UNDAM ENTINEL RPG ―OutLaws Edition―

ルールセクション


【キャラクターの日常】

 このセクションでは、キャラクターの戦闘以外の艦内や基地内、あるいは休暇中の日常的な生活を演じるための設定をあつかいます。
 この世界で生活するキャラクターも、MSで戦闘する以外にも、生きるために食事し、睡眠をとり、そして僅かな自由時間は好きなことを過ごしているでしょう。
 例えば、数少ない女性兵士に盛んにモーションをかける奴や、コンピューターが好きで絶えずディスプレイの前から離れない奴、トレーニングルームでフェンシングやジュードーの稽古に励む奴、自分の愛機の整備に余念の無い奴、することもなく食堂でたむろっている奴などなど……。
 キャラクターにMS戦闘とは関わりのない、技術や知識、趣味を持たせることで、戦闘ミッション以外のシナリオを演出させることができるでしょう。

1.一般技能

 基本的にMS戦闘以外の知識、技術、趣味などのキャラクターの個性を演出するための能力です。これらの一般技能を修得していたとしてもMSでの戦闘で特に有利になるということはありません。

1−1.一般技能リスト

名称 功績ポイント 期間 教官 備考
雑学 100 無し 一般常識的な知識、時事問題に関する知識
薬品化学 650 30 有り 主に戦争に関する薬品、BC兵器など
戦史 450 30 有り 宇宙世紀以後の戦争に関する近代戦史
書類鑑定 250 14 有り 正式書類、証明書の鑑定
医療/応急手当 800 30 有り 医学知識と怪我の適正な処置
MS企画設計 1000 60 有り MSの企画、設計
政治的手腕 500 30 無し 政治関連の知識と駆け引き
エンジニアリング 150 有り MSの整備や補修
エレクトロニクス 500 10 有り 電子工学知識
交渉/説得/脅迫 700 有り 対人交渉術一般
口説き 100 無し ナンパ
コネクション 1000 特殊 無し 他の世界(マスコミ、政界など)とのコネ
コンピューター 600 14 有り コンピューター知識(ソフトウェア)
追跡 750 30 有り 足跡からの追跡
忍び足 800 30 有り 消音行動
カモフラージュ 300 有り 人間からMSまでの偽装
乗馬 1000 有り 馬に乗る技術
バーニア移動 200 有り ノーマルスーツでの宙間移動
トラップ 700 28 有り 落とし穴からブービートラップまで
生存術 650 30 有り サバイバリング技術
爆薬知識 600 30 有り 爆発物一般、設置、解除など
重火器 450 20 有り バズーカ、マシンガンなどの重火器
軽火器 350 10 有り ライフル、SMGなどの軽火器
サイドアーム 100 有り ハンドガンの取扱
マーシャルアーツ 550 15 有り 素手での格闘術
ナイフコンバット 200 10 有り 軍用ナイフを使った格闘術

※1.上の表は1レベルごとの習得に必要な功績ポイントと期間
※2.通常、休暇中(基本任務時は7日間につき功績ポイント100必要)のみに新規習得可能

1−2.一般技能のレベル

 一般技能にもMS技能のようにレベルが存在します。
 一般技能のレベルは基本的に判定時のプラス修正として効果を表わします。レベルの目安としては以下のようになります。

1〜3レベル それらの知識について知らない訳ではない、という程のもの。何らかの行動に関する場合、経験者程度のレベル。
4〜6レベル アマチュア程の知識と能力
7〜9レベル プロとして生活できるほどの知識と能力
10レベル プロの中でもトップクラスの実力。知識は豊富で、能力は抜群。

1−3.一般技能の修得

 軍人であり、通常任務に就いているPCが、時間をかけて一般技能を修得するのは難しいことです。
 もっとも、軍籍に入る前に何らかの訓練を受けていた可能性もあるため、PCは作成された時点で25点の一般技能点を所有しています
 このポイントは自由に使用でき、1点消費することによって、一般技能を1レベル習得できます。使い方は自由で、1つの技能を10レベルまで上げたり、1レベル技能を10修得しても構いません。
 シナリオ開始後に一般技能を修得したい場合は、GMの許可を得た上で、その技能の習得期間分の休暇を取り、さらに必要功績ポイントを消費することによって、一般技能を修得することができます。

 ただし「コネクション」は特殊な一般技能で、修得には必ずGMの許可が必要です。
 「コネクション」の習得には5レベル分の一般技能点が必要で、これ以上レベルを上げることはできません(また下げることもできません)。技能判定に成功した場合、そのコネの対象人物と接触することができます(接触できたとしても、必ずしも協力してくれる訳ではありません)。

1−4.一般技能判定

 PCが一般技能を使用して何らかの行動、知識を得る場合、2D6を行い、その出目に一般技能のレベルを足します。その値が基本目標値である「10」を超えた場合、その行動は成功となります。
 GMはその行動の難易度を決定し、適宜基本目標値に対してプラスマイナスの修正を加えて下さい。

2.個人戦闘

 キャラクター同士による、一般技能を使用した個人戦闘についてのルールです。

2−1.個人戦闘の手順(シークエンス)

1.イニシアチブ(先攻・後攻)の決定

2.先攻側行動の決定

3.先攻側行動処理(移動/射撃攻撃/格闘攻撃)

4.後攻側行動の決定

5.後攻側行動処理(移動/射撃攻撃/格闘攻撃)

2−2.イニシアチブ

 MS戦闘と同じく先攻と後攻を決定します。
 イニシアチブの決定はラウンドのはじめに両軍の代表者が2D6を振り、「知覚力」の修正を足し、値の大きい方が先攻となります。

2−3.行動パターンの選択

 MS戦闘と異なり、行動ポイントを決定する必要はありません。
 個人戦闘で行える行動パターンは、移動、射撃攻撃、格闘攻撃の3つで、これらのなかからどれかの行動パターンを選択し、行動します。

2−4.行動パターンの判定

<移動>

 PCは移動を行います。通常移動と全力移動が選択できます。
 通常移動は、息を切らさない程度に移動できる距離です。全力移動は、文字通り全力での疾走となります。それぞれ、荷重状態によって移動できる距離は変動します。

移動距離表 (条件:地球上1G)

荷重状態 通常移動 全力移動 装備内容
軽装備 15 70 小銃1丁とバックパックなど、4〜5kg程度。
中装備 10 50 軽機関銃1丁と備品、バックパックなど、10〜12kg程度。
重装備 35 中機関銃1丁と備品、バックパックなど、12〜15kg程度。

<射撃攻撃>

 小銃、拳銃などの射撃武器で射撃による攻撃を行います。攻撃側は射撃系一般技能判定を行い、成功すればその攻撃は命中となります。

射撃の攻撃修正表

  修正 備考
目標が移動している +2  
射撃手が移動している +2 移動力は半減する。
射撃手が照準を定めている −2 最大2ラウンドまで可能。
射撃手が姿勢を固定している −1 伏せている、銃架を使用している、など。

 技能判定に成功した場合、目標値を上回った数値を、使用した武器の威力に加算することができます。

□制圧攻撃□

 連射可能な銃(機関銃など)がこの攻撃を行えます。この射撃を行う場合、複数の目標が前方の扇状の範囲内に存在する場合に、その射撃を行う武器の威力を好きなように割り振ることができます。例えば、SMGの威力は14です。14の目標に1威力ずつで射撃を行っても、7の威力で2つの目標に射撃しても構いません。それぞれの目標への判定は、別個に行います。

□巻きこみ射撃□

 散弾銃は数百発の散弾を一度に射出します。そのため、目標の周囲を巻きこんだ攻撃が可能です。目標の周囲5m以内の二次目標には1/2威力、10m以内の二次目標には1/4威力で個別に判定を行います。

□榴弾攻撃□

 榴弾は、爆発によって周囲の目標を巻きこんだ攻撃を行います。命中した着弾箇所の周囲の有効範囲内すべての目標に対して、同じ威力のダメージを与えます。
 もし命中判定で判定に失敗した場合、目標値に足りなかった値だけ、目標地点から離れた場所に着弾します。そして、その着弾箇所の周囲の有効範囲に対して、無差別にダメージを与えます。

<格闘攻撃>

 素手もしくは、何らかの武器(ナイフや小銃の銃床など)での白兵戦攻撃を行います。攻撃側は格闘系一般技能での技能判定を行い、成功すればその攻撃は命中となります。

格闘の攻撃修正表

  修正 備考
目標が移動している +2  
攻撃手が移動している +2 移動力は半減する。

 技能判定に成功した場合、目標値を上回った数値を、使用した武器の威力に加算することができます。また、さらに体力修正を威力に加えることができます。素手での攻撃の場合、体力修正がそのまま威力となります。

2−5.ダメージの決定

 攻撃の判定が成功した場合、目標に対してのダメージを算出します。使用した武器の威力を参照し、「個人戦闘結果チャート」に当てはめ、1D6で結果を決定します。

 また、射撃の場合、目標までの距離によって威力が変動します。目標までの距離が基本射程の範囲内であれば、通常の威力で判定を行いますが、基本射程を越えている場合、威力が減少します。威力の減少率は、基本射程を越えて変化射程の距離を越えるごとに1ポイントずつ低下していきます。

 威力修正(端数切り上げ) = (目標までの距離 − 基本射程) / 変化射程

(例) SMGの場合
 SMGの威力は14です。基本射程は15m、変化射程は10mです。目標までの距離が45mである場合、基本射程より30mオーバーしていますので、それを変化射程の10mで割ります。すると威力修正は3となります。よって、威力14から3を引き、11威力となります。

ダメージ効果の説明

1 : 衝撃によって耐久力に1点ダメージ。

スタン : 耐久力に1点ダメージを受ける。さらに気絶判定を行う。

軽傷 : 耐久力に1D3のダメージを受ける。さらに気絶判定を行う。

中傷 : 耐久力に1D6のダメージを受ける。さらに気絶判定を−6修正で行う。

重傷 : 耐久力に3D6のダメージを受ける、さらに気絶判定を−9修正で行う。

重態 : 耐久力が残り1D6に低下する。さらに気絶判定を−12修正で行う。

死亡 : 耐久力は0となり、即死します。

個人用武器リスト

名称 威力 基本射程 変化射程 連射弾数 装弾数 価格 弾薬価格 備考
軍用自動拳銃 15 14 2,200 100  
357マグナムリボルバー 16 1,800 100  
SMG 14 15 10 10 20 5,600 240 制圧射撃可能
突撃小銃 18 20 10 10 30 7,200 280 制圧射撃可能
軽機関銃 20 50 35 10 30 9,800 350 制圧射撃可能
重機関銃 30 80 30 30 120 35,000 1,600 制圧射撃可能
ショットガン 20 20 10 10 2,400 250 巻きこみ射撃
狙撃銃 12 120 60 12 3,000 200 スコープ装備(照準−2)
ボウガン 15 2,800  
シューティングナイフ 300   手投げナイフ
対戦車ライフル 24 90 20 25,000 1,200  
バズーカ 40 40 38,000 1,800 榴弾攻撃(範囲10)
グレネードランチャー 30 80 30 12 64,000 2,600 榴弾攻撃(範囲15)
ハンドグレネード 20 20 1,500   榴弾攻撃(範囲5)
サバイバルナイフ 1,000   軍用ナイフ
棍棒   鉄パイプなど
銃剣 600   槍扱い
サーベル 3,000    

3.収入と生活

 ごく普通の社会では人々は仕事をすることによって報酬を得て、その報酬を消費して生活を維持しています。報酬は「クレジット」という貨幣単位で支払われ、軍人であるPCも、給与を毎月得ています。PCが軍人である場合には、階級によって、以下の給与を毎月銀行振込で得られます。この給与から、衣食住の費用は差し引く必要はありません。最低限必要な衣服、毎日三回の食事、住居については軍がすべて提供してくれます(といっても、住居は軍の基地内の寮か、軍艦の船室ですし、衣服は作業着と軍服なのですが・・・)。

階級による給与一覧 (単位:Cr)

階級

給与

三等兵 8,800
二等兵 9,160
上等兵 9,590
伍長 10,110
三等軍曹 10,730
二等軍曹 11,480
上等軍曹 12,370
三等曹長 13,450
二等曹長 14,740
上等曹長  16,290
准尉 18,150
少尉 20,370
中尉 23,050
大尉 26,260
少佐 30,110
中佐 34,730
大佐  40,280

 都市、特にコロニーなどでの生活では、キャッシュカードが一般的に普及しています。商店での商品購入はもちろんのこと、無人のタクシー・エレカや、自動販売機にいたるまで、キャッシュカードのよる支払い処理が一般化され、紙幣や貨幣を持ち歩く必要がなくなっています。ただし、それはコロニーや都市部だけでのことで、地球の辺境や、片田舎の小さな村では紙幣や貨幣が必要でしょう。

3−1.アイテム・装備紹介

 以下にシナリオで利用しそうなアイテム、装備の解説をします。
 価格は基本価格ですので、GMは常識で判断して価格を変更したり、入手可能かどうかを判断してください。たとえば、辺境の村でノーマルスーツ(宇宙服)や、スペースグライダー(宇宙船)を入手することは不可能でしょう。

○個人装備○

ノーマルスーツ (民間用) 価格:10,000 Cr

 MS(モビルスーツ)に対して、人間サイズの宇宙服は、ノーマルスーツと呼ばれます。この宇宙服は民間用に発売されているポピュラーなタイプのものです。戦闘には不向きな動きにくい大型のものですが、その分耐久性は高く、長時間の作業などにも対応でき、簡易トイレ、液体非常食、真空中での激しい温度差にも耐えられる保温装置が装備されています。またヘルメットには短距離会話用の通信機と、強力なヘッドライトが内蔵されています。この宇宙服は、連続で10時間までの使用が可能です。
 戦闘に使用した場合、すばやい動きに不向きな為、判定に−3の修正がつきます。また、移動できる距離も1/2となります。
 また、この宇宙服を着用して、MSなどを操縦する場合、すべての能力値、MS技能の特典を1/2(端数切り上げ)として扱わなければなりません。

ノーマルスーツ (軍用) 価格:15,000 Cr

 作業向きでない、短時間での宇宙戦闘での着用を目的とした宇宙服です。若干動作が鈍くなりますが、個人戦闘での影響は特にありません。短距離会話用の通信機が内蔵されています。この宇宙服は、連続6時間の使用が可能です。
 この宇宙服を着用して、MSなどの操縦を行う場合には、すべての能力値修正、MS関連技能の特典に−1の修正がかかります。

ノーマルスーツ (パイロットスーツ) 価格:14,800 Cr

 パイロットの気休めとなる宇宙服です。個人戦闘、MSの操縦には何らペナルティーはありません。しかし、耐久性、着心地は最悪です。ヘルメットに短距離通話用の通信機能があります。連続使用は3時間ほどが限界です。

救急セット 価格:500 Cr

 宇宙服が破損したときの救急セットです。薄く、伸び縮みするビニールの皮膜ですが、片面に糊付けされており、宇宙服が少し破けたり、空気漏れをした場合に、その場所に貼り付けることで空気漏れを防ぐというものです。このセットでは10枚が入っています。すべてのタイプの宇宙服にも3回分のシートが標準装備されています。

救急医療セット 価格:1,200 Cr

 負傷時に簡単な治療を行う為の医療セットです。止血剤、スプレー消毒液、化膿止め剤、鎮痛剤、包帯、ガーゼ、ピンセットなどが入っています。

電子双眼鏡 価格:8,600 Cr

 ぼやけて見にくくなってしまった画像を機械的に修正し、鮮明に写す機能を持った双眼鏡です。そのため、非常に暗い薄明かりの中でも、十分に機能します。

レーザートーチ 価格:4,800 Cr

 作業用の低出力のレーザーをごく至近距離まで発射できる溶接用の火器。このレーザートーチによって、かなりの厚さの装甲(50mmくらい)までを簡単に切断、溶接できます。

ポータブル・コンピューター 価格:10,400 Cr

 携帯可能な大きさ、重量の個人ユース用のコンピューター端末です。一般的なワープロなどのアプリケーションの使用や、ネットワークサービスへの接続が可能です。

スマートフォン 価格:9,500 Cr

 ポケットサイズの多機能携帯電話機です。電話以外に簡易的なデジタルカメラ機能も備えます。また一般的なワープロなどのアプリケーションの使用や、ネットワークサービスへの接続も可能です。

携帯無線機 価格:3,100 Cr

 ポケットサイズの携帯無線機です。見晴らし1km位までの通話が可能です。

リフトジェット 価格:13,200 Cr

 圧搾空気式の大気圏内で飛行する為のランドセルタイプの装備です。短時間なら空中に静止することも可能です。アクロバット的な飛行を行う場合、一般技能の『バーニア移動』の判定が必要です。

ラウンドムーバー 価格:12,600 Cr

 無重力下で移動する為の個人用スラスターです。重力圏内ではまともに飛行することはできません。アクロバット的な飛行を行う場合、一般技能の『バーニア移動』の判定が必要です。

○食品○

ドリンクチューブ 価格:各20Cr

 コーヒー、ジュース、紅茶などの飲み物のチューブです。無重力状態での宇宙船内などでも飲むことができます。艦内の自動販売機で売られています。

宇宙食(液体非常食) 価格:50Cr

 液体タンパク質、ビタミン、糖分などがバランス良く配合された液体状の食品です。1チューブで、一食分に相当します。また水分も十分に補給できるようです。宇宙で遭難したり、戦闘が膠着している状態でも、すばやく摂取することができます。ですが、量と味覚は満足できない代物です。

○乗り物○

エレカ(電気自動車)

 エレカとは、電気式バッテリー駆動の自動車のことです。電気で動くため、排気ガスも出ず、エンジン音(モーター音?)も非常に静かなクリーンな車です。特に空気が貴重なコロニーや月面都市などで利用され、地球でも大気汚染、環境保護のため、多くのタイプが使用されています。

エレカ乗用2シートタイプ 価格:45,800 Cr

 最も代表的なタイプのエレカで、二人乗りです。特に天候の管理されているコロニー内ではオープンカー・タイプが多いようです。定員を含めて200kgまでの荷物を積載できます。

エレカ乗用4シートタイプ 価格:128,000 Cr

 ファミリータイプのエレカで4人乗りです。定員を含めて400kgまで積載できます。

エレカバギー・4シートタイプ 価格:165,000 Cr

 悪路を走行できる四輪駆動型のオフロード・バギーです。定員を含め600kgまでを積載できます。

 


前のページへ   次のページへ

ルールセクションTOPへ戻る