【3】第3段階

・はじめに

 今回から、誰も取り上げていなかった「第3段階」についての暴露を初めますが、はっきり言って「第3段階」を言葉で表すのが難しいのです。よって少々不明な部分があると思いますが、ご了承ください。
 第3段階は、約11週間(通例ではもっとかかります。契約違反ですが。)という長い期間に渡り開催されますが、内容は、ズバリ「勧誘」です。
 セミナーはこの11週間の間に、3回のトレーニング(土・日、泊まりではない)と、5回のショートトレーニング(不定期の月曜日、1回目は初日の日曜日のすぐ後の水曜日)によって構成されます。
 なお、第2段階が終了した受講生達は「紳士・淑女」扱いにされるので、ビジネススーツを着なくてはなりません。

・いつもどおりの・・・・

 まず、初日の土曜日ですが、今までと同じですね。グループを決めて、パートナーを決めます。そして、強制的に決められるグランドルール。実は、グランドルールは第3段階になると、少し変わります。

 「1.毎日、パートナーとアシスタントに電話を入れること。」
 このルールが気が狂ってしまう第1原因なのです。(理由は後々話します)
 さて、グループに分かれて、アシスタントを決めるのですが、自分達で決めなくてはなりません。グループのリーダーが本当にアシスタントになってもらいたい人の前へいき、「私たちのアシスタントになってください」と涙を流しながら真剣にお願いします。この時は、まだ「第3段階は勧誘をやります」とは言っていないので、みなさん真剣です。もし、「勧誘」なんていう言葉を使うと、みんなやめてしまいますからね。「グループ」「アシスタント」という枠に閉じ込めてから「勧誘」を初めておけば、やめたくてもやめられない状況になります。「勧誘」については次の日(日曜日)トレーナーが言って初めて知らされます。
 ちなみに、第3段階の受講料は3万円程度なので、すぐやめられる限度額ではないかと思います。

・ただ働きとセミナー会社の経理形態

 また、トレーニングとは他に「ワークショップ」というのがあって、最低10時間以上は、セミナーの事務所へ行って事務の仕事を手伝わなくてはならないのです。目的は、「ワークショップですが、実は私たちのセミナー成功できたのは、先輩の受講生達がこうしてワークをやってくれたおかげなんですよ。そしたら、後輩達にセミナーが成功するように私たちが手伝ってあげなくてはならないのではないか」というものです。もちろんそういう気持ちがあるので無償でやってます。
 人件費0でただ働き、これでセミナーが成り立っているのです。実際、社員は約7〜8人位なんですが、事務所に入ると、20人位はざらにいます。税務署にはアルバイト経費として受講生の名前を使って報告しているので、まさに脱税のテクニックですよね。アルバイト代を払っていると報告すればいいんですからね。
 これがセミナー事務所の経理上の実態なのです。この実態をセミナー中にわかった人が「社員にしてください!!」と社長にお願いするんですね。たてまえでは「もっともっと自分が変わりたいから」なんて言ってますが、裏を返せばこんなことなんです。

・1歩ゲーム

 それでは、土・日のトレーニングは、何をするのかを説明します。
 グループなどを決め、昼食を食べたあと、「1歩ゲーム」というのをやるのですが、またよくわからない実習なのです。
 まず、受講生は、2つのグループに分かれて、お互いに向かい合うように整列します。そして、トレーナーから「前へ1歩」「後ろへ1歩」(前後左右言います。)と、「右手を上げて」「左手を上げて」だけ。トレーナーはこの6つの言葉しか言いません。
 受講生は、トレーナーの言われるまま動きます。これを約4時間行います。なお、受講生は、話してはいけないことになっているので、黙ったまま動きます。
 受講生は、向かい合っているので、当然ぶつかり合います。訳もわからず動いているので、イライラする人も出てきます。「どけよ」なんてつい言ってしまう人も出てきます。しかし、絶えず動き続けるのです。もちろん反抗はできません。
 さて、この実習は何の意味があるのでしょうか。「トレーナーが言った言葉は絶対に服従すべき」と言う意味なんです。最初は訳がわからなく、ただ 動いているだけなんですが、だんだん楽しくなるという事実もあります。変ですね。
 楽しくなるというのは、もし、我々一般市民が同じ様なことをしたらどうなるかわかりますか?全然楽しくないはずです。しかし、洗脳されている受講生にとっては、トレーナーに「楽しくさせられている」のです。
 途中で、アシスタントは、受講生を一人別室に連れ込み、感想を聞きます。ほとんどの受講生は「わからない」と言うのですが、アシスタントは、「これ、すごく楽しいんだよ。絶対楽しいんだよ。誰が何言っても楽しいんだよ」と、受講生が納得いくまでいいまくります。
 このつまらない実習を「楽しくさせる」アシスタントも異常ですが、それに納得する受講生ももっと異常です。

(今までは、被害者の受講生すべての味方でしたが、第3段階は受講生は、加害者となります。それに気づいた人だけを味方になる文章になりますが、ご了承ください。)

 ここで、ロボットの育成の初歩的段階にさしかかるのですね。
 なお、トレーナーが「この実習については、明日までは誰にも感想をいわないでください。一人でじっくり考えてください。」と言われます。実際やった人しかわかりませんが、みんな「楽しかった」と感想をいうはずです。アシスタントに「楽しい」と洗脳されたのですから。

・パートナーともっと密着して

 ここで初日は終わるのですが、宿題として、「パートナーの過去はどうだったか、お互いに一部始終聞くこと」がでます。これで、パートナーとの関係を深めるにはちょうどいいと思いますが....始めてあった人のことを、突然一部始終聞くなんでよほど勇気がないとできることではないですね。(自分のことも話すことになりますからね)まあ、ここにいる受講生は洗脳されているからね。一般市民が考えもつかないことを平気でやってしまいます。
 午後5時とわりと早い時間に終わりますので、宿題を兼ねて、グループ同志で食事に行きます。第1段階からずっと一緒だった人がほとんどだったので、話やすい人と思うのですが、宿題を兼ねるとなると話は別になり、相手は真剣になり、まるで人生相談をやってるように見えます。
 そして、受講生は家に帰って、パートナーとアシスタントに電話をいれます。以前にも言いましたが、この「電話」というのがくせものなんです。これは、後々話しますね。
 さて、次の日(日曜日)になり、昨日の宿題を発表するのですが、ほとんどの人が、自分のプロフィールみたいなことを書いて、パートナーに渡したりしています。そこで、発表ですが、グループで馬蹄型になります。発表方法ですが、発表する人は、パートナーと同じ気持ちになって、まるでパートナーが自分自身になったように発表するのです。 もちろんメモをとっていた人は、発表できません。
 男性が、女性の言葉使いを使ったり、女性が男言葉を使う光景は笑えます。これも、洗脳されたからでしょうね。(1種のストレッチング)

・大嘘つきのめくら野郎

 さて、プロフィールの発表が終わり、次は「めくら」の実習です。

※この表現について、差別的発言など賛否両論だと思います。しかし、私個人の意見では、セミナーの実習をありのまま伝えたいのです。
たしかに、第2段階の時もいろいろな意見をもらいましたが、差別用語・放送禁止コードを勝手ながら、この際無視していきますので、ご了承ください。
 この実習は昼食を兼ねたもので、まず、パートナーと一緒に行動します。そして、2時間の間に外に出て、1人は「めくら」になり、もう1人はその人を誘導する人(ガイドヘルパー)になります。そして、昼食の間にチェンジするというものです。そして、実習の間に「めくら」は、5分間だけ「もう誰も信じない」と座り込み、じっとしてる状態になります。それをガイドヘルパーは何とか立ち直させるということをやります。
 さて、この実習の主旨は、・・・やっぱり「ストレッチング」なんです。それを日常社会の上でやるものなんです。以前、書いたように「ストレッチング」=「勧誘」をプログラムされるのです。そして、「今、自分はめくらの状態なんだ。これからは日常生活においてもパートナーと一心胴体で行動しなくてはいけないんだ」と思わせるものです。
 こういう人って本当は杖(?)を持っているんですよね。しかし、偽物(受講生)は杖を持たず、パートナーにぴったりついて、おそるおそる歩くのです。受講生全員がこういうことをやっているので、セミナー会場から半径1km以内に25組位そういう人がいるのも、とても不自然です。こういう人を見つけたら、「偽物だ」とからかってあげましょう。
 おもしろいエピソードを1つ。
 「めくら」の実習で昼食になり、某ファーストフードに入り注文をとりました。そして、食事を始め、途中で「めくら」と「誘導する人」を交代しました。そして、出口にさしかかり、店員が、「立場が逆になってる」と目を白黒していました。それが、1組だけでなく、7,8組もいたので、恐くなった。というのがありました。たちの悪い陰険ないたずらです。
 そして、「もう誰も信じない!」と座り込むやつ、路上で身振り構わずやるもんですから、まして車なんて通って来たら危ないなんてもんじゃありません。自分の世界に入ってしまうと回りは見えません。

・勧誘のノルマの設定

 さて、次にメインとなりました「勧誘のノルマの設定」です。ノルマは自分で人数を設定し、その人数を受講生の前へ出て、宣誓します。そして、承認を得るまで心を込めて言いまくります。
 例として・・・「私は、最終日までに『8』。(8人勧誘すること)必ずやります。絶対やります。(・・・・などと頼み込む。)私のビジョンは、「・・・・・・・・」(と第2段階で決めたビジョンを叫ぶ)です。よろしくお願いします」
 受講生はその人に対し、承認してもいいと思ったら拍手をします。それを全員終わりまで繰り返します。アシスタントは、グループの人数を計算し、その合計数を受講生同様承認を得るまで言いまくります。
 これが、勧誘の第1歩と思ってください。そして受講生は、そのノルマに振り回されながら11週間勧誘をし続けます。
 うーん、まず、トレーナーから「最低6人以上にすること」と言われるのですが、「ノルマ」はじぶんで決めてもいいと言ったのに、どうして最低人数を定めるのか。不思議ですよね。たとえ「1人」と宣誓しても「自分はこれだけ勧誘する」と決めた人数なのでいいのではないでしょうか。
 そして、トレーナーから「あなた方が作るセミナーなのです。この日の第1段階があなた方がエンロール(勧誘)する人数でこのセミナーの善し悪しが決定するのですよ。」と。
 ようするに、「第1段階のセミナーの受講生をあんた達が集めないとセミナーはつぶれるよ」と言ってるのです。もちろん、勧誘の人数によってセミナー会社の収入が変わります。トレーナーは生活がかかっているので必死です。最初に書いたもので、勧誘のノルマが達成できないと、殴る・蹴るなどトレーナーが暴行するのは、このような理由があるのです。
 そして、最初のショート・トレーニング(3日後の水曜日)までに勧誘できる人数を先ほど言ったように承認を受け、「やるぞ、やるぞ」と盛り上げといて第1回目のトレーニングは終わります。
 このように「×日の**時までに勧誘に成功すること」を、「**時間ゲーム」といい、今回は3日間ですので、「72時間ゲーム」と言い、これが48になり、24になり・・・・・・勧誘に振り回されます。

・72時間ゲーム

 さて、72時間ゲームが始まり、ゲームに勝つために(ようするに勧誘を成功させ、セミナーに参加させる)あらゆる手段を使って勧誘させます。
 例として、

 「72時間の間までに絶対決めてやる」と受講生は思い込んでますので、回りは全く見ていません。早朝、仕事中、夜中、構わず電話をかけ、「やろう、やろうよ」と勧誘するのです。72時間の間、思い出すだけの友達、知合いなどすべて勧誘します。しかし、勧誘について疑問に思っている受講生がほとんどで、「どうしてそこまで勧誘しなくちゃいけないのだろう」と思うのが普通です。
 そこで、例のグランドルール

   「パートナーとアシスタントには毎日1回必ず電話を入れること」
が、関わってきます。
 アシスタントには、受講生に対し、どうして勧誘ができなかったのか、徹底的に尋問され、「家にいる暇があったら誰かアポ(アポイントメントのこと。人と会う約束して、会って勧誘すること)でも、取って来なさい」と夜中の3時頃、睡眠中に電話がかかってくることもあります。電話がなければ、セミナーが成り立たないぐらい、「電話」は、必需品となってしまうのです。
 これを、疑問に思った方は正常なんです。これを真に受け、「勧誘がすべて。これで私も変われるんだ」なんて思ったらハマリです。

・第1回目のショートトレーニング

  さて、水曜日になり、1回目のショート・トレーニングの日ですが、ほとんどの人が勧誘に成功できていません。(約2、3人しか勧誘できてない)「怒られるのではないか」という気分の中、セミナー事務所に向かいます。
 午後7時、ショートトレーニング開始。しかし、約1割の人が来ていません。どうやらセミナーの本質を知って、「勧誘」に対する疑問、否定感が積もったのでしょう。やめた(セミナー語では「ドロップ」という)人です。しかし、トレーナーは1言。「ドロップした(やめた)人が宣言した人数については、グループで残った人が責任を持って数を達成してください。」
 ようするに、「グループで宣言した人数は、責任を持って勧誘しろ」ということでしょう。同じグループの事、今後の事を考えると、やめられない状態に陥ってしまいます。よほどやめる勇気と、今までに対する裏切りがないとセミナーから逃げられないのです。やめたくてもやめられない。これもハマリの一つなのです。
 さて、このショート・トレーニング(今後のショートトレーニングすべてですが)は何をするかというと、「勧誘成功者をほめたたえよう」というものなのです。まず、トレーナーが、「この中で、エンロール(勧誘)に成功した人、前へ出てください。」と言います。
 そして、何人か出て、いきなり「ロッキーのテーマ」が流れ、「おめでとう」と、まず、トレーナーとアシスタントが前へ出て、成功者に抱きあったり、握手したり、喜びあったりします。当然勧誘に成功した人は、感動の嵐に巻き込まれます。「やった、やったぞ」なんて叫んだりして。
 そして、感想を言うのですが、一般市民がこれを読んだら「なに言ってるんだ」と思いでしょうが、まあ、読んでください。

 あーあ、みごとに騙されてますね。当然、勧誘に成功していない人は、「うらやましい」と思います。いや、思わされています。

・勧誘失敗者の暴力的行為

 エンロール(勧誘)できなかった人は、どうして成功しなかったのか。トレーナーはこう言います。「あなた達は、3日間何をしていたのですか。何もしていないじゃありませんか。みなさい。やってきた人はそれなりの結果を出しています。やりなさい。とことんやりなさい。」
 「やれ」というのは、当然勧誘の事です。勧誘に成功した人にはとことんほめまくり、勧誘できなかった人にはとことんけなす。「アメ」と「ムチ」の使い分けですね。受講生は誰でも「アメ」がほしいのは当然です。しかし、「アメ」をもらうには「友達をセミナーに奉納する」という犠牲がつきまといます。さらに、「奉納したくない」と思ったら、今度は「ムチ」が待ってます。受講生は「ムチ」は嫌なので「アメ」を求めます。
 ここまできたら、悪循環回りっぱなしです。何度も書きますが、「ムチ」というのは、トレーナーが受講生に対して、肉体的・精神的にズタズタにするもので、

 これはセミナーによって違うのですが、軟禁状態が夜中の2、3時まで続くことがあります。それも平日ですよ。受講生の私生活を完全無視するのですから。
 「自分自身のためにエンロール(勧誘)をするのですよ」とトレーナーが言うと、受講生はハイな状態(寝不足特有の)になってますので、誰が何言っても言うことを聞きます。そのハイな状態でその後、勧誘に行きます。(夜中の3、4時位。友達の家に押し掛けます。)
 また、3回のトレーニング、5回のショートトレーニングの他に不定期に全員、強制的に呼び出されることがあります。「契約違反ではないか」と思いでしょうが、元々契約書なんてないのですから文句は言えません。なおかつやめることも実質上不可能に近い状態なので受講生は何も言えません。
 さらにひどいことに、トレーナーから「エンロール(勧誘)で決められたら、これあげるから絶対に決めてきなさい。」と高価なもの、旅行券などをちらつかせます。
 あのね、物で釣ろうなんて甘いんじゃない。そうか、トレーナーから見た受講生はすべて3才児に見えるんでしたね。「自分は大人なんだ」と勝手に思い込んでるトレーナーほどバカはいませんね。
 よく聞かれる話で、「私たちは無償でセミナーを成功させるために..」といってる人が多いのですが、実際は、物で釣って、勧誘させているのです。「ボランティアでやってる。」と言った方がいいように聞こえますからね。

・アポイントメント

 さて、勧誘するのにとなければならないもの、それは「アポイントメント」です。
 「今、自分が思い浮かべられる人をできるだけ書きなさい。」とトレーナーに言われます。まあ、普通の人は100〜150人位でしょうか。受講生は紙に書くだけ書き、すべて書き尽くした頃、トレーナーが一言。
 「それでは、今、紙に書いた人をすべてアポしてください。そして、第3段階全ての時間(11週間)を、その紙に書いた人に会うために尽くしてください。」
 自分の時間を犠牲にしてまで勧誘のために尽くせって? そんなに自分を見ないままセミナー会社のために尽くせって? 冗談じゃない。こういうことをやるから自分の意見が言えないままトレーナーに操られ、ロボットになるのですよ。自分の意志を封じ込められたロボットにね。
 ここまで洗脳されると、困ったときのトレーナー頼み、信じられる人は、セミナー内の人間だけになってしまいます。まあ、これの重傷がいわゆる「セミナー病」にかかってしまい、一般社会にとけ込めなくなり、関連会社のセミナーをもう一度受けたり、実際に受講生がアシスタントになったりします。そして社員となるのです。一生一般社会に入り込めず、逃げ回っています。
 実際、セミナーでは、勧誘しない人を「逃げてる人」というのですが、そう言っていた人も、第3段階を卒業して一般社会に出ると、すべてから逃げ回っています。勧誘しようとして失敗した人を軽視し、結局自分で敵を作っています。そういう自分が許せなくて別のセミナーに入る人が数多くいます。
 最終的には、田舎に帰るか、一生セミナーにどっぷり漬け込むか二者択一になるのです。

・勧誘から逃れる方法

 さて、どうしたら勧誘の魔の手から逃れられるのか。いくつか勧誘の手口を書いてみました。

  1. 「やろうよ、やろうよ」と連呼する方法

  2. 相手の欠点などを言いまくる「フィードバック」

  3. 日常会話から流れでセミナーの話にもっていく
 この3つの方法から傾向と対策を書きます。

  1. 「やろうよ、やろうよ」と連呼する方法

     最初は「やろうよ」と連呼しても、相手は「やだよ」と言うのが当然です。しかし、一種の催眠術というやつで、「やろうよ」と連呼されると、最初は拒否しても、だんだんやりたくなる状態になるのです。
     どうして、こんなことができるのか。それは、第1段階でやった「欲しいものは何ですか」の実習と、これからやる「立ってゲーム」をやるからです。これは、後々お話します。

    【対策】

     もう、連呼されたら、言葉を流しましょう。ようするに聞くのをやめるのです。もし、勧誘者が「決めた?」なんて言うと、「わかんない。ははは」と笑ってあげましょう。

  2. フィードバック

     「あなた、最近自分に疑問持ってない?」と始まったらフィードバックの始まりです。(ほとんど決まり文句)そして勧誘者は、相手に向かっていいたい放題。相手の気持ちを考えずにいいこと、悪いことガンガン言います。
     そして、相手が「そんなの勝手でしょ。あなたには関係ないでしょ。」と言ったらチャンス。勧誘者は「本当は言いたくないんだけど、これはあなたのために言ってるんだよ。あなたが今までどう思われているか知らなかったでしょう。今ね、『セミナー』というのをやっているんだけど、もしやったら、自分というのが見えてくるの。自分の本心がよく見えるの。たしかに恐いと思うけど、それを越えてすばらしい自分が見えてくるんだよ。」など....
     そして,相手は感動して、「私、本当の自分が見たい!セミナー受けてみる」となるのです。
     勧誘に一番よく使われる方法です。

    【対策】

     これは、一番ハマりやすい方法で、真にうけると、ズルズルいってしまいます。ちょっとでも自分を失うとハマってしまいます。
     さて、どうすればいいか。答えは1つしかないのです。一度冷静になり、一言。「気持ちはうれしいけど、今、自分は『受ける』という気分ではないのです。興味はあるのですが、もう少し時間をくれませんか。」と。
     すると、勧誘者は100%こう言います。(何言っても同じ事を聞きます。ようするに、相手の話は聞いてないのです)「やる、やるっていつやるのですか。後でやるのなら、今やった方がいいのは当然でしょ」と。
     そう言われたら、はっきりと、「あなたが、もしそう考えているのなら受けません」とはっきり言いましょう。「どうして」といわれたら一言。「目を覚ましてください。」これで、勧誘者は「相手がみじめだな。セミナーをやれば自分がわかるのに」とぶつぶつ言いながら諦めます。そして、勧誘者には近付かなくなります。「こいつに近付くと、なに言われるかわからないからな。」と。
     あと、勧誘者がフィードバックをしている時は、何も反論しない方がいいです。勧誘者は、けなし方のエキスパートです。何かを言えば、10倍位に跳ね返ります。この現状では、なに言っても墓穴を掘るので、勧誘者が「どう、やってみる?」と言われるまでは、なにも言わない方がいいでしょう。

  3. 日常会話から勧誘へ。

     「ねぇ、実は私、セミナーというのをやってるんだけど..」と、どこかへ遊びにいくような感じで話します。これでハマる人は、ほとんど興味半分で受けてみようかなと思っている人です。

    【対策】

     キャッチ・セールスと同じですが、よく内容を聞きましょう。しかし、勧誘者はセミナーの内容を教えてくれないので、あやしいものだと思ってください。
     何やるのか知らずに参加するほど恐いものはありません。
 以上、3つの勧誘パターンと対策を載せましたが、過去にこんなことをされませんでしたか。私の場合は、「フィードバック」+「監禁」という最悪の方法で勧誘されました。いいかげんにやめてもらいたいですね。

・2回目のトレーニング

 第3段階も約1カ月が過ぎ、2回目のセミナーの時期がやってきます。土曜日に受講生が集まり、久しぶりに全員揃うのですが、話題は専ら「勧誘」の話だけ。
 「何人決めた?」「私、まだ2人なんだよね」など。久しぶりに会ってこれでは悲しすぎますよね。トレーナーやアシスタントに「勧誘」という言葉に洗脳された結果なのです。日常の話題などはここでは一切無視。話題にもなりません。特に1人も勧誘できなかった人にとっては苦痛です。
 さて、午前9時にセミナー開始となりますが、まず、勧誘成功者をほめたたえるやつを毎回恒例にやります。(以前書きましたね。握手したり、抱擁して、受講生を最高の気分にさせるやつね)しかし、トレーナーは不機嫌顔。
 「今のペースでは、全員の目標とした数は達成できません。やりなさい。とことんやりなさい。」と怒った顔。(もちろん演技)
 「数」というのは全員が目標とした勧誘者の合計数。「やれ」というのは「勧誘をしろ」というものです。まだやさしい方です。前にも書きましたが、後々脅迫となるのです。
 今回のセミナーは大きく分けて3つのことをやります。順を追って説明しましょう。

・立ってゲーム

 前回の勧誘の対策の所で説明した「連呼して、勧誘させる」というやつです。
 ます、受講生全員が輪になり、椅子に座ります。そして、一人が輪の中央に立って、残りの座っている人に一人一人にお願いして、全員立たせるというものです。しかし、中央にいる人は、次の3つの言葉しか言えないことになっています。

 この言葉を巧みに使って全員を立たせます。もちろん、座っている人を無理に(体を触って)立たせることも禁止されています。
 更にトレーナーは座っている人に対してこう言います。「今座っていてとても楽でしょう。それを立たせようとしているのですから、自分が『立ちたい』と思うまでは絶対に立たないでください。あと、同情で立つのもやめてください」と言います。
 ゲームが始まって、「立って、立って」と一人一人に誠意を込めて言っています。すると、言っている人は、段々感情的になって嬉しそうに「立ってください」と言うようになります。歓喜余って涙しながら言う人もいます。それに感動して、座っている人は立ち始めます。まるで、その状態になるのを待っているかのように。そのことを受講生全員にやらせます。
 さて、この実習の目的は何か。先ほど書きましたが、「勧誘のテクニック」をつかむためです。ためしに、「受講生」を「自分の友達」に、「立って」を「セミナーに参加して」に置き換えると、どうなりますか。これが「勧誘」なのです。相手(友達)を「セミナーに参加する」という意識にさせるまで連呼して、フィードバックに入る。巧みな勧誘のテクニックです。
 もちろん、今回の実錆で全員立たせる時間が短いほど勧誘成功率が高いのも、実証されています。友達に対して、「やろう、やろうよ」と連呼する。相手の意見を聞かずに、自分の意見を通すだけ。自分勝手ですよ。相手の都合を考えずに自分の目標が達成(勧誘数の頭数を揃える)するまで、どんな卑怯な手でも使うのですから。
 この実習にも中にはおもしろい人がいて、声と迫力だけで立たせる人(ほとんど脅迫。きっと、勧誘でも同じ事をしているのでしょうね)や、土下座して、一生懸命お願いする人など様々です。また、女性の甘い声で立たせるという方法もありました。別の意味では「今まで、どういう方法で勧誘したか」というのもわかるのです。「今までの自分の勧誘のやり方に過ちがあった」と認識させて、今後につなげるという意味もあるのでしょうね。

・自力で帰れ

 トレーナーは、次の実習だということで、こう言います。
 「これから私の後についてきてください」
 受講生はもちろん内容は聞かされていないので、訳もわからないままトレーナーの後についてきます。
 電車・バスに乗って約2時間、ついたところは誰もいない山奥でした。「ここ、どこ?」と言う受講生を横目にトレーナーが言います。「10円を残して私に財布を預けてください。そして、グループに分かれて、ここから先ほどいたセミナー会場まで帰ってきてください」と。「エーッ!」と言うのも無理ありません。何もない所ですからね。しかし、トレーナーはタクシーを使ってとっとと帰ってしまいました。
 さて、この場所なんですが、セミナーによって場所はまちまちで、共通しているのは、「近距離の山奥」だということです。たとえば、東京を中心とすると、「大垂水峠」(国道20号線)、「奥多摩湖」(青梅街道)、「箱根湯本」(国道1号線)「秩父」(国道140号線)などです。これらの場所は電車1本で東京に帰れますし、ヒッチハイクをすれば2時間ほどで帰れるのです。
 それでは、今回は「大垂水峠」を例にとってお話します。
 受講生は、新宿から京王線で高尾山口まで、そしてバスに乗り、峠の一番高いところで降ろされます。トレーナーから「一番早く戻ることがてきたグループは、温泉の招待券あげる」と言われているので、みなさん必死です。(物で釣らなくては、何もできないセミナー)
 とりあえず、高尾山口までどうやって行くか考え、その結果、ほとんどのグループはヒッチハイクと決定したようです。そして、約50人の集団ヒッチハイクが始まります。(恐ろしい)もちろん車側は、気持ち悪がって誰も車を止める気配はありません。その上、全員ビジネススーツを着ているので、余計不気味です。(道路が狭いのでとても危ないのに)我慢仕切れないある1グループはとうとう走って行ってしまいました。
 なんとかして各グループごと高尾山口駅に到着したのですが、ここでグループごとに意見が分かれました。

  1. 着払いを使っても一番に帰る
  2. 今の楽しい経験(ヒッチハイク)をもっとやりたい。この後もヒッチハイクを続ける
  3. せっかく10円があるのだから、受講生の家族を一人、電話で呼んで、そのまま乗せてもらう
  4. 地元住民からお金を借りる
 1については、実際でも結果しか見てないんですよね。勧誘でも同じ結果となりました。結局何も得るものがない。
 2については、勧誘のプロがいた所です。なに振り構わず話しかけるというもの。相手の都合を考えず車に乗り込み意地でも帰ってやるという人。
 3については、結局他人の力でしかできない人
 4については、こんなことがありました。近くに派出所があって、みんなそこに行き、お金を借りにいったそうです。不信に思った警察官は尋問したのですが、受講生は何も言えなく、結局お金を借りなかったそうです。(逃げた)その上、歩いている一般市民まで利用してお金を借りまくるのです。
 よく、会社の営業課に配属されると同様の研修が行われるという話ですが、あれは1人なんですよね。本当に自力で帰れるか試しているのです。しかし、セミナーの場合は、集団行動です。「みんなでやれば恐くない」という考えが、勧誘している時から染み着いているので、何でもできます。他人の迷惑を考えずに.....
 何とかしてセミナー会場に全員戻った後、この実習を応用して「それでは、街中に歩いている人と話をしてください」とトレーナーが言います。この実習も会話の度を越えると勧誘に結び付ける危険なものです。相手が知らない人の方が勧誘しやすいのも実証されています。 勧誘に発展するとまさしく犯罪行為です。
 今回の実習の目的とは?
 人間、誰でも人見知りをするものです。それを克服して誰とでも気楽に話ができるようにするものなのです。しかし、これもセミナー内だけの世界の話で、やはり、この実習も先ほど説明したとおり勧誘につながるのです。その上セミナーが全部終了した時は、元の自分に戻る、いや、以前の自分以上に人見知りする人がほとんどなので、全然意味がないのです。
 私は、一度青梅あたりでビジネススーツを着た御一行様を見た事があります。どこかの会社の研修かと思いましたが、まさかセミナー関係者だとは....後々になって気づいたのです。
 まあ、山奥でビジネススーツで集団でうろうろしていたら気を付けましょう。

・募金

 日曜日の午後に行われる事が多いこの実習も、どうもインチキ臭い。
 昼食になり、トレーナーが「午後の実習までに小さな箱をパートナーに一つ、捜して持ってきてください。」と言います。 前回と同様、内容は知らされていません。訳がわからないまま受講生はパートナーと組み、店などに行って箱をもらってきます。
 この頃になると、受講生は「内容は知らされなくても、絶対自分にいい事をやるんだな」と勝手な思い込みをします。(洗脳ですね)その思い込みに利用されたのが今回の実習なのです。最初に書いておきますが、この実習は明らかに犯罪です。この事を頭に入れておいてください。
 午後の実習に入り、トレーナーは箱を持って、「これから募金の実習をします。今持ってきた箱は募金箱となります。この箱に白い紙を貼って、『募金箱』と書いてください。今回の募金のテーマは、『身障者に愛の手を』です。それでは、作業開始!」と言って、受講生は一斉に募金箱を作り始めます。
 そして、募金箱ができかかった時、トレーナーがまた一言。「それでは、パートナーに組んで募金をしてください。そして、一人は『めくら』になってください。」これは明らかに嘘で固められた募金活動です。身障者になりすましての募金活動ですからね。
 余談ですが、私はその種の募金を一度、新宿のアルタ前で見た事があります。ちょうどオーロラビジョンでは、有馬記念がやってて見ていたのですが、その下で身障者に同情を誘うように募金活動をやっていました。あんなせまい路上に約25組、50人が手作りの募金箱で募金していました。当時私はセミナーの事は知らなかったので、善意でやっているのだなと思い、募金しましたが、次から次へと同じ様な募金をしている集団がいたので、とても不自然に思いました。あと、強制的に「お金を入れろ」的な脅迫紛いの事をしてた様でした。
 私の友達に社会福祉協議会の職員がいたので、直接担当についている募金について聞いてみました。

 「原則的には、募金活動については行政(役所)の承諾はいりません。しかし、路上でやっている募金活動は100%『あやしい』と思ってください。日本では、まだ募金については社会に浸透していないので、詐欺まかいのものがほとんどです。現に、駅の構内や、路上でやっている募金活動は警察や駅に承諾を得ていないのがほとんどで、無許可でやっているもの(特に路上でやっているもの)は、道路交通法違反になります。特に交差点での募金活動が多いです。
 現在、最も信用されている募金活動を載せますが、これ以外の募金活動は、募金しない方が妥当かと思います。

 この3つ以外のものは、真っ先に『あやしい』と思ってください。」(ちなみに、これは横浜市の場合です。たしか、東京都だと、都知事の承認が必要ではないかと思いました)

 うーん、さすが役所。言葉がカタい。まあ、それはおいといて、これでわかったかと思いますが、セミナーでの募金活動は明らかに犯罪です。
 受講生は時々他の受講生の所にいって、「いくらたまった?」など聞きに行く事もあります。完全に募金活動の主旨に反してますね。募金とはお金じゃないんです。真心なんです。ここに「私たちは募金をやらされている」というのがわかります。本当に募金をする心があれば、お金なんて出てこないはずです。
 約2時間位募金活動をやって、セミナー会場へ。ここで、募金額を公表して多かった人はほめたたえ、0だった人はけなされます。(勧誘に成功した状況と同じ。)ここでも、募金額第1主義を取ってます。そして、集まったお金はセミナー会社へ。そして、ある程度集まったら役所に募金してセミナー会社が表彰されるのです。実際募金活動した受講生には「募金活動は当然だ」という風にトレーナーは言いますが、実際上部が表彰されていい顔しているのです。当然セミナーに対しての認識がプラスとなる訳です。
 しかし、一般市民の同情(身障者に対する)で集まったお金なのに、実際は騙しているのです。「めくら」になりすまして。ちなみに、その手の募金は新宿・横浜に多く出没し、最近では、渋谷、池袋、御茶の水に出没し始めました。
 みなさん。もし、手作りの募金箱を持って、一人が身障者になりすましてる募金活動を見かけたら、一言言ってあげましょう

「誰に許可とって募金してるの?」