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お庭番地球を回る/山田風太郎 |
2005年刊 山田風太郎忍法帖短篇全集11 ちくま文庫 や22-26(筑摩書房) |
一部の作品のみ。
- 「お庭番地球を回る」
- “ブレーキハスト”(47頁)の意味がしばらくわからなかったのですが、わかってみると思わず苦笑(“朝飯”ですね)。また、いきなり『風と共に去りぬ』のレット・バトラー(作中では“レッド・バトラー”になっていますが)が登場するのには驚きました。
非常に愉快な物語であっただけに、最後の鮮やかな“消失”による虚無感が際立っています。
- 「さまよえる忍者」
- 忍法“傀儡精”は、『忍びの卍』に登場した(以下伏せ字)筏織右衛門の忍法“任意車”(ここまで)によく似ています(実は、(以下伏せ字)乗り移る比率を調節できる(ここまで)ところまで共通しています)。しかし、男から女へ乗り移るだけでなく、さらにそこから男へ、そしてまた交合によらずして乗り移ることも可能に、という風に、どんどんエスカレートさせていったところがこの作品のポイントです。
結末はいかにもSFにありそうなものですが、類似の作品はちょっと思い当たりません。佐々木淳子の某漫画(以下伏せ字)「ショート・ツイスト」(ここまで)がやや近いかも。
- 「読淫術」
- 楽太郎と印兵衛は命を落とし、残されたおゆたと千也は酒井雅楽頭に復讐を――この上なくシリアスな場面であるはずが、まさか勃起で終わることになろうとは……。前代未聞の強烈なラストシーンです。
- 「忍法死のうは一定」
- まず、生涯不犯のはずの上杉謙信にどうやって幻法“女陰往生”をかけることができたのかが疑問で、それがまったく説明されていないのが残念です。実は案外、「くノ一紅騎兵」(『忍者六道銭』収録)のような解決だったのかもしれませんが。
そしてもう一つ、幻法“女陰往生”をかけられた信長が見た未来の中に、信長自身の姿はありません。もしかしたらこれは、ラストの信長の決断を暗示する伏線となっているのでしょうか。そもそも、どうやって未来を見たのか(ちゃちゃの目を通して?)もまた気になるのですが、“何が起るかは、果心も保証は出来申さぬ”(257頁)という言葉ですべてうやむやにされてしまっているようにも思えます。
2005.02.14読了
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