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18.インターミッション デイズ

   
         
(17)インターミッション デイズ8-3

  

 記憶力ではない才能などと言われてもぴんと来るものはなく、ミナミは相変わらずの無表情を保ったままにやにやするセイルを見ていた。傍らのハルヴァイトに至っては生返事すらせずに、暢気にお茶など頂いている。

 正面に据わる二人の無反応など気にせず、セイルはテーブルを軽く突き放すようにして身を起こし、改めてソファに座り直した。

「記憶力ってのは、ぼくに言わせりゃ「覚える」だけのものだよ。ぼくらしい例えで言うなら、台詞を完璧に暗記するとき必要なのが、記憶力、ね?」

 伸ばした両の人指し指を使って顔の前に大きな四角を描く、セイル。台本を示しているのだろうそれを胡乱に見つめミナミは、確かにそうだなと納得し、納得したから頷いて、話の先を促した。

「でも、台詞を完璧に暗記出来ても「俳優」にはなれないでしょう? ミナミさん」

 セイルの話になどまるで関心がない顔をしつつ、ハルヴァイトは先を読む。ムービースターの言いたい事は、なんとなく判った。なるほど、そうかと感心する。当たり前のような気がしていて今まで気付きもしなかったのは、結局、ハルヴァイトたちは軍人であり、芸術家でなかったからか。

「観たものを観た通りに「再現」するには、「記憶」を正しく動作や行動に転嫁するってまた別の才能がなきゃだめなんだ。ミナミさんには、その、記憶するってのとは別の才能も備わってるって、ぼくは思う」

 だからそれが凄いのだと、最後にだけ零れるような笑顔を見せたセイルをちらりと横目で見遣り、ハルヴァイトも薄く笑う。

 思い返してみれば、だ。ミナミの記憶力が完璧なのは周知の事実であり、最早疑う余地もない。その記憶=記録を自在に呼び出し駆使する事が出来るのも一種の才能といえば才能なのだろうが、彼にはもうひとつ、驚くべき特性があったのだ。

 再現する。

 ただ思い起こすのではない。自分の記憶を自分だけが閲覧するのではない。良い例がこの間もあったではないか。そう、ミナミは、「自分が倒れる寸前までの記憶を、ステラに詳しく説明してみせた」。

 記憶と言う原型を捏ねても尚、青年はそこに含まれる情報を正しく伝達する事が出来る。それと同様、観ただけのムービーを観た通り再現する事が出来る。

 演じるのではなく。

 リプレイ。

 それがどう自分にとっていいのか、それともただの無駄な才能なのか良く判らない、などという事をミナミがさらりと言うと、セイルはそれこそ零れんばかりに目を瞠って、そんな勿体無い、才能の持ち腐れみたいのやめようよ! とまたもやテーブルに両手を置いて身を乗り出し、抗議した。

「それこそ、セイルくんばりに俳優かなんかだったら使い勝手いいかもしんねぇけどさ、特務室(ここ)に居るにゃ、無駄じゃねぇ?」

「じゃぁ、思い切って俳優になる? ミナミさん」

「…それは是非遠慮して頂きたいのですが…」

 そこにだけきっちりと釘を刺したハルヴァイトを、再度座り直してソファの背凭れに身体を預けたセイルが笑う。

「つうか、居たか居ねぇか判んねぇようにしてて、そこは見逃さねぇのかよ」

「惜しいなー。ミラキ副長のとこの若い執事さんも惜しいけど、ミナミさんも惜しいよ」

「執事さん…て、アスカ?」

「確か、そんな名前でミラキ副長も呼んでた。髪の長い」

「アスカだな」

「キレイなコだよねぇ」

 世間話に戻ったセイルとミナミを薄笑みで見つめたまま、ハルヴァイトは考えた。

 様々な思惑を。

 様々な事象を。

 様々な事情を。

 使えるものと。

 使えないもの。

 誘導する先は。

 ミナミの中の、「白い光の記憶」を進めるための、到達点。

 劇的に。

 劇的に。

 不自然を自然にする努力など怠り。

 唐突に。

「つまりですね」

 ハルヴァイトは組んでいた足を解いてセイルに向き直り、ぽかんと見つめて来るムービースターに形ばかりの笑顔を向けた。

「いきなりかよ」

 ミナミは、口を開くなり結論に到達しているハルヴァイトに対し、責務として突っ込んむ。

「さすがに、個々の感性が大いに影響する芸術面を考慮に入れると、結果が出るのにわたしでも相当時間を食うもので」

「いや、この会話おかしいだろ。ぜってー変だろ」

「変ですか?」

 その辺り本気で不思議そうな顔をしたハルヴァイトに、ミナミとセイルは同時に「うん」と呟き頷いて見せた。何せ前後に脈絡がないどころか、何がどうなって結果が出たのかさえ判らない。

 そんな二人の発する奇妙な空気などおかまいなしに、ハルヴァイトは足を組み換えてソファの背凭れに片腕を預け、偉そうにふんぞり返った。

「会話も一種の情報交換だという事ですよ。あからさまな知識の共有を齎すだけでなく、もしかしたら虚偽も含まれ、いかに臨場感を出せるかどうかでその虚偽は真実味を帯びる。

 例えばミナミの記憶が「ただの情報の羅列」であったなら、それは淡々と報告される文字列と大差ない。しかし、ミナミはその記憶を正確に第三者に伝える事が出来、そう誰もが疑わないとしたら、ですよ?」

 空いた手の人差し指で軽くこめかみをノックしながら、ハルヴァイトはセイルとミナミの中間辺り、何もない中空を鉛色の瞳で見つめ、続けた。

「ミナミがその場で再現されるべきでない全く別の記憶を第三者の前で「演じる」事によって、情報は操作される」

 何かをけしかけるようなハルヴァイトの言葉に、セイルとミナミは顔を見合わせた。

「………過去を演出出来る…?」

 盛大に首を捻ったセイルに視線だけを向け、ハルヴァイトが微笑む。

「組み換えて勘違いを起こさせる事も、意図的にしようとし準備すれば可能なのでは?」

 単純な例を挙げれば、と思案するように言いつつ、ハルヴァイトは背凭れから腕を下ろした。その動作を、ミナミが無表情に見つめている。

 ハルヴァイトの出した例は、言葉通りに酷く単純なものだった。

 誰かが花瓶を割る。それを、ミナミは見ている。これは誰がやったのだと別の誰かがミナミに問い、青年は、本当に花瓶を割った者ではなく別の誰かの名前を挙げて、しかし、その時の状況を記録映像のように再現して見せる。臨場感たっぷりに。割れた破片の一片までも今その位置に据わったかのように。

 虚偽の情報を、真実に折り込んで。

「ミナミの特性を知っている者ならば、彼の証言を疑わないでしょう。何せ、問うた第三者は「ミナミの記憶力は万全」だと思ってるんですから」

 あえてすり替えを行なおうとしていると疑わなければ、鵜呑みにするだろう。

「んー。誰かに濡れ衣でも着せたいっていうなら、まぁ、効果的な手法だろうね」

 暫しハルヴァイトの言葉について考え込んでから、セイルが溜め息のように呟く。

「意味ないと思うけど」

「例えはあくまで例えですよ。可能性という話だと思うなら、ミナミは自分の希望するように記憶を利用出来るという事です」

 こちらは意図するものと全く係わりない例題を上げてミナミの思考方向を捻じ曲げたハルヴァイトは、涼しい顔で冷え始めたお茶を一口飲んだ。

 その恋人の横顔を見つめ、ミナミは考える。

 果たしてハルヴァイトは…何を言いたいのか。

 彼の悪魔の組み上げた方程式の、解答は?

「ああ、でもさ」

 と、そこで、不意にセイルが気の抜けた声を上げた。

「虚偽云々て難しい話じゃなく、ミナミさんなら、ぼくをトレースして「リリス・ヘイワードのよう」には成れるかもね」

「そうですね。ミナミにもあなたのような、台本という文字列から様々な光景を想像し、自分を創造する才能まで備わっていれば、ですが」

「その想像と創造についても、蓄積されたテストケースが莫大なワケでしょう? それなら、ある程度のオリジナリティは出ると、ぼくは思うなぁ」

「ですがそうなると、ミナミはミナミであり、セイルくんではなくなるという意味でもあります」

「あ、そっか」

 どこまでが二番煎じか。

 どこからがミナミ・アイリーか。

「じゃぁ結局、ミナミさんはミナミさんのままだ」

 いつまでも動かずにハルヴァイトを睨んでいるミナミの横顔に、セイルは笑みを向けた。

       

 どこまでが、ミナミ・アイリーか。

 どこからが、ミナミ・アイリーか。

 結局。

 どこまでも、ミナミ・アイリーか。

         

 ひらめいた。

         

「ごめん、セイルくん。今からちょっとちんぷんかんぷんな話すっけど、ちょっとだけ黙って聞いててくれねぇ?」

 唐突に顔を向けて来た青年に言われて、セイルが小首を傾げる。

「仕事の事? 邪魔ならヒューでもからかって遊んでようか?」

 背後にあるドアを軽く指差したセイルの申し出を、ミナミは首を横に振ってきっぱりと断わった。

「ううん、セイルくんには是非聞いて貰いてぇし、俺は君に、その件について協力を要請してぇって思ってる」

 一度瞼を伏せるようにして首を振り、そう、少し自信なさ気な声で言ってから、ミナミは金色の髪を揺らして顔を上げた。

 その、瞬間。

 見つめられたセイルは、ぎくりと背筋を凍らせた。

 澄んだダークブルーの瞳から注がれる、力のある視線。どこか儚い、今にも薄れてしまいそうな気配の裏に潜む強い意志。直前までの弱々しい空気を刹那で払拭した「天使」は、我知らず全身を硬直させたムービースターに小さく頷きかけると、改めて、傍らのハルヴァイトを仰ぎ見た。

「あんた俺に言ったよな? 「アイツ」の手足を捥いで身動き取れなくしてぇんだって」

 やや沈んだ声で問われたハルヴァイトが無言のまま顎を引き、肯定の意を示す。ここで「アイツ」…グロスタンの名前を出さなかったのは、セイルが聞いているというのを考慮してだろう。

「その手足の最たるモンは、アリアとサーカスから消えた魔導師たち、で、間違いねぇ?」

「他にも雑魚は存在するでしょうが、大きなものはその程度でしょうね」

 偉そうにふんぞり返ったまま即答する、ハルヴァイト。ミナミはその言葉を確かめるようにここでもひとつ頷いた。

「アリアを含む魔導師たちが、「ヤツ」じゃなく、「アイツ」の命令で行動してる可能性は?」

「あくまでも彼らのボスは「ヤツ」の方ですよ。彼らに間違った思考を植え付け、世界と隔絶した。「ヤツ」は彼らにとって正真正銘の創造主ですから」

 だからこの場合、「アイツ=グロスタン」の目的のために魔導師たちが協力しているとは思い難く、彼らは「ヤツ=ウィン」奪還だけを狙って来るだろうとハルヴァイトは答える。

「「ヤツ」は、俺一人のために、アリアたちをこの世に送り出した。アリアは俺に言った。

 どうして、「ミナミ・アイリー」じゃない?」

 なぜアリア・クルスはミナミ・アイリーでないのか。別人なのだから当たり前の事だが、彼はそれをミナミに質問した。

           

「だから俺は、俺に囚われた彼らを救うために、俺を―――――――」

         

 たった一言だった。

 抑揚もなく、囁くような。

 それを耳にした瞬間、ハルヴァイトは冷たく口の端を吊り上げ、セイルは驚愕に目を瞠ってミナミの横顔を凝視した。

 天使が、悪魔が、ゆっくりと、同じタイミングでセイルを見る。

 揺るがないダークブルーと不透明な鉛色を向けられて、ムービースターは混乱した。膝の上に置いた拳を固く握り締め、背中に嫌な汗をじっとりと滲ませてからからの喉を鳴らし、喘ぐように浅く呼吸する。会話の意味も、なぜ自分がこの場に同席しているのかも判らない。

「そのために俺は、セイルくんに助けて貰いてぇんだよ」

 唐突に話を振られて、セイルはますます慌てた。

「ちょ…っと待って、ミナミさん。ぼくに、その…何が出来るって言うの? まさかぼくに実行犯にでもなれって、そんな無茶な命令するつもりなんじゃ…」

 蒼白になって呟いたセイルの強張った表情をいっとき眺め、不意にミナミが相好を崩す。それは酷く楽しげな、明るい笑顔だった。

「実行犯てよっか、共犯」

 言ってから青年は、珍しく声を上げて笑った。余程セイルの切羽詰った顔付きが可笑しかったのだろう。

 ひとしきり笑ってからミナミは、冷静に「その計画」を説明し始めた。まず、「アリア・クルス」という、自分と瓜二つの青年が今王城地下に拘束されている事と、彼がサーカスから消えた団員…魔導師…の仲間である事。その彼らの親玉も今は城で拘束されており、仲間の一部が逃げている事も。

 他言無用と言い置かれてから告げられる重要機密に、セイルは唖然とするしかなかった。そんな都市の基盤を揺るがす重大犯罪の一端を自分如き俳優に明かしていいのかと思わなくもなかったが、聞きたくないと耳を塞ぎ部屋から逃げ出す勇気はない。

 好奇心が勝ったのか。

 それとも、正義感か。

 ある程度の状況…もちろん、ここでアドオル・ウインの「本当の犯罪」と「ミナミ・アイリーの存在理由」、グロスタン・メドホラ・エラ・ティングという黒幕までは、さすがに話さなかったが…を提示し終わったミナミは、一息吐いてから本題を切り出した。自分がなんのために何をしたいのか。それでなぜセイルの協力が必要なのか、まるで暗記した報告書を読み上げるように淀みなく話し続けるミナミを見つめていたムービースターの表情が和らいだのは、ようやく話も佳境に入ってからだったが。

「だからさ、俺たちだけじゃダメなんだよな。まず、チェックしてくれる第三者、それも、相当目の肥えた協力者が必要になんだろ?」

「確かに、話だけ聞くならぼくが適任には思えるけど…」

 難色というよりも何か腑に落ちないものを抱えた風のセイルの受け答えに、ハルヴァイトが軽く頷く。

「セイルくんがここに頻繁に出入りする理由がない、と?」

 ハルヴァイトの問いに、セイルが首を縦に振った。

「用事もないぼくがほいほい来たら怪しいでしょう? 一度や二度じゃ済まないだろうしね」

「モンタージュですよ」

 殆ど忘れ去られていた、実は今日もそれが目的だったはずの事柄を唐突に出されて、セイルがきょとんと目を見開く。

「難航すればいいんです。セイルくん、記憶力に自信は?」

 なぜそんな基本的な部分をいちいち説明しなくてはならないのかとでも言いそうな、微妙に面倒臭げなハルヴァイトの問いに苦笑しつつ、セイルは肩を竦めた。

「ミナミさんの足元には及ばないって言うべき? でも、台詞と人の顔を覚えるのは意外と得意かな」

 台詞はいいがその後に続いた部分に疑問を感じたミナミが、無表情に小首を傾げる。

「人の顔って、なんで?」

「こう見えてもぼく、一応スレイサー道場の師範代だよ? ミナミさん。弟子の顔くらい覚えられなかったら困るでしょう」

 でも、名前覚えるのは苦手なんだよねぇ。とセイルは、それじゃ結局意味ねぇし、と、ミナミが嬉々として突っ込むような事を言ったが。

「では、その記憶力を発揮して、早々にモンタージュを作成し時間を作るというのは?」

「でも、外には難航してるって言いふらしとけばいいか」

 それなら、セイルが特務室を頻繁に訪れる不自然さはある程度誤魔化せる。

「でも…どうだろう…。しつこく訊いて来ないとは思うけど、ヒューは何か疑うよ、きっと」

 言われて、ミナミとハルヴァイトは顔を見合わせた。

 忘れていた。

「これでヒューが、家族に関心ない放蕩兄貴だったりすっと、助かったんだけどな」

「残念ながら、そうではないようですからね、班長は」

 当然ヒューならば、弟セイルがモンタージュの作成にそう手間取らないと知っているだろう。それなのに、難航中などと嘘を言って何度も特務室を訊ねれば、裏で何かやっているのではないかと疑うかもしれない。

「こうなったら、最初からヒューも引き込むっていうのもアリ?」

 難しい顔で腕を組んでいたセイルがぱっと顔を上げてミナミに問えば、青年はきっぱりと首を横に振る。

「どこからどう情報が洩れんのか、判らねぇからさ、必要最小限の人数で進めてぇ」

 別にヒューを疑っているのではないが、というか、仲間に引き入れても全く問題はないのだろうがと言い足したミナミの無表情を見つめ、セイルが溜め息を吐く。

「それに、セツには話し通してるから事務所自体は煩く言って来ないけど、そろそろ次の映画のキャストも発表になるし、撮影が始まったらそう簡単に抜け出して来られなくなるよ、ぼくだって…」

 と、自分で言ってから、セイルは背中を丸めてソファの座面にばたりと倒れ込んだ。

「って、ヤな事思い出しちゃった」

 その拗ねた表情を覗き込み、ミナミが薄く笑う。

「ヤな事、何?」

 息抜きのつもりなのか、今の「計画」とは無関係の話題に乗った天使をわざとのように悲痛な顔で見上げ、セイルは「聞いてよー、ミナミさーん」と情けない声を上げた。

「監督が我侭でさー、撮影場所が決まらないかもしれないんだよー」

 そうなるとスタジオに拘束ばかりされて製作自体は一向に進まないという、最悪の状況を招くかもしれないのだと訴えるセイルのカップを取り上げたミナミが、新しいお茶を支度しつつ苦笑を漏らす。

 こちらも相当大変だがムービースターも色々と大変そうだ、と青年が内心嘆息した、途端。

「廃墟のオープンセットなんか、この都市でどこに作れって言うんだよって」

 呆れと諦めの混じったセイルの呟きに、ミナミは紅茶を注ぐ手を停めた。

「廃墟の、オープンセット?」

 倒れていた姿勢からもそもそと身を起こすセイルの俯いた顔を凝視する、ミナミのダークブルー。

「うん。合成用の画像パーツじゃなくて、ホントの建物の一部を再現して、その中で撮影したいんだって」

「それだ」

 慌てて残りの紅茶をセイルのカップに注いだミナミは、それをソーサーごと押し遣りつつ、薄く口の端に笑みを浮かべた。

「それ、って?」

 セイルが、ミナミとハルヴァイトの間で視線を往復させる。

「だから、さ。オープンセットじゃない、本物の屋敷を提供すっからって交換条件で、監督にセイルくんをちょっとだけ贔屓させるって、どう? って、話」

 それからまたミナミが早口で喋るのを呆気に取られて聞いていたセイルは、暫し後、所属事務所代表のセツ・ハノアと制作会社の担当をすっ飛ばし、特務室次長私室から、今度の主演映画の監督、ウェズス・オルロに直接電信するハメになった。

  

   
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