ネタバレ感想 : 未読の方はお戻りください
  1. 黄金の羊毛亭  > 
  2. 山田正紀ガイド > 
  3. 山田正紀作品感想vol.4 > 
  4. 顔のない神々

顔のない神々/山田正紀

1985年発表 角川文庫 緑446-11,12(角川書店)

 イスラム教やゾロアスター教の影響を受けた特殊な教義を作り上げ、“やみのみち教団”設立という奇手を用いた教祖・千装はるですが、その背景が描かれておらず、単なる“謎の人物”で終わってしまっているのがやや残念です。

 海藤の野望の原動力となっていた“夢”。それが、私たちにとっての現実である、石油ショックを乗り切った日本の姿だったというところがショッキングです。

 ラストでは、“ひかりのみち教団”本部は崩壊してしまいますが、“ひかりのみち教団”・“やみのみち教団”ともに存続することが示唆されています。また、海藤の方も生き延びているようです。“幻代史”には、まだ終わりが訪れていません。

2000.09.18 / 2000.09.19読了