***  クリスマスの音楽 ***

                                          

                                                                     BGM  「Wexford Carol 」
                                           〜アイルランドのキャロル〜

 

                 [ クリスマスの音楽]
                                      キリスト教の聖節としてのクリスマスは、一年間の教会暦を通じて、
                 もっとも豊かな音楽に装われる。
                 民衆的なクリスマスの音楽は、古くからキャロルとして親しまれている。

                 北欧諸国では、クリスマスの音楽は主として室内の催しであるが、
                 南欧諸国では野外に厩舎の聖母子像をあらわす祭壇を設け、
                 その祭壇に向かって音楽を捧げる風習が古くからあった。

                 南イタリアから起こった叙情的な牧笛の音楽シチリアーノは、
                 その典型的例で、バロック時代を通じて作曲された数多くの
                 クリスマス協奏曲には決まってシチリアーノの楽章が含まれいる。
                 フランスでは、ノエルの旋律によるミサ曲やオルガン変奏曲等も
                 数多く作曲された。

                 協会内部ではの聖節としてのクリスマスの儀式は、
                 12月24日の夕べの礼拝から始まる。
                 そこで音楽的に重要な役割を果たすのが「マニフィカト」で、
                 パレストリーナやバッハに名作がある。

                 カトリックの教会では、12月25日の午前零時から第1ミサ(深夜ミサ)、
                 第2ミサ(早朝のミサ)、第3ミサ(日中のミサ)と、3つのミサが挙げられる。
                 これらのミサは「グレゴリウス聖歌」で歌われることもあるが、
                 特に深夜ミサは、キャロルやノエルの旋律をちりばめて、
                 民衆的な喜びのうちに執行されることが多い。

                 プロテスタントの教会でも深夜の礼拝のほか、
                 クリスマスのシーズンを通じて、特別に作曲された作品や、
                 賛美歌、オルガン曲が演奏される。

                 特に有名なのが、壮大な規模をもつバッハの
                 「クリスマス・オラトリオ」である。

                 クリスマスの音楽には、ルネッサンスや中世にまでさかのぼる古曲が多い。
                 比較的新しい作品で、全世界に愛唱されているのは、
                 19世紀のグルーバー(1787−1863)作曲の「きよしこの夜」である。

                 またアメリカや日本では、「ジングルベル」、「ホワイトクリスマス」などが
                 広く親しまれている。

                 [ クリスマスキャロル ]
                                     
クリスマスの時期に歌われる宗教的な民謡を総称する。
                 ただし、キャロルは英語の呼び方で、フランスではノエル、
                 ドイツではクリスマスのリート、スペインではビリャンシーコと呼ばれる。

                 どの国の場合も、親しみやすく明るい調子の曲が多い。
                 歌詞のイメージは一般的に素朴ながら新鮮で、
                 民衆のクリスマスに寄せる喜びが、率直に歌い上げられている。

                 キャロルの語源は、中世フランスの輪舞カロルであるとされている。
                 14〜15世紀イギリスのキャロルには、
                 輪舞の際の歌唱形式にふさわしく、折り返し句が1句ごとに
                 反復される形がよく見られ、ラテン語と俗語の混交は、
                 古いリートにもしばしば見られる。

                 キャロルは、中世から18世紀にかけて数多く作られ出版されると同時に、
                 すぐれたキャロルは教会公用の賛美歌の中に採り入れられた。

                                           参考文献  平凡社大百科事典