ミステリ&SF感想vol.13

2000.08.20
『黒い霊気』 『捜査』


ゐのした時空大サーカス  山田正紀
 1989年発表 (中央公論社・入手困難

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黒い霊気 Black Aura  ジョン・スラデック
 1974年発表 (風見 潤訳 ハヤカワ・ミステリ1277)ネタバレ感想

[紹介]
 著名な霊媒・ウェブ夫人を中心とした〈霊気マンダラ協会〉。私立探偵サッカレイ・フィンは、退屈しのぎにこの会に入会するが、その日から会員の間に奇怪な事件が相次いで発生する。ロダーデイル博士は密室状態のトイレから姿を消し、庭で絞殺死体となって発見された。さらに、空中浮遊の実験に成功したスティーヴは、次の瞬間、墜死してしまった。事件を引き起こしたのは、二人が身につけていたエジプトの護符の呪いなのか?

[感想]

 訳者によるあとがきで、設定に関する発想が都筑道夫の〈なめくじ長屋捕物さわぎ〉と類似していると指摘されていますが、これはまったくその通りで、不可能犯罪を素直に不思議がってくれる人物として、オカルトを信じる人々をもってきたところはやはり秀逸です。

 事件自体も、特にスティーヴの墜死については、特殊な舞台設定をうまく生かしたものになっています。

 また、探偵役がマニアックなミステリ好き(ラストでは、とんでもない怪事件を鮮やかに解決する空想にふけっているほどです)であるために、捜査の過程や解決の場面がかなり芝居がかったものになっているところや、既存のミステリのパロディになっているところも楽しめます。

2000.08.12読了  [ジョン・スラデック]



捜査 Sledztwo  スタニスワフ・レム
 1959年発表 (深見 弾訳 ハヤカワ文庫SF306・入手困難ネタバレ感想

[紹介]
 ロンドンでは、奇怪な死体消失事件が頻発していた。初めは死体が姿勢を変えていただけだったのが、やがて完全に密閉された霊安室から死体が消失するに至った。グレゴリイ警部補は、統計学者のシス博士とともに事件の謎を探っていくうちに、悪夢に引きずり込まれていくことになった……。

[感想]

 この作品は一見ミステリですが、ミステリではありません。それなりに合理的とも思える解決も用意されていますが、検証はされていません。また、SFともいい切れない部分があります。途中でSF的な仮説も登場しますが、かなりトンデモに近いもので、これまた何一つ証拠がありません。

 SFとミステリの狭間、というよりは、SFからもミステリからもはみ出したこの作品の主役となるのは、犯罪捜査に適用された統計学、そしてそれがもたらす悪夢のような状況です。“幻想”が描かれているわけではありませんが、“現実”の外に一歩踏み出してしまったような、奇妙な不安感を味わってみてください。

2000.08.15読了  [スタニスワフ・レム]



延暦十三年のフランケンシュタイン  山田正紀
 1988年発表 (徳間書店・入手困難

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魔術師を探せ! The Eyes Have It and Other Stories  ランドル・ギャレット
 1964年発表 (風見 潤訳 ハヤカワ文庫HM52-2・入手困難

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