ウェーバー・アルファ

　またワインディングを走っている最中はまだ良いのですが、一般道路に降りて速度が下がるとまたブスブス言いました。症状としては走っている最中にキャブの油面が始終変化しているような感じでした。性能もいまいちで、うっかりすると６０馬力のＢＭＷ　Ｒ１００ＲＳにも置いて行かれそうな感じでした。音も３，０００ｒｐｍ以下ではドロドロというアメリカンＶ８のような粗野で味気のない音でした。

　こうした場合ウェーバーキャブとじっくり付き合うというのも面白いのでしょうが、購入先の話では低速を出すためにわざとミクスチャーを濃い目にしてあるという事で、どうも調整しきれないといった印象を受けました。(プラグは真っ黒でした)
いろいろ調べてみると４８ＤＣＯＥのウェーバーキャブが付いた正規物のスーパーセブン･ボクスホールで低速から高速まで調子を出すのは難しい、といった話をよく聞きました。
(並行物では45DCOEが付いている)

　よしんば調整で調子が出るにしてもそれが何ヶ月先になるか分からないし、もともといじる暇があったら走りたいという方で、ウェーバーキャブ自体にもあまり執着は無かったのでアートインターナショナルでウェーバー・アルファの装着に踏み切りました。ウェーバー・アルファの装着に踏み切る数日前に箱根で偶然ウェーバー・アルファを付けたばかりのボクスホールに乗るIさんに出会い、同乗させて頂いてその効果を確かめる事も出来ました。

　５０万円強の出費は痛かったのですがもう｢毒を食らわば皿まで｣という心境でした。
ウェーバーｰ・アルファ装着により諸性能は下表のように良くなりました。

　ウェーバー・アルファ装着前のデータも、他車と比較して数値自体はそう悪い訳ではありません。

○　オーバーオールギヤ比が少し低いトミー・カイラＺＺ　　　　　　　(２．２秒、３．３秒)
○　条件が全く同一のケイターハム・スーパーセブンＢＤＲ１７００　（２．８秒、４．９秒）

　(このＢＤＲのデータはゼロヨン１４．３秒の車のもので、この他に追い越し加速は測ってありませんが１３．８秒というのもあります)

　しかし装着後は４速で装着前の３速と同じ加速をするようになり効果はまさに絶大で、生まれ変わったように走るようになりました。(プラグもこんがり狐色となりました)　　音も３，０００ｒｐｍ以下でのドロドロ音がなくなり高回転でも完全燃焼を思わせるツインカムらしい澄んだ音になりました。

　馬力が２０％ほど上がったのに燃費も３０％ほど良くなったのにはびっくりしました。この性能向上は単に混合気のせいだけではなく点火タイミングも大きな要因だと思います。

　ウェーバー･アルファにする際に一つ心配だったのはスーパーセブン独特のウェーバーの吸気音が無くなってしまうのではないかと言う事でしたが、エンジンの調子が良くなったせいもあると思いますが音は返って良くなりました。この吸気音がどういう仕掛けで出てくるのか、私はいまだに良く分かりません。知っている方教えてください。

　ウェーバー・アルファの良い点は以上の通りですが、一つ不満な点もあります。それは大気圧の補正がないという事で、富士山５合目へ上る富士スカイラインへ行った時には頂上（と言うか５合目ですか）でエンストしてしまいました。この時はかねてより加入していたJAFに来てもらいクルマを下へ降ろしたらエンジンは難なく掛かりました。
この大気圧補正の点に付いてはこのあとアートインターナショナルで対処してもらいました。

　なおこの時知りましたがＪＡＦではあまり遠いところへは運んでもらえないそうです。こうした場合どこか近くのセブンショップに連絡をとって運んでもらうしかないでしょう。なおソニー損保の自動車保険では３５キロまで無料で３５キロ以後１キロ５００円です。こっちの方がＪＡＦよりいいみたいです。

　上表で４速に上げてもタイムがさほど落ちないところがボクスホールの特徴です。KレーシングやR500Rではどういうタイムになるのか楽しみです。ＣＡＲグラフィックの皆さん早くＲＯＡＤ　ＴＥＳＴをお願いします。（ＣＡＲグラフィックが出してくれる客観的なデータは実に有用性の高いものです）

ウェーバーアルファのメカニズムの詳細に付いてはこちらです。