一生かけてオートバイを楽しむには?
結論から先に言えば私はソロからサイドカーに乗り換えるのは種々の事情が許せば30代後半以降がよいと思います。
人によって程度の差はありますがソロのオートバイであれサイドカーであれ、長く乗っていると飽きが来ると言う事があります。
あまり早い時期にサイドカーに乗り換えた場合、40歳そこそこでもうサイドカーにもオートバイにも飽きちゃった、と言う事になりかねません。
私の場合は41歳からサイドカーに乗りましたが、62歳で乗り終えるまで新鮮な気持ちで乗ることが出来ました。62歳で50肩になり乗るのを終えました。
ソロのオートバイというものは本当に早く走らせようとした場合には熟練と反射神経の両方が必要となります。
16歳からソロに乗ったとして、私の経験からすると最も速くかつ安全にソロを走らせる事が出来るのは30歳位からの数年間ではないかと思います。
しかもこのくらいの年齢になれば経済的にも(20代前半に比べれば)そこそこの収入がありますからかなり自分の希望と合致するオートバイを購入する事も可能でしょう。
私の場合それはBMW.R100SでありホンダCBXでした。
特にCBXに乗っていた頃は愛知県豊田市に住んでいましたが静岡の本宮山スカイラインで地元のローリング族にも負けないほど体力気力とも充実していました。
当時(1982年頃)箱根ターンパイクにもよく遠征しましたが、当時のターンパイクは路面がざらざらでしたが後輪を滑らせながら走りました。
この当時はCBXで必要とあれば田んぼの中でも走れるくらいの自信がありました。(実際には走れないでしょうが)
始めてマイバイクを手にした時がオートバイ人生の第1期黄金時代とすれば、この時期は第2期黄金時代と言えるでしょう。
せっかくオートバイを趣味としたのであればこの第2期黄金時代を満喫しない手はないのではないでしょうか。
一方サイドカーというものは、得たいの知れない新しい乗り物を公道上で安全に走らせる能力が一番必要となりますが、これはオートバイと自動車での長い経験が大いに役に立つものですが、ソロのように鋭い反射神経が特に必要な訳ではありません。
どちらかと言えばソロは体で走るもの、サイドカーは頭で走るものです。
ソロを十分に楽しみ40歳近くになってサイドカーに乗り換えればそこで第3期黄金時代を味わえると言う訳です。
ただし30歳くらいで子供が4、5歳となり、子供をサイドカーに乗せたい、あるいはそれより前に奥さんをサイドカーに乗せたいというような場合もあろうかとは思いますが。(従って私がここで述べている事はあくまでも一つの試案と考えてください)
サイドカーに乗るようになってから私と同じ位の年齢の人で20代の頃からサイドカーに乗っているという人がかなりいる事が分かりましたが、そうした人の中には40代で「もう飽きちゃって」などと言う人もいます。
実は私はサイドカーに乗り始めた時に一度サイドカークラブに加入した事があります。
そのクラブの人に「今度ツーリングがあるから入りませんか」と誘われて加入したのですが、ツーリングに先立って行なわれたミーティングに参加して分かったのは、ほとんどの人が20代の頃からサイドカーに乗っているという事でした。
私はそれまでサイドカーという物はソロを十分乗り込んだ人が乗るものと思っていましたから、この事はかなり意外でした。
ソロの経験をさほど積まずにサイドカーに乗るのはもちろん人の勝手ではありますが、このクラブのミーティングの時に30代半ばの人に「私はサイドカーにもう10年乗っているんですよ」と胸を張って言われた時にさほど尊敬する気になれなかったのは事実です。
さてその半月後にツーリングがありました。
私はどんなサイドカーがやってくるのか楽しみでわくわくしてその日を待ちました。
それまで(ハーレーは除いて)サイドカーを間近で見た事が一度もなかったのですからその楽しみも当然でしょう。
ところが約束の日集合場所に現れたのはクラブの支部長の乗るソロとその連れの人の4輪車の2台だけでサイドカーは1台も来ませんでした。
その後もこのクラブでは1年以上ツーリングは行なわれず私は憤然として退会しましたが、結局このクラブは大半の人がもうサイドカーには飽きてしまっていて活動が休止状態だったのでした。
(だったら誘わなければいいのに・・・・)
ソロのオートバイに何年も乗ると飽きが来るという事は事実です。
よく雑誌の投稿欄などで「昔のオートバイは面白かったがこのごろはちっとも面白いオートバイがない」などと嘆いている人がいますが、これは大抵の場合はその人自身がもうオートバイに飽きが来ていると言う事だと思います。
オートバイというものはそれが面白いと思う人にとってはハンドリングがどうとか加速特性がどうとかいう前に走りさえすれば取りあえず面白いものなのです。
ところが何年も乗っているうちに初めの頃の新鮮な思いが希薄になってきて何か特別の刺激がないと面白く感じられなくなります。
私の時代では高性能化と言う物が一つの刺激でしたが、今はそれもとっくに限界に来ていて逆にハーレーのVツインが持つ鼓動感のような物が評価されたりしているようです。
私は現在ホンダFTRに乗ってますが、鼓動感があってなかなかいいオートバイですが、若い頃のように一日中乗るということはありません。
こうした事は一種の老化現象だと思いますが、これは人によって程度の差が激しいもので、ソロに2、3年乗ってもう飽きると言う人もいます。
そうした人がサイドカーに目を付けるという事もあるのだと思いますが、こうした場合元々飽き易かった人な訳ですからサイドカーに飽きるのも早いという事になるのでしょう。
サイドカーを購入した場合ソロのオートバイはあった方がよいのかという点ですが、私の場合にはSC2サイドカーの購入でも述べた通り、元々はソロをメインにサイドカーには時々乗る積りでしたが、いざサイドカーを購入してからはサイドカーの面白さの虜になりほぼ半年間はソロ(CBX750Fボルドール)には触りもしませんでした。
(時々掃除しましたから触りはしましたが)
その後もソロにはほとんど乗らなくなったので知人に格安で譲りましたが、2年ほどしてやっぱり大型自動2輪の自由奔放な走りが恋しくなりCBR1000Fを購入しました。
このCBRは当初ハリケーンという愛称で売り出された物で、アメリカでは当時実際にハリケーンで甚大な被害があってそのネーミングに大きな批判があったというものでしたが、140psが産み出す加速力、安定したハンドリングに大きな感銘を受けました。
CBRには4年ほど乗りましたが1996年にスーパーセブンを購入する時に資金捻出のために売却しました。
この時には「もう大型のソロは卒業だ」と思いましたが、今になって見ると売らなければ良かったと思っています。
どうやら元々オートバイが好きだった人の場合には、いざソロを手放してしまうと何年かして無性に乗りたくなるもののようです。
人生は長いです。
80歳になってもサイドカーにのって「ああ面白い」と言うためには出来るだけ長くソロに乗って、出来れば50歳を過ぎてからサイドカーに乗るというのが理想なのかもしれません。
(サイドカー屋さん、怒らないでね)
2000.9.19作成
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