神獣聖戦I 幻想の誕生/山田正紀
1984年発表 徳間文庫210-10(徳間書店)
- 「交差点の恋人」
- 大脳新皮質と辺縁系とのつながりを、交差点のアナロジーでとらえた場面は秀逸です。つながりを修復しようとするマリとネコの姿が、ラストの(現実の)交差点の場面に重なります。マリとネコは交差点を渡ることができたのでしょうか。
“放射免疫測定計{ラジオイムノアッセイ}にべつの情報系電気信号が測定されました”
(29頁)というのは無理がありますが(ラジオイムノアッセイは、放射性同位元素でラベルした抗体を利用してタンパク質を検出する技術なので、電気信号を検出することはできません)。
- 「怪物の消えた海」
- 特になし。
- 「幻想の誕生」
- ラストは、幻想生命体が死にゆく男の思念を取り込んで、それを幻想として投影するところまで進化したということなのでしょうか。
- 「ころがせ、樽」
- 「悪魔が精神のなかに入り込んでくる」という悪魔憑き病質患者。それを防ぐため、空虚な無意識領域にあらかじめ別のもの(D・J)を詰め込んでおく、というアイデアが面白いと思います。