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ジャグラー/山田正紀

1991年発表 徳間デュアル文庫(徳間書店)(徳間書店)

 霊界の五使徒は、それぞれ優秀な“トランサー”であったはずですが、パンプキンだけは遠藤らが開発していたゲームの主役ということになってしまっています。これでは、パンプキンを含めた五使徒がペンタグラムに反抗した(レディ・シャーマンだけは裏切ったようですが)という真相と矛盾してしまいます。

 ただ、ラストでレディ・シャーマンがジャグラーとともに消えていく場面が気になります。もしかして五使徒は全員がプログラムにすぎなかったのでしょうか。そして「パンプキンマン」のエピソードは、すべての“現実”が対等であり、ヴァーチュアル・リアリティであることを示唆するために、あえてあのような形にされたのでしょうか。まあ、これは深読みのしすぎかもしれませんが……。

(2002.04.23 追記)
 終盤(徳間デュアル文庫版297頁)、宿木がランガーについて説明する場面がありますが、特に“あるアマチュア老人バンドの……”以降の部分は、この作品だけを読むとわかりにくいと思います。実はこれは、同じくランガーが登場する長編『ジュークボックス』の内容の一部なのです。ネタバレなしの感想にも書いたように直接関連した作品ではありませんが、興味をお持ちの方はぜひ探して読んでみて下さい。

2000.11.01再読了