第 2話 国民皆保険

国民皆保険になったのは ひつじさんが小学校高学年の頃のことです。
それまでは、怪我をすると 薬局で消毒薬や包帯を買ってきて自分で処置をしていました。
腹痛や風邪の時は“置き薬”ですませました。
毎年一度、“富山の薬屋さん”がやってきて使った薬を補充し、代金を清算するのです。
素人療法ですから 大きな傷跡を残した人が多くいました。
また女性では出産の度に歯が一本欠けるといわれ、中年を過ぎると歯の欠けた人が大勢いました。
敗戦後のことでもあり、暗い世相の時代でした。
ところが、国民皆保険では薬局で薬を買うよりも医院で処置をしてもらった方が安くなったのです。
もちろんその根底には 国民が保険料の支払いができるほど経済的な余裕を持つように生活が向上したことがあります。
この頃から人々の身なりも良くなり、あらゆる面で生活にゆとりが出てきました。
ひつじさんも再診療の50円玉をもって歯科に通ったものです。

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