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サム・ホーソーンの事件簿 II/E.D.ホック

Diagnosis: Impossible 2/E.D.Hoch

2002年発表 木村二郎訳 創元推理文庫201-04(東京創元社)

 一部の作品のみ。

「伝道集会テントの謎」
 犯人の使ったトリックにはやはり脱力してしまいます。国書刊行会・世界探偵小説全集のある作品((以下伏せ字)M.イネス『ハムレット復讐せよ』(ここまで))のように、笑える文脈で使われるのであればいいのですが、シリアスな雰囲気にはやはりそぐわないでしょう。

「ボストン・コモン公園の謎」
 犯行現場が公園内ではないというのがポイントです。あとは“見えない人”のパターンですね。

「食料雑貨店の謎」
 表の感想にも書いたように、C.ディクスン『ユダの窓』にそっくりな状況ですが、凶器が大きなショットガンであるために『ユダの窓』のトリックをそのまま使えないところがよくできています。なお、死者を犯人として告発するという趣向も、J.D.カーのある作品((以下伏せ字)『三つの棺』(ここまで))を意識したものかもしれません。

「醜いガーゴイルの謎」
 “ガーゴイル”というダイイングメッセージの方が面白く、毒殺事件の真相の方はやや唐突に感じられます。特に、毒薬の出所がほぼ唯一の手がかりとなっているところが残念です。

「オランダ風車の謎」
 “ルシファー”という言葉によるミスディレクションや、ガソリンという伏線など、細部はよくできているようにも思えるのですが、事件全体の構図は物足りません。

「ハウスボートの謎」
 エイプリルが読んだ作品は(以下伏せ字)C.D.キング「『第四の拷問』」(『タラント氏の事件簿』収録)(ここまで)でしょうか。

「ジプシー・キャンプの謎」
 銃創にメスを入れて隠すというアイデアが秀逸です。

2002.05.23読了

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