ヴィクトール様の手・・・大きい。
あたしの手なんかすっぽり包まれてしまう程。
ヴィクトール様は『恥ずかしい』って嫌がるけど、この手を繋いでると本当に安心する。
かなわない恋だと思ってた。
だってヴィクトール様は14歳上で現役の軍人さんで教官で・・・大人で。
本当の年より子供っぽい私なんてきっと相手にされないと思ってたの。
それでも好きで。
眠れない夜も過ごした。
でも。
最後の日。
女王になってしまう前の夜。
これが最後。
せめて気持ちだけを。
『ヴィクトール様が好き』って気持ちだけは、わかってもらいたかった。
人間て変ね。
なんで好きなものを『好き』って言うだけがあんなに難しいのかしら。
突然、尋ねた私を見るヴィクトール様の驚いた顔、今も忘れない。
言おう、今、言おう。
そう思ってもなかなか、言葉は出てこなくて。
気付くと。
ヴィクトール様の暖かな腕にしっかり抱き締められてた。
ヴィクトール様は大人で。
でも、大人だから気持ちを言えなかったって聞いて。
今、隣を歩いてるあなた。
しっかり前を見て、確実に歩んでゆくあなた。
この先、いつもその隣に私はいられるのかしら?
お願い。
繋いでるこの指を離さないで。
あなたの側にいさせてね。
ヴィクトール様。
おしまい。
わかってます・・・こんなものを書いてる場合じゃない事は。
でも、沸き上がるものは書いておかないとどこかに飛んでしまうから、えへへ♪
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