プレスの犠牲者
一応プレス機のつもりね↑じゃなくて(^^;)
プレスってあの、イギリスの芸能新聞のことです。今回登場するのは、われらスウェードの華麗なるギタリスト、リチャードです。彼がどんな風に料理されてしまったのか、見てみましょう。資料はNMEです。すごいガセ記事ですね。けしからんです。ゆ、許せん。 |
スウェードはリチャード・オークスの母親の発言で妙な注目をされている。モーリーン・オークスはボーンマス・デイリー・エコーのインタビューで、'94にバーナード・バトラーがバンドを辞めた後の17才の新人について、希望と心配を語った。 「彼はとても若く見えたし、ロックンロールのライフスタイルは悪名高いでしょ? でも彼はタバコすら吸わなかったのよ! 彼にとって上手くやるのは大変なことだったと思うわ。突然、危険な人もいて、知る人もないとても大人っぽい世界に放り込まれて…。マネージメントや、バンドの人じゃなくて、取り巻き連中のことよ。」 彼女は最新作の“Headmusic”のリリースを急ぐ中で息子が太ってしまったことについては肯定的だ。 「成長期なんだから、いいことよ。食べ物に耽る方がドラッグに耽るより全然いいわ。ロックスターの中では、ずんぐりしすぎじゃないって、彼だってわかっているわよ。ジェームズ・ディーン・ブラッドフィールドはかなりずんぐりして、小さいじゃない? モーリーンによるとリチャードは今はバンドに馴染んだという。しかし初めの頃、仕事はファンタジーのように思えたそうだ。 「リチャードはスウェードに入った最初の一年は“Jim'll Fix It”みたいだって言ってたわ。でも、アルバムを書くのに働かなきゃいけないのは“Jim'll Fix It”じゃないそうよ。」 スターになって5年たってすら、リチャードがいまだに母親の良き忠告に従っているのは、ホッとする話ではあるが…。 「リチャードはV99フェスティバルの前に電話をしてきて、バックヴォーカルをやるつもりだって言ってたけど、私は『リチャード、あなたが上手なのはわかっているわ。ギターだって上手いけど、少しも歌えないわよ』って言ったわ。」 あとはスウェードのツアーインフォメーションとシングルリリース情報なので、省略。 |
(NME 25/Sep/1999) |
リチャードの写真に書いてあるコメントは「ずんぐりしすぎじゃないリチャードと彼の賢い母親」と、なっています。 お次は…。 |
エミネムのお母さんが息子をその歌詞の内容から告訴したそうですけど、今度はリチャードがお母さんを告訴する!と煽りたてています。その原因は先の記事なんですけど、それについてのリチャードのコメントです。NMEにリチャードが語ってくれたそうです。ウソつけー。 「彼女はいろいろとひどいこと言ったよね。たとえ母親だとしても甘んじて受けることはできないよ。そうでしょ?一つはボクがタバコすら吸わないってこと。わかる?ボクはスウェードにいるんだよ、お願いだからやめてよ。スウェードのオーディションをパスする前に、ボクはタバコをファッショナブルでいかがわしい感じ(見本画像)に持てるか見せなきゃいけなかったんだよ!そりゃ、ボクがアンダーソンさんみたいにカッコよくないことは自分でも認めるよ。彼みたいに喫煙が許されたちゃんとした大人じゃなかったし、咳もでるし、味もキライだから、完全に肺まで吸い込めないんだよ。ボクがタバコを吸わないっていうのは、噂やあてこすりの類だけど、そのお陰でギグはキャンセルになるし、アウォードは取り下げられるし、おまけにボクの評判は取り返しがつかないくらいに汚されたんだよ。」 彼はさらに不平のリストを並べ立てる。 「ボクが太ったってほのめかしも、全くの間違いだし、不名誉なことだよ。ボクは単純に骨太なんだ。それにドラッグより食べ物に耽っている、だなんて、スウェードのメンバーとして、外聞が悪いよ。ボクたちが米とヘロイン以外口にしないのはみんな知っていると思うけど、ボクだって、途方もないダブルチーズバーガーや、キングサイズのピザを食べるくらいで、そんなに違いはないよ。アンダーソンさんがマリファナ注射について曲を書いたから、ボクもやってみたんだ。あいにく針は尖っているし、皮膚や血管を傷つけるからやめなきゃいけなかったんだ。」 「それともう一つ、ボクはスウェードが“Jim'll Fix It”みたいだなんて、絶対言ってないよ。スウェードはもっとカッコいい番組に似てるよ。“X−ファイル”や“フレンズ”みたいにね。スウェードに“Jim'll Fix It”を見るほどダサい人はひとりもいないのはみんな知ってるよ。とにかく、年配の人向けの番組じゃないよ。それを見てる人から聞いたんだけど…。」 一方、オークス夫人は、彼女の息子のコメントに激怒した。 「彼をつかまえてやるわ。お尻をスリッパでぶってあげる。生意気な小さいいたずらっ子が!」 |
(NME 9/Oct/1999) |
とまあ、やりたい放題です。ここではリチャードはまるでアホ+赤ちゃん+マザコン扱いです。リチャママに関しては、おそらく標準より知的な言いまわしなのかもしれません。難しい単語を使っているような印象を訳していて受けました。でも、知的なイギリス人の知り合いがいないんで、確証はないですけど…。さて、彼女の発言は多分に含みがありますね。リチャードのバックヴォーカルの話ですけど、なんで今さら…ニールがいるのにって思いませんか?「少しも歌えないわよ」の前に(ニールがいるから)とつけると意味が通ると思います。本当にスウェードに対して相当の悪意を感じますねぇ。なんでニールとケンカさせたいかなあ。タバコの件にしても、ファッションだけの中身のないバンドみたいじゃないですか〜、まったくー。ギグがキャンセル云々なんて、ニールに対するひどいあてこすりだし、リチャードの発言ということにして、仲間割れを示唆するという手の込んだやりクチです。スウェードをテレビのプログラムに例えるところなんか、最高におバカっぽいですねー。しかも例の番組を実はリチャードが見ているかのようなボカし加減です。(ところで“Jim'll Fix It”ってどんな番組なんでしょうね。とっても気になります)それに「アンダーソンさん」だなんて水臭い呼び方、本当にしてるの? ウソだろう!この記事はリチャードと母親の関係が、一人前の男性にしては必要以上に密だという誤解を与えてしまいました。だから、お母さんと仲が良いとも言えないし、悪いと言えば記事の通りになってしまうので、どう転んでもイヤな感じなのですねぇ。気の毒に。記事自体はジョークと受け止めれば、これほど楽しい読み物はありません。とても上手いですね。(さすがNMEだけど、誰だよ、この記事書いたの)実は正直を言いますと、訳しながら笑ってばかりいました。許してくれ、リチャード。笑いを伴った強烈な毒…。イギリスのプレスって底意地悪いなぁー。ギタリストとしての彼の真価は揺るぐことはないけれど、やはり人気商売ですからねぇ、面白くないなあ。ま、彼なら挽回できるさ。今後どう出るか楽しみです。がんばれー! |