宮部みゆき 45


ドリームバスター4


2007/05/26

 約1年ぶりと比較的早めに届けられたシリーズ第4弾である。とはいえ、前作を忘れるには十分な時間である。新刊が出る度に既刊を読み返すのはしんどい。

 前作は「時間鉱山Part1」で終わっていたが、今回は一冊丸々「時間鉱山Part2」で占められている。Part1のあらすじが載っているので、復習はそれで済ませてさっさと読むことにする。なお、今回は初めて登場人物紹介や用語集も付いている。

 結局、時間鉱山という概念については、ごまかされたような感が拭えなかった。どうして時間鉱山はシェンたちの世界と地球の接点たり得るのか? その点を除けば、物語の構造は極めてシンプル。宮部みゆきらしいストレートに訴える内容だった。

 シェンと時間鉱山で消息を絶った友人が、協力して迷い込んだ地球人を地球に帰す。これ以上は書かないでおこう。普段は小生意気なシェンだが、なかなかに面倒見がよく、ぐずる地球人たちを叱咤激励する。おちゃらけた友人も頼りになるいい奴だ。二人とも、伊達にD・Bとして幾多の修羅場をくぐってきたわけじゃないのだ。

 ただ、誰にでも読みやすい一方、SFという面が影を潜めてしまったことは否めない。ジャンルとしては『ブレイブ・ストーリー』や『ICO』などのファンタジーに近い。謎がどれだけ深まるのかと思いきや、拍子抜けした感もある。「時間鉱山」だけを一つの長編として見ると、高く評価するのは難しい。刊行間隔が開いてしまうためでもあるが。

 何はともあれ、「時間鉱山」というサイドストーリーは完結した。シリーズ刊行開始以来、初めてすっきり読み終わった気がする。しかし、これは『ドリームバスター』という一大巨編の一部に過ぎない。依然として残された謎も多い。って、どんな謎が残ってたっけ…。

 まだまだ全貌は見えてこない。To be continued...



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