信じられない思い出(2)

ヘビになったオートバイ

00.10.1


 
 1987年(昭和62年)秋、私はCBX750Fボルドールで中央高速多治見付近を名古屋に向けて走っていました。行楽帰りの車で徐々に渋滞してきたのですり抜けは止め、80k/m程度の流れに乗って走ることにしました。
「そう言えば、すり抜けするバカベンツに会ったのはこの辺りだったな」などと7年ほども前のことを思い出していると、なんと、またまた後方からゆらゆらとした光の塊が近付いてきました。

 その光は途方も無い速さで近付いてきました。「一体あれは何なんだ」と思っている間にも、その光の塊は私の後ろに迫ってきました。それは1列に並んだオートバイでした。
ドカの900SS、GSXーR、CB1100R、そして殿(しんがり)がR100RSでした。
先ず、900SSがアクセルを一杯に開けて「ダダダッ」と威嚇しながら車の間に入り、少し開いた車間に間髪を入れずに次々と後ろのバイクが続いて行くのでした。

 殿のR100RSが車の間に入る頃には900SSは既に2台先の車の間に「ダダダッ」と入って行くという寸法でした。900SSが車の間を抜けた頃には、その前方の車は恐れをなしてちゃんと車間を開けて待っているという按配でした。その光景は正に子供の頃に見た映画「モーゼの十戒」で、海が左右に割れるシーンにも似ておりました。

 4台のバイクはまるで大きなヘビのように、身をくねらせながら、この世の物とも思えぬ速さで車の間を抜けていきました。
「何ちゅう、合理的かつエゲツナイ走り方」と思うと同時に、私も追いかけてこのヘビに加わろうと思いました。しかし、全力を振り絞って走っても、このヘビに追い付くことは出来ませんでした。

 これまでのオートバイ人生の中で、渋滞した高速をこれだけ速く走る物を見たことがありませんが、それにしてもエゲツナイ走り方でした。この4台は全て大阪ナンバーでしたが、大阪の人はこうした傾向はあるみたいですね。皆さんは真似をしないで下さい。

 
斬り込み隊長

 

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