「見つかった?」
「ダメだ」
30分近く探し回り、ユーリがどうしても見つからないので、諦めてみんな元の場所に戻ってきていた。さすがに楽天家のブルマもちょっと不安そうである。
「ねえ、マーピー、あんたほんとにユーリを見なかった?」
彼女が我が子をのぞきこんだちょうどその瞬間、マーピーの体はポン! と二つに分かれてしまった。
「きゃっ」
「うおっ」
「な、なんだ!?」
そこには、あんなに探していたはずのユーリがいた。
「ユーリ! あんたいったい今までどこにいたの?」
「お、おい、今、こいつ急に現れなかったか」
ユーリとマーピーは何が起こったかわからないというふうに、ボーッとお互いの顔を見合わせている。
「おまえら、まさか……」ベジータが息子たちを交互に見ながら言った。「フュージョンしていたんじゃないだろうな」
「フュージョン!?」
悟空がポンと手を打って叫んだ。「そっか、いくら探しても見つかんなかったわけだ。双子がフュージョンしても見た目は変わんねえもんな」
「はああ、人騒がせなやつらだな」
みんな脱力してその場にへたり込んだ。
「おい、そこの二人、どこへ行くつもりだ」
後ろを向いたままのベジータの鋭い声に、そっと逃げようとしていた悟天とトランクスがギクッとして立ち止まった。
「ああ、はははは。えーと、そろそろエントリーしなきゃ」
「そ、そうそう。ベジータさんも出場するなら早くした方がいいですよ」
「ごまかすな! きさまらだな、チビどもにくだらん技を教えやがったのは」
ひっと息を呑み、悟天とトランクスの二人は、「ごめんなさーい」と叫んで逃げていった。
「まあよかっただよ。無事みんなそろって」チチがにこやかにとりなした。
「う……」
「ブルマさ、どうしただ。大丈夫け?」
ブルマは青い顔をして口元を押さえた。
「きぼぢわる゛い」
(えっ―――!?)
一斉にブルマのお腹にみんなの視線が注がれる。
(まさか、つわり?)
(嘘……)
(またかよ)
(信じられない)
(なに考えてんだ)
やがて、みんなの顔がゆっくりとベジータの方を向いた。責めるような呆れた視線に、ベジータはムキになってわめいた。
「確率だ。要するに確率の問題なんだ!!」
――――そういうもんじゃないだろう。
(おしまい)
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