歳時記時の移ろい

       四月  卯月

夜桜      桜花 ひとひら舞ひて 白き手に
         
               いずれ劣らぬ 色をきそいぬ


初春の嵐もようやく過ぎ去り、桜花爛漫たる春宵の一時を、春休みで帰省中の娘をまじえ、家族一同古い城跡公園で桜を愛でながら過ごしました。
白亜の天守閣に紅色の桜花が美しく映えるなか、慣れぬ杯に紅をつけ、ふと見上げると、さくら花散る現実のかなたに、久遠の天空がどこまでも広がっています。
その藍色の透明な空間を見ていると、ふと、人生とはこれだけのものなのか、女の一生とはもっと波瀾にみちたものではなかったのか という思いが心をよぎります。
そして、この夢のような情景がいつまでも続くことを願わずにはいられません。

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