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救いの死/M.ケネディDeath to the Rescue/M.Kennedy |
1931年発表 横山啓明訳 世界探偵小説全集30(国書刊行会) |
結末については、ある程度は途中で予想できました。まず、目次に“第二部 別の視点”とあることから、全編をエイマーの手記で構成することができない何らかの理由があること、そしてモートンがエイマーの調査に気づいている様子があることから、第二部でエイマーがモートンに殺されてしまう可能性が高いと考えたのですが……。エイマーの死がそのまま自殺と判断されて決着するラストに関しては、やはりどうしても物足りなく感じられてしまうのは否めません。 この作品における作者の狙いは、主人公による手記という構成をとることによって調査と推理の過程を綿密に描くと同時に、あらゆる出来事を主人公の視点というフィルターを通して描く(つまり、主人公に都合の悪いことはあまりはっきりと書かれない)ことで、謎解き役の主人公が最後に被害者となってしまうという結末から読者の目をそらさせるところにあったのではないかと考えられます。 しかし、その狙いは上述のようにあまりうまくいっているとはいえない上に、ほとんどの部分が主人公の視点で描かれているためにその殺される理由がやや理不尽に感じられてしまい、結末の後味の悪さが受け入れがたいものになってしまっているように思えます。このあたりは、もう少し他にやりようがあったのではないでしょうか。 2002.07.02読了 |
・A.バークリー『第二の銃声』との対比
解説でも何点か挙げられていますが、『第二の銃声』では(以下伏せ字)手記の主が“好感の持てる犯人”(ここまで)であるのに対して本書では(以下伏せ字)“好感の持てない探偵/被害者”(ここまで)となっている点が、非常に大きな違いであるように思えます。これによって(以下伏せ字)読後感(ここまで)、ひいては作品の出来にまで差が出ているように感じられます。 もう一つ、『第二の銃声』の(以下伏せ字)自白合戦、すなわち多数の“犯人”の出現(ここまで)に対して、本書では(以下伏せ字)表面的には自殺、すなわち“犯人”の不在という結末(ここまで)となっているのも好対照といえるかもしれません。 |
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