サイドカーの装備


 

サイドカーの原点

サイドカーには、いわゆる付けただけのサイドカーと、様々な装備を施した本格的なものとがあります。
 
サイドカーの装備
側車車検 SC12参照   側輪ブレーキ SC 8参照  
サス強化 SC 9参照 フレーム強化 本ページ
アールズフォーク   SC10参照 インチダウン SC11参照
バックギヤ 本ページ ステアリングダンパー SC10参照
パーキングブレーキ 本ページ    
 

付けただけのサイドカー

 付けただけのサイドカーで満足に走るのか? と思われる方もおられるでしょうが、私が以前に乗っていたものに関してははさほど大きな問題は発生せず、無事4万qを走りました。
(中古で購入したものですから総計4万5千q)
ただしステアリングダンパーは付いていました。
これが無ければハンドルシミー(振れ)が出て走る事自体が不可能な場合が多いと思います。

また側輪ブレーキは、特にハイペースで走る場合、安全性の点から是非取り付けたほうが良いと思います。
これが無いと制動距離がかなり伸びますから追突の危険があります。

 フレームに関しても、私のものでは異常は発生しませんでした。
しかしこれは、たまたまそうであった、と解釈すべきでしょう。
もともと現代のオートバイのフレームはサイドカーの取り付けを前提にして作られている訳ではなく、しかもコンピューターを用いたFEM(有限要素法)による構造解析で、狙った通りの限界ぎりぎりの物が作られていますから、そう大きなマージンはありません。

従って付けただけのサイドカーで走れないということはありませんが、特にフレームについては常にチェックする事が必要だと思います。
ハンドルを切ったときの感触がおかしい、といった時はフレームを疑うべきでしょう。

サイドカーというものは自動車やオートバイのようにメーカーで十分なテストをした上で販売しているものではありませんから、基本的に(どんなサイドカーでも)常に、愛車の状態を自分でチェックしながら走る、という姿勢が必要です。
また160psに達するようなものすごいオートバイの場合にはそれなりの強化が必要と思われます。

 付けただけのサイドカーには上で述べた通りリスクがあるということは確かですが、しかしリスクというものは、実はサイドカーそのものに付き物な訳で、各種の装備を取り付けた本格的なものなら大丈夫、というものでもありません。
要はリスクを回避するためのオーナーの日頃の努力が大切であるという事でしょう。

 走行性能に関してはサスを強化したサイドカーとはコーナリング性能に関してかなり大きな違いがあることは事実です。
ノーマルサスのものは簡単に側輪が浮上します。
しかしこれは限界のコーナリングスピードが低いという事であって、危険であるという事とは違います。

サス強化をしたものをスポーツカーに例えるなら、ノーマルサスのものはクラウンと言ったところでしょうか。
私の乗っていたものは特にセッティングが良かったようで高速でもかなり安定しておりましたが、物によってはそうでないものもあるようです。

 また付けただけのサイドカーの場合、例えばサイドカークラブなどで各種の装備を施した本格的なサイドカーと出会った際に見劣りがする、あるいは軽く見られる、という事が往々にしてありますが、これはやむを得ない事でしょう。

 実際にサイドカーに限らず「高い車が偉いんだ」という態度を露骨に示す人はたまにいるもので、(私の経験では自動車よりもオートバイに乗っている人に多いと思う) 中には値段の高価さだけが目的で乗っているとしか思えないような人もごくたまにいる事は事実です。
こうした事がとても気になるという方には向いていないということでしょう。

私の場合、もともとサイドカーというものは、オートバイを利用して手っ取り早く自動車の代用になるものを作る、という考えから生まれたものと思っていましたから、そうした観点からすれば付けただけのサイドカーの方がむしろ本来の形に近いのではないか、と考えておりました。

各種の装備を取り付けたサイドカーに比べれば走行性能が劣る事は確かですが、サイドカーの持つ最大の魅力すなわち「自動車ともオートバイとも違う、新しい乗り物」の面白さを味わえる事は事実です。

 また付けただけのサイドカーで操縦技術を身につけても、その後本格的なサイドカーに乗り換えたときに役に立たないのではないか?という疑問を、私もかつて持っていましたが、そうした事は全くありませんでした。

 この手のサイドカーを購入する際は、信用できるサイドカーショップ(少なくともサイドカーの製作を専門にしているショップ)で取り付けしたものを購入すべきです。 
素人の手による自作サイドカーの中には大変危険と思われるものもあるようです。

上で、サイドカーは十分にテストをして売られているものではないと述べましたが、サイドカーショップで取り付けされて公道を走っているサイドカーが自然にテストをしている事になり、不具合な点はその都度ショップで対応しています。
(ということは、新型はトラブルが多いという事になるのでしょうか…)

特に強度上一番重要と思われる本車への取り付け部分に関してはサイドカーショップで取り付けたものなら安心と言えるでしょう。
また遠方から購入した場合には購入後のメンテナンスをしてもらえる店が近くにないと困るでしょう。

もっともメンテナンスが必要になるのは本車の方が圧倒的に多く、本車だけなら側車を自分で外してバイク屋さんで修理してもらう事も出来ますが、この場合メインスタンドが付いた物でないと取り外しが難しいと思います。
ホンダの白子のサービスセンター(テクニカルセンター?)では側車車検が付いていれば側車がついた状態でも見てくれるそうです。

側車を外してソロで乗って見ると、タイヤがサイドカー用に磨耗している事などからかなりハンドリングがおかしい事が分かります。
この事から、よく聞かれる、時々サイドカーを外してソロで楽しむという事はかなり無理があると思います。

本格的なサイドカー

サイドカーに付加される装備とその内容は以下のようなものです。

 
側車車検 高速道路で合法的に定員乗車ができる。メンテナンスや修理を受けやすい。精神的満足感がある。
側輪ブレーキ  制動距離を短くする。(正常にする)
サス強化   コーナリング性能を高める。車高を下げる。
フレーム強化  フレームの強度、剛性を上げる。
アールズフォーク   ハンドルを軽くする。ハンドルシミー、ノーズダイブを抑える。
インチダウン 減速比を下げる。車高を下げる。
バックギヤ   回転半径の大きなサイドカーで有用性大。
ステアリングダンパー ハンドルシミーを抑える。
パーキングブレーキ  側車車検に必要。
 
私のST1100サイドカーはインチダウンとバックギヤ以外は付いていました。
上記の装備のうち、サス強化、アールズフォーク、インチダウンのように車高変化を伴うものはセッティングのやり直しが必要となりますから、購入時に行なうのが理想です。

フレーム強化の目的は、フレームの強度を上げる(すなわちクラックが発生して破壊に至る事を防ぐ)事と、フレームの剛性を上げる(すなわちフレームが変形してハンドリングが変わるのを防ぐ)事の2点です。
(強度と剛性というのはよく雑誌などでも混同されて使われる言葉ですが、強度というのは破壊に対する抵抗力の事で、剛性というのは変形に対する抵抗力の事です。これは必ずしも同じではありません)

通常2本のダウンチューブを結合したり、必要に応じてサブフレームを付けたりします。
こうした点に関してはサイドカーショップの経験と勘に負うところが大です。
フレーム強化の必要性がどれほどあるのかという点は、理論的には車種によって、あるいは側車の重量によって必要性の度合いが違ってくるはずですが、フレームに異常をきたした場合には大ごととなりますから、適切な強化をしてあったほうが安心して走れる事は間違いありません。

バックギヤは本当はリバース装置と言うべきなのでしょうが昔からの習慣でバックギヤと呼んでいます。
本物のバックギヤ(正確にはリバースギヤ)を付ける事ができるのはBMWとハーレーおよびクラウザー・ドマニとGGデュエットなど数車種に限られ、しかもかなり高価です。
60万円位するようです。

またGL1500の場合はもともと電動のリバース装置が組み込んであります。
GL以外の日本車では側輪を電動で動かすタイプなど何種類かがサイドカーショップから販売されています。
ただこうしたものの中には、(聞いた話として)少し抵抗が大きいとギヤが空回りしたり、あるいは側輪がスリップするといったものもあるようです。

 私の経験では、ドマニのように特別に回転半径の大きな物以外では、バックギヤがなくても特に困る事はありません。
サイドカーは重量はありますが、倒れる心配がありませんから平坦地での押し引きは以外と楽です。ただし本車のリアグリップはあったほうがいいです。
(一度右足の親指を骨折したことがありましたがサイドカーは動かせました)

よく下り坂で行き止まりになったらどうするの?などと聞かれる事がありますが、それはソロのオートバイも同じ事で、常に先のことを考えながら進めばよい事です。
常に緊張感を持って走るというのも面白さのひとつなのです。

 ただ人によってはバックギヤに大きな価値観を感じる人もいるようです。
サイドカーに惹かれる動機は人それぞれですから、バックギヤがあって初めてサイドカーらしく見える、という気持ちも分かるような気はします。

 また、サイドカーに乗っているとPAなどでいろいろな人が見学に来るという事があります。そうした人々からの質問の中で最も多いのが、「バックギヤは付いているんですか?」というものです。
「バックギヤは人動です」と答えると大抵の人はがっかりします。(余計な事聞くんじゃねー)

こうした事が何度もあるとバックギヤを付けないと何かまずいような気がして、2台目のサイドカーを仕立てる時にはバックギヤを付けようと思いましたが、適当なものがなくて止めたという経緯もあります。(元々本人がさほど乗り気でないので)

パーキングブレーキは側車車検を取得するときに必要です。
カワサキの250だかの物が多く使われているようで、レバーでワイヤを引っ張る物ですが、ワイヤのレバーへの取り付け部分などを見るととてもちゃちで信頼できる物ではありません。
従って少しでも勾配のある所で駐車をする際は1速に入れておく事が必要です。

 
カワサキ W1S

ダイヤペット 1/30

   

ホームページへ   次ページへ