゃね。ジロンやネストだってぼんやりいすに座ってるわけじゃないさ。2週間もあれば誰それがどのチームに出入りしたか噂だって広まる。登録してるメック乗りの管理も重要なネストの仕事だ。とくにジロンにしてみれば大事な『娘たち』の状況は最優先で知りたいだろう(笑)

メイル:それってただのセクハラじゃないのか?

GM:当たらずとも遠からずってとこかな。「我が娘たちよ。さっそく仲良くしているようじゃな。父はとてもうれしい」

カエデ:だから誰が父だって(苦笑)

セーラ:話は聞いてましたけど、愉快な方ですねえ。

ジロン:挨拶もそこそこで悪いだが、仕事をひとつ引き受けてもらいたい。わしとしては大事な娘達に危険な仕事をまわすのはとても不安なのだが……。これも我が宿命。娘たちよ、耐えておくれ。

カエデ:はいはい。わかったから仕事の話をしてちょうだいよ。

ジロン:うむ。今回の仕事は少々やっかいだ。ある施設を強襲してもらいたい。

メイル:施設?

GM:ジロンからメールが届いてるよ。それにはある建物の写真と何人かの顔写真が暗号化され付属していた。その施設は遠浅の海に浮かぶ人工島に建てられており、資料にはメックの研究所とある。研究所の名称はトーアル研究所とある。

カエデ:とある研究所ね(笑)

GM:うるさい。

アストリア:メックの研究? いわゆる遺失技術を研究しているのか?

GM:遺失技術でなく、新しい制御装置を開発研究しているようだ。とくにコクピットまわり。

カエデ:メックの制御装置って、たしか神経反応ヘルメットを通じ、パイロットからの反応を増幅して機動させてるのよね。極端にいえば操縦桿を使わなくても操縦できる。

GM:そのとおり。こうしたいああしたと思うだけで動かすことも可能だ。とっさのときは思考いぜんにパイロットの反射反応で動くこともある。ただ操縦桿なしで全部やろうとすればとても疲れるので、補助として操縦桿やコンソールがあるわけだ。あと、メックのバランスを取るためにパイロットの三半規管を利用したりしてる。

セーラ:改めて聞くと、なんかすごい機械ですねぇ。

GM:その研究所は、現行のシステムより高性能な装置の開発を目的として創設されたらしい。

アストリア:それって遺失技術よりすごいんじゃないか?

GM:そうだよ。だけどいくら戦争で技術レベルが低下したからといって、遺失技術ばかり研究してるわけじゃないし、新技術が開発されてないわけじゃない。事実、新しく開発されたシステムが実用化され市場にでている例もある。
で、ジロンはその研究所の壊滅を依頼する。

アストリア:研究所の壊滅? 爆破とか破壊とかじゃなくて壊滅なのか?

ジロン:うむ。壊滅だ。跡形も残らず豪快に壊滅してほしいと依頼人は言っている。

アストリア:ちなみにその研究所はどの企業の系列なんだ? それとも独立しているのか?

GM:主な出資企業はISCだね。ISCは新興――と言っても大戦前からだけど――のメガコーポで、急速にシェアをのばしている企業だ。資金力も豊富でいろいろな業種に進出しているよ。古参の企業には目の上のたんこぶだね。

メイル:ということは、ISCと敵対している企業が依頼人か。急激にシェアをのばしているISCが邪魔になってきたので叩いておこうと言うのかな。

アストリア:可能性は大だな。GM、ISCの本拠地はどこだ?

GM:メルジストだよ。

カエデ:ISCってどこかで聞いたような気がするんだけど……

アストリア:前回のセッションに出てきたじゃないか。コンなんとかというボンボンの親父の会社だ。ジェシーの色香に惑わされて情報を持ち逃げされた。

GM:正確には重役の息子だよ、コンラッドは。ISCはメルジスト周辺で7割近くのシェアを誇っている。世界的に見ても20%ものシェアを持っているよ。

セーラ:ずいぶん大きな企業ですねえ。そんな大きな企業が出資している研究所を襲ったりしたらまずいんじゃないですか?

メイル:ばれたら大変だ。ISCと敵対している企業とか調べてから返事したほうがいいんじゃないのか? 力関係とか、直接ドンパチまでやっているかとか。

アストリア:アーマード・コアばりのシナリオだな。クロームにつくかムラクモにつくか、どちらにつくかでエンディングが決まる。そしてこう言うんだ。「なにも変わらねぇのかよ」(笑)

カエデ:任務に成功していると重装甲のメックがやってくるのよね(笑) で「やりすぎたんだ、お前はな」とか言われて命を狙われるのよ(笑)


アストリアとカエデのやり取りは「アーマード・コア」というアクションゲームの一節に登場します。
2人だけでなくGMもこのゲームが大好きで、なにかあれば上記のようなセリフが飛び出すのです(笑)誰かが裏切るような状況になると、必ずといっていいほど「やりすぎたんだ」といい出します(笑)


GM:いろいろ複雑に考えているところ申し訳ないが、依頼はそのISCからだよ。

セーラ:自分の会社が出資している研究所を破壊してほしいと言ってるんですか?

アストリア:ということは、なにか公になるとまずい研究でもしてたのかな。ISCに内緒にして。

メイル:そんなとこだろうね。で、研究内容を知ったISCはあわてて秘密を闇に葬るべく傭兵を雇ったと。

カエデ:なんかいやな予感がするなあ……


海中の悪魔


依頼を受けたPC達は、ランドシップをメルジストに向かわせます。
ちなみにランドシップを操縦しているのは整備員の一人です。PCの中ではローソン以外に操縦技能持ってません。
 (カエデ:ローソンはどうするの? 待ち合わせ場所はファランでしょ?)
 (アストリア:ほっとけ)
という会話であっさり置いて行かれたローソン(笑) はやく参加したまえ(笑)
トーアル研究所はメルジストの沖合いにあります。ランドシップを港に停泊させ、カエデとメイルは研究所の様子を探りにでました。


カエデ:ボートをレンタルして海から様子を見るね。

メイル:私は運転手か? まあいいけどね。

GM:カエデとメイルはレンタルボートで海に出るわけだね。あとの2人はどうするの?

アストリア:とくにすることもないし……ランドシップの甲板で剣の素振りでもしてる。袴はいて右肩はだけて素振りする(笑)

セーラ:私もすることないですう。しょうがないからお買い物にでもいきます。えーと……アストリアさん、一緒にきてもらえませんかあ?

アストリア:俺に荷物持ちさせるってか? なんて大胆すてきな……

セーラ:わーい。ほめられちゃった(笑)

アストリア:ほめとりゃせんわっ!

セーラ:えー、でもでも……ひとりで行くのはとっても不安なので連れてっちゃいます(笑)

アストリア:まてーい!

メイル:強引な女だ。

GM:セーラとアストリアは買い物で繁華街行くと……

アストリア:連れてかれるんかあ!

GM:(ちょうどうまい具合にふた手にわかれたし……)まずカエデ・メイル組からにしよう。トーアル研究所は陸地から2Kmほど離れた海上にある。浅瀬の海を埋め立てて人工島をつくり研究所を立てたんだね。

カエデ:私は水着姿でマリンレジャーしてるように見せかけるね。

アストリア:カエデが水着になると聞いたらシゲさん達がよってくるんじゃないか? 「カエデちゃ〜ん。サンオイルぬったげようねー」とか言って(笑)

メイル:レンタルしたボートにはそんなに乗れないぞ。沈没してしまう。

GM:心配するな。騒いでいたらおやっさんがやってくるから(笑)「てめえら、こんなところでなに油売ってやがる! だらだらしてやがったら海に叩っ込んでくれるぞ!」 んで、シゲさん達の耳を引っ張って連れてくんだ。

カエデ:やっと静かになったわ(笑)  じゃあメイル、行きましょうか。

メイル:あいよ。観光客が寄りそうなところを回ってから島に近寄るからな。

GM:あまり島に近づくと警備艇に怪しまれるぞ。島の四方に監視塔があって、近づく船舶を監視してるからな。船をレンタルするとき、店の親父からも気をつけるよう言われた。以前人工島に近づきすぎた観光客が銃撃されたこともあったらしい。

アストリア:えらく物騒だな。

カエデ:大丈夫よ。あたしのプロポーションに見とれて、撃ってきたりしないわ(笑)

メイル:プロならそんなもんでごまかされないぞ。

カエデ:そんなもんとはなによ! 失礼ね(怒)

メイル:それはともかく。やばそうな海域には近づかないよう気をつける。

カエデ:言いたいことはあるけど……まあいいわ。水着姿を惜しげもなくさらして観光客の振りしてる。

メイル:適当なところで船を止め、釣りでもしてよう。島の様子は仕掛けたカメラで記録しておく。

カエデ:しばらく日光浴したらダイビングで海に潜るわ。ボンベは持ってきたことにしていいでしょ?

GM:それぐらいならいいよ。ただレンタル代払っといてくれよ。

カエデ:じゃ、あたし潜るから島の監視よろしくね。

メイル:へいへい(笑) 私はのんびり釣りでもしてるさ。

GM:ときたま警備船が遠くをすぎていったが、近づいてくる様子はないね。

カエデ:海の様子はどう?

GM:(カエデは第六感もってたな)カエデ、知性度で能力値ロールするのだ。

カエデ:ぴったり成功したけど?

GM:ふむふむ……ではダイビングで水中遊泳してたとき、ふと島のほうを見たら、遠くでいくつもの黒い固まりが揺らいでいるのが見えた。そしてその影から、とてつもなくいやな感じを受けた。
補修/整備=一般を振ってくれる?

カエデ:その技能持ってないのよ(ころころ)あっと、成功。

GM:ではあの陰の正体がわかる。ありゃ機雷だね。

カエデ:機雷!

アストリア:ひょっとして人工島の周囲、ぐるりと機雷で囲んでるのか?

GM:調べてみないことにはわからないが、見える範囲ではそのようだ。

カエデ:あわわわ……急いでボートに戻る。メイル、機雷があるよう!

メイル:侵入者よけか。普通機雷まで設置するか? 一般の船舶が被害に合ったらどういい訳するつもりだ。

GM:島の私有海域にしか仕掛けてないよ。このあたりは船舶の定期航路からもはずれてるしね。かりに一般の船が機雷にふれて爆発してもどうもしないだろ。今の世の中、企業に逆らえる個人はいないよ。

セーラ:いやな世の中ですねえ。

カエデ:とんでもないトコだわ。さっさと港に戻りましょう。

メイル:カエデを回収したら港に戻るよ。

GM:ふたりが撤収準備してると、一隻の船が島のほうに向かっているのが見えた。人工島と街を結ぶ定期船のようだね。人工島と街との間に橋は架かってないから連絡船が走ってるんだ。

カエデ:船で行き来してるの? ずいぶん不便じゃない?

GM:研究所は外部から隔離された状態にある。情報や研究内容が外部に漏れないよう、所員は人工島の居住区に泊まりんでいるんだ。街に家族がいるものは、一週間に一度定期船で帰るようだ。

カエデ:なるべく外部と接触できないようにしてるのね。研究員と接触したいんだけどな。

セーラ:定期船が運行されてるということは、そのルートには機雷仕掛けられてないってことですよね。侵入するとしたらそこからでしょうか。

アストリア:定期船のルートにも仕掛けられていると思うぜ。爆沈しないのは敵味方識別装置で爆発しないようになってるんだろ。

メイル:極秘に侵入するのは置いといて、いっそのこと正面から入るか? 記者にばけて取材申し込んでみるとかして。

カエデ:いいわねそれ。なにかの映画でやってた潜入捜査みたい(笑)

アストリア:忍び込むよりはいいが、いきなり取材を申し込んでOKするかな。だいいち名の通った新聞社でもないかぎりインタビュー受けないような気がするが。

カエデ:それもそうか……いいアイデアだと思ったんだけどな。

メイル:私のコネを使ってなんとかならんかな。キャラメイクのとき、大枚払って役にたつコネ取ってるんだが。

アストリア:そりゃいい。うまくいけば内部の様子がわかるかもしれない。

GM:それはちょっと置いといて、次はセーラ・アストリア組いこう。ふたりはメルジストの繁華街をうろついているわけだ。さすがに周辺で一番の大都市だけあっていろいろなものがあるよ。高級衣服にアクセサリーなどなど。様々な品物を売ってる。人の通りも多い。

セーラ:あ、あの服、ステキっ。あっちの服もいいなあ。

アストリア:……なんか、あちこち引っ張られてるような気がするな。

カエデ:気がするだけじゃなく、荷物持ちもさせられるんじゃないの(笑)

アストリア:うー……いつまでもうろついてないで、とっとと帰ろうぜ。

セーラ:えー!? せっかく大きな街まできたんだから、いっぱい楽しもうよお。あ、アストリア君も服がほしいのね。よーし、お姉さんがプレゼントしてあげちゃおう(笑)

アストリア:あすとりあ――くん?

セーラ:アストリア君て15才なんでしょ。私よりふたつも年下だし、私のことお姉さんて呼んでね(笑)

アストリア:……

GM:可哀想に(笑) アストリアはセーラに引っ張られあちこちの店をはしごしているわけだが、あるデパートで一人の妊婦とすれ違う。そのとき妊婦は急に苦しみだして、大きなおなかを押さえてうずくまるよ。

アストリア:おおーい。こんなところで産気づいたのか? その辺にいる店員捕まえて救急車呼んでもらおう。

セーラ:奥さん、すぐお医者さん呼ぶからがんばって!

GM:産気づいたのとはちょっと様子が違う。顔から脂汗流して苦しんでる。意識を失いかけていて、譫言のように「赤ちゃんが、赤ちゃんが」と繰り返している。

アストリア:ふたりとも医療技能持ってないしな。

カエデ:この場合、医療技能もっててもしょうがないと思うけど。

GM:しばらくして看護士がやってくるよ。妊婦を担架に乗せ、急いで病院につれていく。

セーラ:奥さんがんばって! 赤ちゃんはきっと無事ですぅ! 手を握って励ますね。

アストリア:ついて行く気か?

セーラ:これもなにかの縁ですぅ。一緒に救急車に乗りこんで病院までついてく。

アストリア:当然、俺も連れて行かれるんだろうな……(溜息)

GM:(よしよし)救急車は混雑した車の間をぬうように突っ走り、やがて病院に到着した。病院から医師や看護婦があらわれ患者を手際よく医務室に運んで行く。心配そうにその様子を見送る外来患者達。そして妊婦の運び込まれた医務室の扉が閉められた。


医師達の必死の治療もむなしく、流産してしまいました。
慌てて駆けつけた父親らしい男は、医師からその旨を告げられ激しく落胆します。
周囲の人達も重く沈んでいるなか、アストリアは医師のひとりが小さく笑っていたのに気づきます。アストリアと目が合ったその医師は、慌てたように口元を引き締め足早にその場をあとにしました。


カエデ:怪しいわね。

アストリア:その医師の名前わかるか?

GM:ネームプレートにはバーク・ロバーツとあった。婦人科のスタッフらしいね。


ロバーツ医の態度に不審を抱いたふたりは、独自に調査を開始します(もちろん積極的に行動するのはセーラで、アストリアは連れ回されたわけですが)。


GM:マルク病院の評判はいいよ。院長のヒュー・スコットは慈善家としても有名で、孤児院やボランティアグループに資金を提供したり、企業や行政府に口添えして彼らの活動を手助けしたりしている。
バーク・ロバーツは腕のいい医者なんだけど看護婦の評判はいまいちだね。神経質で自分が常に一番でないと気がすまないタイプ。おまけにほかの医者を見下した態度を取ったりするもんだから医者仲間からは嫌われている。

アストリア:世界は自分を中心に回ってると勘違いしている、自己中心的な奴なんだな。こういう医者にだけはかかりたくないもんだ。

カエデ:勝手に臨床実験に使われそうね。僕の偉大な実験を断る患者などいないとか言って。

メイル:偉大な僕の――じゃないのか?


トーアル研究所


メイルのコネで大手新聞社の身分証を手に入れたPCたちは、正面からトーアル研究所に乗り込みます。
取材許可は呆れるほど簡単にとれました。PC達が罠でもあるのではないかと警戒したほどです。
しかし杞憂でした。
取材に訪れたカエデとメイルに対し、所長のトーマス・クランシーは大歓迎で快く応じてくれました。
レポーターに化けたカエデの質問に必要以上の答えまで返す始末。さらに極秘のはずの研究内容まで自慢たらしくしゃべりまくります。
どれほど偉大な研究をしているか、そして偉大な成果を達したか、トーマス所長の自慢話独演会は長きにわたり続きます。
心身共に疲れ果て、ようやく解放されたのは日が落ちてからでした。ちなみに取材に訪れたのは正午前だったのですが(笑)


カエデ:……つかれた。

メイル:……長話の好きな男だ。それもほとんど自慢話だぜ。よくもまあ、あれだけ自慢して話がつきないもんだ。

カエデ:おまけにひとつとして同じ話はなかったわよ……

GM:まあ、それだけ自慢したかったんだよ。自分がいかに優れているかをね(笑)

アストリア:この所長、バーク・ロバーツの親戚か? 2人とも自慢話が好きだし。
セーラに付き合わされたのは、かえってよかったのかもな(笑) 驚いたのは極秘のはずの研究内容までしゃべり倒したことだな。あれじゃあ厳重警備の意味ないじゃないか。

セーラ:施設内の写真までは、さすがに撮らせてもらえませんでしたけどねえ。

メイル:いくらなんでもそこまで間抜けじゃないだろ。それにしても新型のコントロールシステムとECCMか……当てになるのかね。

カエデ:あの所長、死の森の遺失メックをねらってるわね。取材のなかでやたらと『死の森の結界』の話がでたじゃない。


死の森とは、メルジストから北に1000キロほど北にある広大な森です。
センサーを阻害する霧が森一面に立ち込め、5メートル先も見渡すことはできません。さらに霧の妨害を受けない高性能メックが多数彷徨い、森を訪れた者に確実な死を与えています。
センサーを妨害する霧。そして森を彷徨う高性能メックの群。それらを『死の森の結界』と呼び、戦争が終わって30年たった今も侵入者を拒み続けているのです。


アストリア:それだけじゃないと思う。あの森には別な何かがあって、所長の狙いはそれじゃないかと思うんだが。

メイル:その根拠は?

アストリア:XLエンジンやRE−PPCなんかの遺失技術が狙いなら死の森にこだわる必要はない。探せばもっと安全に手に入るはずだ。それをわざわざ対『結界』用のECCMを開発したり……みょうに死の森にこだわってるんだよな、あの所長。新型コントロールシステムにしても死の森のメックに対抗するためのもので、対抗手段ができたら森の奥まで行くつもりじゃないか?

GM:(大正解。けどプレイヤーにはまだ秘密なんだよね)

メイル:なるほど正論だ。だがそれを確かめるすべはないな。2度も取材に行くわけにいくまい。街に帰ってきた研究員とっつかまえて吐かせるか?

カエデ:研究員のデータそろってるから待ち伏せできるよ。捕まえたら自白剤でも打つ?

メイル:あぶないやつ。しかし、重要な情報は中核にいる人間でないとわかるまい。誰でもってワケにもいかないか。

カエデ:うーん、そうねえ。

アストリア:内部事情に詳しい研究員を待ってたらいつになるかわからんぜ。狙うならあの若い研究員だな。

メイル:あのあからさまに怪しい態度をとっていた研究員だな。絶対に情報握ってますと態度で示していた(笑)

GM:(すまんね。あからさますぎて(笑) 気づいてもらおうと思ったらああなったんだ)

カエデ:けど資料を見るかぎり、重要な情報を握ってそうな立場でも地位もないわよ?

セーラ:でも彼っていかにもですぅ。

メイル:メイル:偶然に知ってしまったというパターンじゃないか? それに重要な地位じゃないからガードも甘いだろ。


フランク・クリーガー


港に近い隠れ家を確保したPC達は、交代で若い研究員・フランク・クリーガーの帰りを待ちます。
ツーマンセル(ふたりひと組)で港を監視し、他の連中は島の警備状態の確認やマルク病院について片っ端から情報を集めます。
島の周り一面の海中には無数の機雷が仕掛けられており、島に無事到着できるルートは定期船の航路一本だけということがわかりました。しかもやっかいなことに、仕掛けられた機雷は大戦時に開発された物の改良型で、識別信号を発しない侵入者に対し自ら接近して自爆するというやっかいなシロモノです。メックで強引に突入しても装甲が持たないでしょう。
輸送機で空から強襲する事も検討しましたが、島にたどり着く前に監視塔のLRM20を食らい海にドボンが関の山です。
一方、メイルはトーアル研究所所長トーマス・クランシーとマルク病院院長ヒュー・スコットがたびたび密会しているという情報をつかみました。そのたびに院長の隠し口座に大金が振りこまれ、病院から何かが運び込まれています。
PC達は更なる調査を続けましたがさすがにガードが固く、荷の内容はようとして知れません。


カエデ:病院からなにか横流ししてもらってるのかしら? 麻薬とか。病院だからモルヒネかな?

セーラ:それは違うと思いますう。麻薬なら病院よりシンジケートと手を結んだほうが簡単だと思いますう。

カエデ:じゃあなによ?

セーラ:……さあ? なんにせよ、病院じゃないと手に入らない物じゃないですか? 何かはわかんないけど。

アストリア:ISCが壊滅を依頼してきた研究所の所長が、裏で怪しいことをしている病院の院長と密会している……。研究所は新型のコントロールシステムを開発していて、病院から人目を避けるように何かが運びこまれている……か。

カエデ:なんか、あまり想像したくない物が出そうね。

GM:(アストリアとカエデの2人は感づいてるか)さて、そろそろ定期船が港に着くよ。港を見張ってる人は知性度の能力値ロールして頂戴。

カエデ:(ころころ)成功。

アストリア:むう、失敗。

GM:敏捷度と砲術=メックにばかり経験点継ぎこむからだ。本気で知性上げろよ(笑)
研究員は週一度しか帰れないけど、生活物資の補給なんかで定期船は毎日運行されているんだ。定期船が港につくと荷揚げと積みこみが開始される。定期船は物資の輸送がメインで乗客はほんのわずかしかいない。今回船から降りてきた乗客は十人程度だね。しばらく談笑する者、挨拶もそこそこに家路に着く者それぞれだ。
カエデはその中に件のフランク・クリーガーの姿を見つけた。彼は周囲を見渡し、人目を避けるように街に向かう。

カエデ:追うわよ、アストリア。

アストリア:すまんが一報入れてくれ。どこに居るか分からん(笑)

カエデ:情けないわね。それに、よく考えたらアストリアって盗賊技術も持ってないじゃない。メックから降りたら役に立たないのね。

アストリア:まったく役に立たないやつだ。

メイル:自分で言うかね(笑)

GM:まったくだ。フランク君は背後を気にしながら街中に消えて行くよ。繁華街をうろついているんだけど店に入る様子はない。かと思えばバスを乗り継ぎ、降りた先でデパートに入る。買い物かと思ったら、これまた店の中をうろちょろするだけで、しばらくしたら人通りの少ない出口から店を出る。時折立ち止まって背後を気にしているね。

セーラ:あからさまに怪しい行動ですねぇ。ひょっとして尾行ばれてるんですか?

カエデ:あたしのロールは成功しているし、アストリアは離れてついてきてるし……尾行がばれてるってことはないと思うんだけど。

アストリア:あからさまに尾行を気にしてるってことはバレてないんでないかい? 気がついていたら態度も変わるだろ。

メイル:なるほど。しかし念のため交代するか? パーティの中では私が一番盗賊技術高いし。

カエデ:同じ人間が長時間尾行してるとばれる可能性も高くなるし、途中で変わってもらったほうが正解よね。現在地を連絡して変わってもらうわ。

メイル:OK。連絡もらったら急行するよ。

GM:尾行開始は知らせているだろうし、5分くらいで合流していいよ。メイル、盗賊技術の目は?

メイル:(ころころ)5成功と言っている。よほどのプロでないかぎり気がつかないだろ。

GM:その目じゃ素人のフランク君は気づかんよ。尾行されていることに気づかないフランク君は、背後を気にしながら夜の街をうろついている。ひとしきりうろついて安心したのか、駅のほうに歩いて行く。

アストリア:いよいよ戻るのかな。マスター、俺はフランクのマンションに先回りしておくよ。住所はメイルが手に入れた名簿から判るだろ。

カエデ:あたしも行くね。睡眠薬とか自白剤とか、医療/応急手当技能もってないとやばいでしょ。

GM:使うつもりかい!

カエデ:時と場合によっては必要よ。フランク君が友好的ならいいんだけどね(笑)

GM:まったく……さて、件のフランク君は駅に到着した。ホームに向かわず公衆電話の列に向かってる。

メイル:私は何食わぬ顔でフランクの隣りに並ぶよ。電話かけるふりをしてフランクがどこに電話するか確認する。プッシュボタンが見えなかったら番号の音を聞いて記憶しておく。

GM:ほほう。なかなか味な真似を(笑) じゃ知性で……いや、盗賊技術にしておくか。ロールして。

メイル:ふ、楽勝。

GM:ではメイルは番号を記憶した。電話に相手が出たようだ。フランク君はなにやら話し込んで居る。どうも帰るコールのようだよ。

セーラ:あれ? フランク君てたしかひとり暮しじゃなかったですか? ご両親のおうちに電話したのでしょうか。

アストリア:俺達が先回りしたのは無駄骨かい。

GM:フランク君の口ぶりからすると両親とは違うみたいだね。

メイル:相手が誰かわからないかな。会話の中に相手の名前かなにか出てこなかったか?

GM:ふーむ。では知性の能力値ロールを。

メイル:(ころころ)ありゃま、失敗。

GM:残念でした。小声で話してるし、回りの雑音もひどいから会話の内容は判らないね。電話が終わるとフランク君はホームに出る。ちょうどホームに滑り込んできた電車に乗りこんだ。電車の方向から見てフランク君の行き先は自分のマンションじゃないね。

アストリア:まあ電話番号が判っているから、そこから調べることは可能だろ。

メイル:私はこのまま尾行を続ける。番号を教えておくから相手先を調べといてくれ。

カエデ:あたしコンピュータ技能持ってないわよ? まったく、ローソンがいれば一発なのに。

メイル:いない人間のことをぼやいても仕方ないだろ。私のコネに頼んでもいいが時間かかるぞ。

セーラ:ひょっとして、わたしが調べるんですかぁ?

アストリア:コンピュータ技能持ってるといってもレベル1だしな。ハッキングするには心許ない。

カエデ:じゃあどうするのよ。

アストリア:(にやり)カエデとセーラには強力なコネがあるだろ。

GM:ははははは。

カエデ:ま、まさか……

セーラ:(ぽんと手を叩いて)ああ、そうですね。ジロンさんに頼んでみましょうか。きっとすぐに調べてくれますよお。

カエデ:ちょっと、セーラ本気? あの人に頼んだらあとでなに要求されるかわかんないわよ?

セーラ:えー。でもでも……非常時ですしぃ。大丈夫ですよ。せいぜいカエデさんの水着姿のポートレイトどまりですう(笑)

カエデ:あんた、いつそんなの撮ったのよ。

メイル:私が撮ったことにしよう。海に行ったとき、ちょうどその場に居たし(笑)

カエデ:あんたらね……

アストリア:ほう(手にとって写真を見るような振りをして) なかなかよく撮れてるじゃないか。シゲさんたちに1枚2クレジットで売れるかな(笑)

GM:喜んで買うだろう(笑)

カエデ:えーい、分かったわよ! ジロンの親父に「お願い」すればいいんでしょ! まったく!


策士という名の外道 策を練る


カエデ:マスター。ジロンの親父に連絡するね。イヤだけど。

GM:あいよ(笑) 最初のコール音が終わらないうちにジロンが出るよ。「娘よ。お前のほうから連絡してくれるとは、父はとても嬉しい」だってさ(笑)

アストリア:えらく早かったな。

GM:発信者の番号通知を使って、ある特定の人物から連絡が入るとすぐつながるようにしているのだ(笑)
「それで娘よ。この父にどのようなお願いかな」

カエデ:だから誰が娘よ。まあいいわ。実はこの電話番号の主が誰なのか大至急調べてほしいの。あたし達で調べるとちょっと時間がかかりそうなの。お願いできるかしら。

ジロン:調べることは簡単だ。しかし、わしも役職上、特定の傭兵に肩入れすることはまずいのだか……

カエデ:あんたがそれゆーか(笑) 「職務上難しいのは良くわかってるわ。だけど大至急必要なの。こんなこと頼める義理(強調)じゃないかも知れないけど……お・ね・が・い(笑)」

セーラ:セーラからも、お・ね・が・い(笑)

アストリア:女って、怖いやね(笑)

GM:「よーし判った! みなまでゆーな! すべて、この父に任せておけ!」とゆーことですぐ調べてもらえることになった。ただし費用払っといてくれよ。いくらジロンといってもネストのネットワーク使う以上、無料では引き受けてくれないぞ。

カエデ:払う払う。倍払っとく(笑)

メイル:借り作るのそんなにイヤか(笑)

GM:件のフランク君はとある駅で降りるよ。駅に降りてからも背後を気にしてちょっとうろついてから、あるマンションに入って行く。そのマンションは研究所の所員名簿にあった住所とは違うマンションだね。

メイル:フランク君のセーフ・ハウスかな?

アストリア:帰るコールしてたってことは違うんでないかい。恋人か知人の家ってところだろ。

セーラ:セーフ・ハウスってなんですかぁ?

アストリア:まあ、隠れ家みたいなもんだ。ところでどの部屋に入っていったかは判らないかな。

GM:オートロックだから住民以外は入れないぞ。

カエデ:テレビでやってたみたいに、住民のふりして「すいませーん」とか言って一緒に入れば?

メイル:電話のとき隣りに居たからな。顔を覚えられている可能性がある。ここで私が行くのはまずい。ジロンの報告を待ったほうが得策だ。

アストリア:ジロンから連絡は?

GM:そうだな。フランクがマンションに入ってしばらくして連絡が来る。
「娘たちよ。待たせたかな?」

カエデ:あたしの所にかかってくるわけね。それで判ったの?

ジロン:無論だ。父として娘たちの期待を裏切るわけにはいくまい。電話番号の主はモニカ・ヒルゼンという女性だ。ある企業の重役秘書をしていてサンシャインマンションの503号室に住んでいる。

アストリア:サンシャインマンションというのはフランクが入っていったマンションに間違いないか?

GM:ああ、間違いない。

セーラ:どうしますう? いっそのこと503号室に踏み込みましょうか。

メイル:無関係な民間人を巻き込む必要はない。出来るだけ顔を覚えられたくないしな。どこかに呼び出せればいいんだが。

カエデ:お前の秘密を知っているなんて言えば、かえって閉じこもっちゃいそうだしね。

アストリア:……いや。その手は使えるかも知れないぞ。

GM:おいおい。本気か?

カエデ:そんなこと言えば、貝のように閉じこもって出てこなくなるよ? フランク君が異常なほど尾行を恐れてたのって、何かの秘密を知ってしまったから殺されるかもと怯えているせいでしょ?

アストリア:だから逆にそれを利用するんだよ。フランク・クリーガーは研究所の秘密を、恐らく非人道的な研究内容を知ったにもかかわらず、訴えるどころか逃げることもできない小心者だ。異常なほど尾行を恐れていたのがその証拠。ちょいと脅せば出てくるさ。

セーラ:アストリア君て、ほんとに悪い人なんですねぇ。

アストリア:しみじみ言うなよ(笑) 所詮、俺達は傭兵。「人にして人の道を外れたる外道」なのさ。ふふふ。

GM:アーマード・コアの次はナデシコ(劇場版)か。

カエデ:北辰! 投降しろ(笑)!

アストリア:ははははは。テンカワアキト。また会おう! 跳躍っ(笑)

メイル:消えてどうするよ(笑) まあ、アストリアの案を採用するとして、シゲさん達に連絡して装備を持ってきてもらわないとな。

セーラ:装備?

メイル:赤外線探知機とか集音マイクとかさ。彼女が風呂とかでフランクがひとりになったときを狙うんだ。なるべく彼女に気づかれたくないしな。フランクを呼び出すにしても準備がいるだろ。場所とかいろいろ。

セーラ:メイルさんて、アストリア君と違っていい人なんですねぇ。

アストリア:それ絶対違う。メイルも策士だ。フランクの性格上、彼女にも研究所の秘密を打ち明けてないはずだから、気づかれずに連絡したほうが策がうまく運ぶと言ってるんだ。

メイル:ふふふ。

カエデ・セーラ:あんた達って……

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