かじかむ指とそまる頬 2





 
 船に戻ると、はすぐに自室へ戻っていった。彼女が部屋から出てきていないのを確認してから、船長室の扉を叩く。返事がないこと、そして気配がないことに気付いたペンギンは少し扉を開く。やはりそこには誰もいなかった。
 情報の書かれたメモをツナギのポケットに入れたまま、ペンギンは街へ戻ることにする。
 あの工房にいるだろうとあたりを付け、ペンギンは船を下りた。
「あれ? ペンギンじゃん」
 船を下りた途端にかけられた声に、彼はそちらへ視線を向けた。
「街でキャプテン見かけたか?」
「あの工房付近で見かけたけど、どうした? ……ペンギン、とあの店に行ってたんじゃなかったのか?」
「そこで貰ったんだ」
 ツナギのポケットから取り出したメモをシャチに見せると、彼は「なるほど」と頷く。勝手に見ることは許されない。
「しばらくあの工房付近には行かない方がいいと思うぞ」
 シャチは少し困ったような表情をして。
「あの工房、代が変わって加工が女になったみたいだから」
「男もいたんじゃなかったか?」
「たぶんだけど、宝石加工と武器加工でわかれてるんじゃないかな」
 ペンギンは思案顔になった。
「シャチ、しばらく船にいるか?」
「まァな。行きたい場所には行って、欲しいものは手に入れてきたし」
 を見ててやってくれ、とシャチに言えば、彼は何も聞かずに「わかった」とだけ言った。何となく状況を察したのかもしれないが。
「あ、それから。ナイフ、に教えてやってくれ」
「リョーカイ」
 キャプテンの許可は取っていないが、ナイフの練習ぐらいなら大丈夫だろう。
「心配しすぎて禿げるかもな?」
 シャチの言葉に苦笑をにじませ、「おまえもな」とペンギン。
「禿げたら絶対、キャプテンとのせいだ」
 二人顔を見合わせ、苦笑いを真剣な顔へ戻して。
「頼むな」
 ペンギンの言葉に、「任せろ」の声。
 頼もしいと胸中で呟き、ペンギンは崖をのぼっていった。










「ん?」
 知った気配を感じてソファベッドからのそりと体を起こす。どうやら少し眠っていたらしい。
 シャチかな。
 扉の前で気配を感じる。
、起きてるか?」
「起きてるよ」
 ノックのあとに呼ばれて、は扉を開けながら返答する。
「ナイフ投げ、やってみるか?」
 ん? どうして知ってるんだろう?
 の疑問は、シャチの次の言葉で解決する。
「さっきペンギンに聞いた。ペンギンより俺の方が得意だからな、教えてやるよ」
「けど、キャプテンに聞いてないよ?」
「俺と一緒なら大丈夫だ。……キャプテンより俺の方が上手いしな」
 へぇ……とは興味津々な顔だ。
「貰ったナイフ持って甲板に集合。ま、遊びだと思ってやってみろよ」
 シャチの言葉に頷き、は麻袋を手にする。
「街の見える方じゃなくて、裏側がいいな。……万が一のこともあるし」
「了解。ナイフだけで大丈夫?」
「あぁ、あとは俺が用意しとく」
「わかった」
 シャチはの部屋から離れて、倉庫へ行く。自分たちが遊びでする場合は瓶や缶を的にしたりするが、は初心者だろうと想定して、的は木にする。木の幹を切って棘が刺さったりしないようにするため、まわりにヤスリをかけてある。年輪が綺麗に並び、真ん中がわかりやすいため初心者には扱いやすいだろう。
 的になる木を二つと軍手を一対、ロープを数本持っていく。
 街と反対である海側へ行くと、はすでに甲板にいた。座って、1本のナイフを麻袋から取り出したところだった。
「シャンクスの船にいるとき、戦い方を教わったって言っただろ? その時に少し教わったんだ。それからやってないから、10年近く触ってない」
「果物ナイフは触ってただろうけど、戦うのとは違うからなぁ」
 シャチは甲板の手すりに2つの的を、30センチほどあけてロープで括り付ける。
「とりあえず見てろよ?」
 ナイフの柄を右手で握り、上へ振り上げ、まっすぐ振り下ろす。小気味よい音とともに、ナイフが木の的の真ん中に刺さる。
「凄いな!」
「ペンギンは真ん中のちょっと右寄りになるんだよ。キャプテンは論外」
「論外?」
「医者だけあってメス持ってるときは手先器用でなんでもこなすんだけど、何故か戦闘では駄目なんだよ。ナイフ投げて真ん中に当たらないんだ。本人も不思議がってる。最近は諦めてるみてーだな。ベポもあんまり得意じゃないなぁ。体術専門」
「あー、そういやベポがナイフ握ってるの見たことない」
 は手にあるナイフに視線を向ける。そして柄を握ろうとしたとき、シャチから軍手を手渡された。
「はじめは手を怪我しないように、一応な。滑ると危ないから」
「危ないって今更だけど」
「今更でもな。練習で手ぇ切ったとかになったら、俺がキャプテンにバラされる。俺のためだと思って、今日はそれつけて練習」
「OKデス」
 は軍手をはくと、右手にナイフを握る。
「ぐっと柄を握るんじゃなくて……そう、握り方は覚えてるみてーだな。一番わかりやすいのは、こう」
 こう、と言いながら、手をまっすぐ前に伸ばして、それから肘を直角に曲げる。シャチがするのを、は真似る。「今はナイフを投げる恰好を練習」と言って、ナイフを握ったままのの手からそれを取り上げる。
「そのまま、まっすぐに振り下ろす。――ん、そんなモンだな。何度かやってみ?」
 シャチに見てもらいながら、恰好を真似て何度か練習をする。
「体は覚えてるな。んーじゃ、次は実際に投げてみるか」
 ナイフを手に取り、は構える。
「他所に行ってもいいから、とりあえず前に投げる気持ちは持って、同じようにやってみろよ」
「リョーカイです、先生」










 シャチとがナイフ投げの練習をしている頃、ローは昨日の工房へきていた。
「こんにちわ」
 ピンクの口紅をつけた女がにこやかに微笑む。
「来たな」
 男がローを見て、昨日と同じ建物へ入るように言った。男と女が建物に入ったあと、ローが入る。椅子をすすめられ座ると、男が奥から箱を持ってきた。
「昨日言ったとおり、素材を集めてきた。一応、見ておいてくれ」
 目の前に置かれた鉱石を見るだけで、ローは触れたりしない。
「信用していなかったら頼んだりしない。俺が見ても良し悪しがわからないしな」
 腕を組み、テーブルを挟んだ向かいに座る2人をローは見やる。
「わかった」
「デザイン画は見せてもらったわ。宝石1つ、埋め込むこともしないのね」
 女は笑みを浮かべていた顔に、真剣さを滲ませる。
 宝石を埋め込むことも考えたが、宝石を埋め込んだことでがローにとって『特別』であるとバレないとは限らない。それでなくとも賞金首だ、危険はできるだけ減らしたい。
「1対でいいのね?」
「何度も言わせるな。これ以上、必要ないことら聞くなら店をかえる」
 ローは女の言葉に苛つき、突き放すように言った。女が自分に気があると男から聞いたことも考慮して、極力親しく話しすることもやめた。
 目の前にいる2人の名前すら聞いていない。
「そういえば、名乗っていなかったわね」
「必要ない」
「私はユーリア・イェーリス、弟はコンラートよ」
 勝手に名乗った女――ユーリアは、ローの言葉を無視して名乗った。一瞬にして彼の纏う空気が変わったことに、弟であるコンラートが気づいた。
「明日から作業をはじめるから、また明日、様子を見にきてちょうだい」
「自分の作るものに自信がないのか? 親父のときは途中で見に入ることを禁じていただろう」
 作業場は、作り手にとって神聖な場所だから素人が入ることは許さないと、言われたことがある。
「時代が変わったのよ」
「そうか。なら、この話はなかったことにしてもらう」
 他をあたった方がいいと判断したのか、ローは言って椅子から腰をあげた。
「待って!」
 部屋の扉をあけて出て行く彼を、ユーリアが引き止める。振り返って彼女を見ると、その顔は引きつり、緊張を走らせていた。
「7日でできるわ」
「わかった。7日後にまた来る。――1つ忠告しておくが、そのピアスを1対以外作るな」
「試作品でも?」
「試作品を作ってもすべて処分しろ。俺の能力で、隠してもすぐに探し出せる。……依頼された仕事だけしていろ。それが嫌なら断れ」
 随分な言い分ではあるが、海賊相手なら当たり前だ。手元に残してそれを自分の物にしてしまった場合、万が一、海軍に見つかったときに困るだろう。その海賊と繋がっているというだけで、海軍から敵意を向けられることなど日常茶飯事。
「わかったわ」
 渋々と言った感じでそう言った彼女に突き刺すような視線を向けると、ローはそのまま出て行く。
「キャプテン」
 工房を出たところで、ペンギンから声をかけられた。
「どうした?」
「これを受け取りました」
 ツナギのポケットから取り出し、ペンギンはローに渡す。すぐにそのメモを広げて中を確認すると、ジーンズのポケットへ無造作に入れた。
「たいした情報じゃないと言われたんですが」
 ペンギンに視線だけで船へ戻るように指示すると、そちらへ歩きながらローは言った。
「7日後、赤髪がこの島に来る」
「赤髪のシャンクス、ですか」

『大した情報じゃねぇが、トラファルガーには必要だろう』

 武器屋の店主の言葉に納得する。
「あいつがどうするかだな」
 はハートの海賊団の一員だ。たとえ自身が赤髪の一員になりたいと言っても許可はできない。
 ――言わないとは思うが……。
 ローは少しだけ不安になる。あの島から無理矢理連れ出し、そのうえ体も開かせた自覚がある。心も無理に暴いた。あの頃はそうでもしないと身体がもたなかっただろう。そうは思っていても、がどう思っているのか聞いたことがない。
「一応、に伝えてやれ。会うも会わないも本人の自由だ」
「いいんですか?」
「あぁ」
「わかりました」
 ローの強い視線が少し揺れているのにペンギンは気づいてしまった。自分の中に葛藤があるのだろう。だが、の自由を奪うことはできない。
「それから」
 少し沈んだ空気を払拭するように、ペンギンは少し声を明るくして。
「武器屋の店主にが気に入られて、Aランクに満たないナイフをたくさんもらってきましたよ。今はに持たせてます。ついでに、シャチに頼んで使えるように練習中です」
「へぇ……アイツに気にいられたか」
「次に来るときにナイフ投げを披露しろと言われていましたよ」
「余程気に入ったらしいな」
 店主は好き嫌いがハッキリしていて、気に入ればとことん面倒をみてくれる。昔からローとは仲が良く、初日に夜遅く帰ってきたのも、店主一緒に飲んでいたからのようだ。
 ローとペンギンが甲板にあがると、木にナイフが刺さる音が響いた。2人は音のする方へ行くと、その気配に気づいたシャチとが振り返る。
「キャプテン見てくださいよ、の腕前」
 シャチは嬉しそうだ。
「やってみろ」
 ローの言葉には頷き、右手を構えて振り下ろす。無造作に投げたナイフは、木の真ん中に刺さっていた。
 ニッと笑ったに男臭さが増したとペンギンは胸中でため息をつく。
 ――賞金首だからその方が都合いいんだろうし、使い分けることなんて出来ないだろうけど。
「ナイフ投げは能力者には通用しない。殺傷能力が低いから、足止めで使う程度だ」
 の頭をぽんと叩き、それから彼女を見下ろし言った。
「7日後、赤髪がこの島に来る」
「シャンクスが?」
「会いたいなら会いに行け。ただし、船をおりることは認めない」
 この場合の『船をおりる』はハートの海賊団から抜けることを意味する。
「抜けるなんて考えたことないよ。それにオレは――……」
 は言いかけた言葉を止めた。ハッと何かに気づいたように、不自然に止まったそれをローが促す。
「……あー……」
 言いたくないと、の声が主張する。
?」
 シャチの呼びかけに、はしばらく沈黙してから、諦めたように小さく呟く。
「あの店にキャプテンが来なかったら、オレは海に出ることも……何も考えずに眠ることもできなかったよ」
 は喋りながら、視線を徐々に下を向けてしまう。
 目元が少し赤くなっているのは、恥ずかしいからだろう。瞳を細めた柔らかな表情は、真横に座っているシャチにしか見えていない。
「そのかわり、お前の手配書が更新された」
「そんなの、オレにとっては些細なことだよ」
 下を向いていたの顎を、片膝をついたローの指が捉えて持ち上げる。すぐに視界が暗くなり――。
「……っ!」
 明るさを取り戻した視界に入ったのは、明後日の方を向いたシャチとペンギン。ニヤリと意地悪な笑みを浮かべたローの姿。
「~~~ッ」
 の濡れた唇をペロリと舐めたローは、笑みをそのままに、彼女の耳へとそれを近づけ。
 ――赤髪がこの島に着くまで、俺の部屋だ。
 にしか聞こえないように囁くと、指を離して、その腹で唇を撫でた。
 靴音をさせながら艦内へ消えていく船長の後ろ姿を見やったまま、は固まってしまう。
「すっげぇ嬉しかったんだなー、キャプテン」
「俺たちがいるのになァ」
 ペンギンとシャチの言葉に、は頬を赤くする。
「だから言いたくなかったんだ」
 熱くなった頬をそのままに、彼女は2人と顔を合わせることができなくて、視線を海へと向けた。










 あれから7日が経過した。武器屋の店主が言うには、昼頃には到着するだろうということだった。
「会いに行くか?」
 ローの問い掛けは短い。
「わざわざ会いに行ったりしないよ」
「お前がそれでいいなら構わないが」
 の唇に触れるだけの口づけを落とし、ローはベッドから腰をあげる。
「工房に行ってくる」
「このまま寝てていい?」
「夜まで寝ていろ」
「今夜はさすがに……」
「わかってる」
 ローは少し困ったように言ったに、目を細めて笑った。










 ローは工房へ行く途中、の耳にあけるピアスの穴について考える。
 この七日間、が寝ている間に散々耳を触り、確認してきた。
 使い捨てのピアッサーには、元からファーストピアスがついている。の体の状態にもよるが、一か月ぐらいファーストピアスをつけたままにし、穴が塞がらず安定してから次のピアスに変える。
 ピアッサーは穴を開ける数だけ必要になるため、今回は4つ手に入れている。
 工房へ行くと、女が出てきた。――ユーリア・イェーリスだ。
 手には出来上がった商品を持っている。
「気に入らなければ言って」
 自分がつけているピアスと同じものを1対、手に取る。サイズも光沢も同じだ、穴に刺すポストと呼ばれる部分だけプラチナにしたのは、が女であるためだ。男よりも女の方が金属アレルギーが出やすい。に金属アレルギーはないと聞いてはいるが、女の体調は変わりやすい。
 もう1つは、ハートの海賊団のマークの彫られたものだ。こちらも同じゴールド、ポストの部分だけプラチナになっている。どちらもピアス全体に、海水に濡れても腐食しないようにコーティングが施されているはずだ。
「いい出来だ」
 緊張した面持ちでユーリアは見ていたが、その言葉に、無意識に詰めていたのだろう息を吐き出した。
 布を貼った小さな木の箱に入れられてそれらを受け取り、支払いを済ませる。
「あなたの船に私を乗せて」
 支払いが終った途端、彼女は言った。何かしら言ってくるだろうと思っていたため、ローは驚きすらしない。
「何のために船に乗る?」
 ローは静かに問いかける。
「何のため?」
「俺の船に乗るということは、海賊になるということだ。人を殺し、殺されるなんて当たり前になる。その生活を続けることができるか」
「できるわ!」
 大きな声で宣言した彼女の声に、慌てたような物音をたてて、弟が部屋に入ってきた。勢いよく扉を開けたその先にあったのは、ローが彼女に向けて長刀を向けたところだった。
「姉貴!」
 七日前、ローが帰ったあと、弟は姉に海賊はどういうものなのかと語った。いや、説教をした、が正解か。そして、自分を連れていくような言動をするなと言い含めてあったのだが、彼女はそれを無視して自分の思いを優先した。
「おまえがその気持ちを持っている限り、俺は船に乗せることはない。それに、おまえの技術はこの島にあるからこそ発揮される。船に乗っても宝の持ち腐れになるだけだ」
 ローは無表情で言い、能力を発動する。
「"ROOM"――"スキャン"」
 やはりか。
 彼女はローの言うことを守らず、試作品を作っていたようだ。そして、それをそのままにしてある。
「"シャンブルズ"」
 ローの手の中に3つのピアスがあった。
「言ったはずだ、俺の能力で、隠してもすぐに探し出せると」
「返して!」
 ローは刀を鞘から抜いて、ピアスを能力内で切り刻む。
「よほど死にたいらしいな?」
 ギラリと眼光を強くし、威圧する。
 彼女はそれに体を震わせた。父親が健在であったころ、ローは何度かこの工房に来ていた。父親と話すローは無表情だったが、今のような刺すような視線をすることはなかった。
「おまえの親父も弟も、俺を理解しているようだが」
 強い視線はそのままに、彼は刀を鞘へ納めた。
「依頼主がどういう人間か、理解する努力をしたほうがいい。特に海賊相手ならな」
 長い刀を肩に担ぐと、ローはピアスの残骸を能力で飛ばしてしまう。
「ピアスの製造方法は覚えているだろうが、俺の依頼したものは絶対に作るな。俺と関係があると海軍に見つかれば、一般人と言えど奴らは容赦しねぇ。海賊も同様だ、殺される可能性もある。――だから俺は作るなと言った。それがわからねぇようなら、俺は今後一切、ここには来ない」
 彼女は表情をこわばらせ、ローの言うことに頷く。ここまで言って、ようやく気付いたのだろう。
「コンラート」
 ローははじめて弟の名を口にした。この男は自分の空気を察することができた。武器を作る際に海賊や海軍を相手にするため、わかるようになったのだろう。
「お前ならわかるはずだ」
「あぁ……姉貴のことは、俺に任せてくれないか」
「――いいだろう、お前に任せる。……武器屋のヒルデベルト・レールマンを知っているか?」
 コンラートに向けての問いに、彼は知っていると頷く。この島で有名な、武器屋の店主の名前だ。ペンギンとが行ったときにはAランクの店に居たが、Sランクの店も構えている。
「アイツとは旧知の仲だ」
 裏で情報屋として動いていると知っているコンラートは、顔色をなくす。武器屋の店主の名前を出すということは、何があってもローに筒抜けであると言っているのと同じことだ。
「命を救うのが医者だ。――だから、俺にお前たちを殺させるな」
 ローは言って、工房から出るべく扉のノブに手をかけた。










          
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