宮部みゆき 58 | ||
ここはボツコニアン2 |
魔王がいた街 |
今年の宮部みゆきさんのラインナップはすごい。大作『ソロモンの偽証』3部作の前後に、『ここはボツコニアン』シリーズを出すとは。というわけで、第1作のあまりの乗れなさに頭を抱えたこのシリーズの、続編が刊行された。第1作の内容は忘れた。
結論から言うと、趣味に走りすぎな第1作より普通に冒険物っぽくなり、第1作よりは楽しんで読めたと思う。謎を追い、ボスを倒す、典型的なRPGだ。
本作の大部分を占め、サブタイトルにもなっている第4章「魔王がいた街」。ピピとピノの2人は、水の街アクアテクにたどり着く。ここはモルブディア王国随一の観光都市として知られる。その日はたまたま「魔王記念日」であった。魔王?
でき損ないの世界にしちゃ、アクアテクの設定ってよくできているな。そう感じるのはイラストのせいか。ダンジョンがあったり失踪事件があったりイベントも多彩。都合よくヒントが出てきてトントン拍子に謎解きが進むのはさて置き…。あくまででき損ないですから。
ゲームっていうのは、難しすぎると新しいファンがつかないし、簡単すぎると古参のファンが満足しない。バランスが難しいのである。小説も同じだね。難解でもわかりやすくても、僕みたいな読者に文句を言われる。というのは余談でした。
さて、とりあえずエリアボスを倒し、第5章。今度は急にお菓子の話になったぞ? タイトルが「謎の〈あんまん〉」って。アクアテクの郊外にあるコノノには、行列ができる饅頭店があるという。2人はその味の秘密を探りにコノノへ赴く。
そして、あんまんを追いかけてたどり着いた先は…。超有名ネタとだけ書いておく。熱心なファンも多いこの世界を、ボツネタの世界に引きずり込む宮部さん、恐るべし。ようやく筋が見えてきたと思ったら、また発散してきたような…。続くそうです、はい。