CDの中身を見る方法、新OSの話など
サターンのCDはISO9660という国際標準規格に準拠しているので、 その規格のCD-ROMドライブがあれば中身を見ることができます。 最近買ったドライブならまず間違いなく大丈夫です。
しかし中身を見ることが出来ても、 ゲーム中に使われているグラフィックやサウンドを見たり聞いたりすることができるかと言うと、 大半の場合は各ソフトで独自の圧縮形式を用いているのでなかなか難しいようです。 中にはグラフィックデータを無圧縮のベタRGBで持っているようなソフトもありますが(^^;
ただし、サターンのシネパックを再生するフリーソフトウェアが出回っている、 という噂もちらほらと聞きますし、自力で解析を行ってローダを作ってしまう強者もいるそうです。
CDの中身を覗いたり、中のデータを個人的に活用したりすることは問題ないはずですが、 中のデータを配布したりすることは著作権法に触れる行為です。 あくまでも個人の楽しみの範囲にとどめるようにしましょう。
ちなみに、CDの中身を読めるからと言って、 全てのデータを読み出してライトワンスCDなどにコピーしたとしても、サターンで遊ぶことは出来ません。 ちゃんとプロテクトがかかっています。悪用しようと思っても無駄です(^^;
ムービーや画像や音楽情報を除くと、実際のゲームに使われているデータ量は確かに結構小さいものですが、 8cm CD-ROM(CDシングルサイズのCD-ROM)を用いた安価なゲームが供給されることは恐らくないでしょう。
なぜかというと、音楽のCD-Singleが、通常のサイズのCDより安く提供されているのは、 製作費が内容量に応じて安くできるからであって CD の製造費が安いためではないからです。 したがって、12cmだろうが8cmだろうが製造コストの面ではほとんど変わらないわけですね。
またCD-ROMドライブとしてみた場合、敢えてコストメリットの無い8cm CD-ROMを採用するには、難しい問題があります。
簡単に説明すると、質量の違いで遠心力に違いが出てモータの制御加減が違うので、 12cmと8cmは、区別して制御する必要があるのです (サターンでは電子ブック(EB)をサポートしていることからこの問題はクリアされていると思われます)。
まぁ、コスト的に何のメリットもないし、 他のソフトが全部 12cm CD-ROM なのに 8cm CD-ROM があると混乱の元だしということで 8cm CD-ROM は採用されていないのでしょう。
ただ、配布メディアとしては郵送料などが安く済むというメリットがあるので、 キャンペーンのプレゼント品などに採用される可能性は残されています。
6.1節でも触れた通り、サターンのCD-ROMの中身はそのへんのパソコンでも読み出すことが出来ます。 それを利用して、直接ゲームに関係しない隠しドキュメント(開発後記など)を入れているソフトがあります。
隠しドキュメントは以下のソフトについて報告されています。
他にも色々あるはずですので、探してみてください。
なお、もちろんですがこれらの隠しドキュメントも個人的に利用するのみに とどめなくてはいけません。
サターンのソフトのBGMにはCD-DAを用いている、つまりCDからの音をそのまま流しているものと、 内蔵音源を用いているものがあります。
このうち、CD-DAを用いているものはBGMを普通のCDプレイヤーで聞くことが出来ます。 しかし、1曲目の部分にはプログラムデータが入っているので、 普通のCDプレイヤーでは過ってこれを再生してしまい、機器を痛める場合があるので十分注意してください。
内蔵音源を用いているものは、CDプレイヤーで聞くことは出来ませんが、 ゲーム中のサウンドテストなどで楽しむことができるものもあります。
3DO、SS、PS、PC-FXなどのいわゆる「次世代機」、「新世代機」と呼ばれる機種の特徴の一つとして、 実写やCGなどを取り込んだ動画を再生する機能を持つことが挙げられます。
しかし、こういった取り込み動画はデータ量が非常に大きいため、 データを圧縮しておき、再生時に展開する処理が必要となります。
動画再生の処理には PS や PC-FX のように本体内に専用のチップを積んでハードウェア的に行う手法と、 3DO やサターンのように専用のハードウェアを持たずソフトウェアで行う手法がありますが、 サターンは上に書いたように、動画再生処理をソフトウェアで行っています。
シネパックとはそういったソフトウェアによる動画の圧縮/再生方式の一つで、 Mac の QuickTime、Windows の avi などにも使用されています。
シネパックは動画再生方式としてはかなり処理が軽く、 処理の軽さのわりには圧縮率が高いと言った長所がありますが、 逆に圧縮時にうまく処理しないと画質が劣化しやすく、 結果としてノイズが入り見た目が汚くなってしまいがちであるという欠点を持っているため、 シネパック以外の動画圧縮形式を採用したソフトも少しずつ出てきており、 例えば、クロックワークナイト下巻などでは True Motion-Sという形式が採用されています。
この True-Motion-S (トゥルーモーション)は Duck社が開発した動画圧縮/展開技術で、 シネパックとは異なり各フレームを一枚絵として圧縮 (シネパックは各フレーム間の差分を用いて圧縮しています) しているために、
といった長所がありますが、
という短所も持っています。 しかし、秋に発売されるE0(エネミー・ゼロ)のムービーなどを見る限り、 画質の面ではシネパックを圧倒しています。
しかし、この所シネパックの画質も技術の向上により以前とは比べ物にならない ほど美しくなってきており、今後は用途に応じて使い分けられるのではないかと 思われます。
さらに、これら以外の独自の動画エンジンを開発して使用しているメーカーもあ りますね。
このように、開発技術の向上により今後サターンの動画の画質はさらに綺麗にな ると予想されています。ユーザーとしてはなんとも楽しみな話ですよね。
雑誌やパソコン通信などでゲームの話題になると良く出てくる 「フレーム/秒」 とか 「フレームレート」 とか 「fps」 とか 「1イント」 など の表現ですが、これらはすべて、1秒間に何回画面の書き換えが行われるのかを表しています。
ゲームの画面というのは一見滑らかに動いているように見えますが、 実は静止画を高速で切り替えることにより動いているように見せているわけです。 ゲームの画面の書き換えの話をする場合、静止画一枚一枚を1フレームと呼ぶのが一般的です ( 家庭用テレビの規格であるNTSCでの話と混乱しがちですが、 ゲームの話題における「フレーム」とNTSC規格における 「フレーム」は別のものだと認識しておけば余計な混乱は防げるでしょう )。
家庭用テレビの規格であるNTSCでは毎秒60回、つまり1/60秒に1回の画面書換えが行われます。 したがって、これに合わせてゲームが画面を1/60秒毎に書き換えれば 最大60フレーム/秒の画面書き換えを行うゲームになるのですが、 ゲーム機が画面を生成する処理に時間がかかって1/60秒以内での描画が間に合わなかったりするようなゲームでは、 例えば画面の書き換えを2/60秒毎にすれば、画面の書き換え枚数は30フレーム/秒になるものの、 1画面あたりにより多くのポリゴンなどを表示できるようになり、より美しい画面を生成することができます。
当然ながら一秒間当たりの画面書き換えの枚数が多ければ多いほど、人間の目には滑らかな動画として映りますし、 プレイヤーがコントローラを操作した結果が画面に表れるまでの時間も短くなります。 このことは、プレイヤーの操作が画面に反映されるゲームにおいては非常に重要な要素です。
しかし、動きだけが良くても画面がやけに寂しかったり、ポリゴンが欠けまくったりしては興醒めです。 そういった意味で、描画性能に制約がつきまとう現行の家庭用ゲーム機においては、 操作していてストレスを感じない範囲でフレーム数を減らして画面の密度を上げるのも一つの方法なのは事実で、 そのあたりはゲームの方向性によって使い分けられています。
fpsというのは frames per second の略で、「フレーム/秒」と同じ意味です。
「1イント」「2イント」という表現ですが、1イント=1/60秒で、画面を何イント毎に書き換えるのかを表しています ( 詳しい説明は省略しますが、「イント」とは Interrupt の略で、 ここでは垂直同期割り込みを指します )。
ちなみに、サターンのゲームを例に取ると、
などとなっています。
余談ですが、多少の熟練は必要なものの、 普段からゲームをしていると見ただけでフレームレートを判別できるようになってしまいます。 人間の目とは恐ろしいものですね(^^;
セガからサードパーティーに向けて提供されている、開発環境をサポートするライブラリ群です。
ライブラリとは、 プログラムを書く際にしょっちゅう用いられる処理のプログラムをいちいち書くのは面倒なので、 よく使われるプログラム上の処理(手続き)をまとめて書いてあるものです。 これにより、行いたい処理のプログラムをいちいち書かなくてもライブラリから呼び出すことで実現することができ、 開発が効率化されます。
以前までの家庭用ゲーム機の大半がそうであったように、 これまで、サターンの開発をする際にはビデオチップなどの周辺チップの制御など、 OSを通さずにハードを直接操作するようなプログラムを書く必要がありました。
しかし、SGL を用いることによって、 以前にはプログラマが苦労して直接ハードを叩くようなアセンブラコードを書いていたような処理を、 関数として呼び出すだけで手軽に実現できるようです。
これにより開発が効率化がされ、ソフトの品質向上や開発期間の短縮につながっています。 特にポリゴンを使ったゲームをより簡単に開発できるようになったそうです。
UNIXワークステーションとICE、そしてターゲットBOXと呼ばれる開発用サターンを用いて開発されるようです。 もちろん、CGムービーなどは Indy などのグラフィックワークステーションを別に用意して開発しているようですし、 テクスチャデータなどのデザインにはMacを使う場合が多いようです。
開発キットはサードパーティー契約をしないと入手できないうえに、 非常に高価らしいので一般ユーザーが開発ツールを入手してソフトを開発する、 などということは難しいでしょう。
ちなみに、SGLで開発できる環境が整ったと同時に、開発キットのレンタルも開始されたとのことです。 これにより資金力の小さいメーカーが隠れた実力を発揮してくれることを望みましょう。
セガから提供されている、サターン用ソフトのサウンド関係の開発時に用いられるライブラリ 「SEGA SOUND LIBRARY」 がありますが、このライブラリを使用する際には、 著作権を持っている Invision Interactive 社のロゴを表示することが決められているのです。
カナダのQサウンド(QSound Labs.)社が開発した、立体音響システムです。 ドルビープロロジックなど一般的な立体音響システムが3個以上のスピーカを必要とするのに対して、 専用チップを使うことにより通常のステレオ、 つまり2個のスピーカーシステムで立体的な音響効果が得られる技術です。
これまでにもカプコンがライセンスを受けアーケードゲームなどで使われていましたが、 サターンでも STREET FIGHTER real battle on film や セガラリー・チャンピオンシップ で採用されており、NiGHTS でも採用が予定されています。
サターン用ソフトには、そのソフトにおける表現に低年齢層には不適切な表現 (性表現、暴力描写など)が含まれているものもあります。
そのような表現が低年齢層の目に触れてしまうことを防ぐために、 逆に、年齢制限により成年層のみに購入されることを前提とした、 成年層向けのソフトの作成もしくは流通を円滑に行うために独自の倫理審査機構を設け、 セガではその倫理基準に基づいて、ソフトを
の3つに分類して18歳以上推奨及びX指定ソフトにはその旨パッケージに表示することになっています。 サードパーティー制作のソフトに関しては、18歳以上推奨、 18歳未満禁止のレーティングに関してはパッケージに表示するようにお願いしているそうです。
ただ、分類とはいえ結局は街のおもちゃ屋でも買えるものですから、 他のメディアの倫理規定に比べるとかなり厳しいものになっています。
なお、1996年10月以降、X指定のレーティングは廃止されることになりました。 本体の低価格化に伴うユーザの低年齢化と、 サードパーティーからのX指定ソフトの急増が引き金となったためではないか、 と言われています。